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第35話 暗黒騎士パーティー13:闇落ち(スレッグ視点)

 騎士の剣が俺に向けられた。

 騎士の背後にいるフィリオ、ミレイア、アシルは武器を持っていない。

 しかし、武器を持ったようにかまえた。


「お前たちも……」


 黒い炎が武器を形作った。

 フィリオは、弓矢。

 ミレイアは、ロッド。

 アシルは、大剣。


「おい、俺だぞ? わからないのか?」


 ぜんぜん反応なしかよ。

 今、いっせいに攻撃されたら、またたく間に俺もアイツらのお仲間だ。

 こうなったら……。


 暖をとっていた火の魔法を消して、その場から撤退する。


 すぐさま、たいまつ代わりの小さな火の魔法を発動させる。


 なんだ。

 まだ奥まで洞窟がつづいてるじゃないか。

 ワレス先生はここを通ってきたのか……。

 どこにつながっているのかわからないが、とにかく逃げないと、俺がアレになっちまう。


 後ろを振り向くと、歩いてくるミレイアたち。


 走ってくることはなさそうだな。

 こんなところからさっさと脱出する。

 それにしてもあの状態は、暗黒に飲みこまれた状態なのか?

 ワレス先生もいい年だぞ。

 それに剣に刺されたフィリオたちも、生きているわけでも死んでいる状態でもないような。

 これが暗黒を宿した者の最後なのか?


 ん?

 洞窟の出口か?


 少しだけ明るい場所に出た。

 そこは大きな空間が、上下左右に広がっていた。


 なんだ、この空洞は……。

 こ、コイツらは……なんて数だ……。

 よく見れば、全員、暗黒の炎に包まれていやがる。


 ここは、暗黒に飲まれた者が行き着くところなのか。


 みんな動かずにじっとしているが……。


 視線を奥に向けて、あげていく。


 な、なんだ、あれは? 炎?


 ずっと奥にあったのは、巨大な黒い炎。

 どこまでも昇っている。


 暗黒の炎……なのか。

 暗黒に包まれたやつらから、飛散する黒い火の粉が、巨大な炎の中に吸いこまれてる。


 まさか、あれが暗黒の源とでも言うのか?

 でも、俺の中にある暗黒と同じ感覚を感じる。


 思わず、足を1歩前に踏み出す。

 小石が転がり落ちていってしまった。


 はっ、しまった。


 今までまったく動かなかった暗黒を宿した者たちが、いっせいに俺の方向に向いた。

 今までに感じたことのない見えない黒い壁の圧に足を引いた。


 背後の洞窟の道から足音が聞こえてくる。


 クソッ。

 ど、どうする。


 ガザっと、下にいた大勢の暗黒の炎に包まれた者たちが歩き出した。


 なにっ?

 俺のほうに向かってくるのか。

 剣はあるが、鎧は脱いじまったし、まともに戦える状況じゃないぞ。


 背後の足音は、どんどん大きくなって近づいてくる。

 焦る俺の心臓は、爆発しそうだった。


「くそっ、くそっ、クソッ」


 も、もう、とにかく逃げるしかない。


 壁際の通路を走っていく。

 それに合わせて、下にいる暗黒の者たちもいっせいに歩く方向を変える。


 どこかに別の道は……。

 あそこは?


 別の洞窟に入る道があり、そこを曲がって進んでいく。


「なにっ?」


 洞窟の先から、集団の足音が響いてきていた。


 クソッ。

 もうどこにも逃げ場はないっていうのか……。


 また来た道を戻る。

 空洞の通路に出ると、すでに左右の通路には暗黒の者たちが歩き進んできていた。


 ついに逃げ場がなくなったか……。


 すーはー


 剣をかまえる。


「ウオォォォォォ」


 向かってくる暗黒の者たちに切りかかる。


 行けるか。

 力で押しきれるやつもいるが……。

 さすが、暗黒を宿した者たちか。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 圧倒的に数で不利だ。

 体力もほとんどない。


 ――我に、力を欲せ。


「はぁはぁ……だ、だれだ?」


 こっちは忙しいってのに……。


 辺りを見回しても、俺に話しかけてくる者などいなかった。

 無言の暗黒の戦士たちが俺に切りかかってくる。


 痛っ!


 背中に鋭く、熱い痛みが走った。

 背中側に首をまわすと、黒く燃える矢が突き刺さっていた。


「こんなモノで、俺はやられんぞ」


 矢を引き抜いた。


「あぁぁぁぁ」


 手のひらが焼けるように熱くなった。

 すぐに矢を放り捨てた。

 チロチロと黒い炎が手のひらの上で踊っている。


「くそっ、消えないのか。このやろう」


 服にこすりつけても消えず、服に火が燃え移ってしまった。


 ――さぁ、我に力を望め。


 またか。なんなんだよ。


「うわっ」


 剣を振りはらわれて、剣を握る手が痺れてしまった。


 も、もう……に、握れない。

 体も腕も重い……。

 か、完全に囲まれた……。


 ――我に力を求めれば、死なずに済むぞ。


「だ、誰だ……」


 ――我はずっとそばにいたぞ。


「そ、そばに?」


 周囲を見回すも、黒いオーラを放つ暗黒の者しかいない。


「ついに、幻の声を聞くようになったのかっ――グアァァァァ」


 暗黒に燃える黒い剣が右肩に刺さる。

 つづけて、黒く燃える矢が体のあちこちに刺さる。

 魔法の黒い氷柱が、太ももを貫いていた。


「アシル……フィリオ……ミレイア……お、おまえら……」


 目の前に、3人がいた。

 他の暗黒の者と同様に、無表情だった。


「も、もう……だめだ……」


 立っていられず、がくりと両膝をつく。


 ――まだ、生きたいというのであれば、我に力を欲せ。

 ――暗黒程度にお前は負けるのか?


「いったい、なんなだ……」


 ――我は、闇だ。

 ――お前が持っている闇の指輪だ。


「や、闇の指輪……」


 ふところに入れておいた指輪を取り出した。


 ――このまま暗黒に飲まれて、仲間のようになりたいか?


「そ、それは……」


 ――我に力を借りれば、暗黒を一蹴できるぞ。

 ――今、唯一、ここで生き残る方法だ。


 アシル、フィリオ、ミレイアが次の攻撃をかまえた。


 次を食らえば、もう俺は……


 ――そうだ。もう時間はない。

 ――暗黒程度の意思に頼るから、こうなったのだ。


 目の前の3人が暗黒を繰り出してきた。


 まさか、最後の最後に仲間に……。


 ――さぁ、暗黒よりも深く強靭な闇の力を手にいれるがよい。

 ――今のお前には、その資格がある。


「ぬぁあああああ……」


 俺は闇の指輪をはめた。

 体の奥底から、いままで感じたことのない力が湧きあがった。

 それは、暗黒の者たちを一瞬で吹き飛ばすほどの衝撃波にかわった。


「こ、これが闇の力か」


 ――我とともに、闇の世界を作ろうではないか。


 あぁ、なんて心地よい。

 もう暗黒なんぞに怯えることもない。

 この闇こそ、最高の力だ。


「ふははははは」


 空洞に俺の声が響きつづけた。


「おもしろかった!」

「今後どうなるのっ……!」

「そろそろキールたちが気になる!」


と思ったら


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