第28話 ドラゴン密猟集団クラオエ
俺たちが乗ってきた飛竜より二回りも大きいのに、槍が首を貫通しているのか。
あれは人の技じゃない。
密猟者の道具だろうな。
ガラガラっと崖の上から小石が落ちてきたのに気づいた。
上を見あげる。
崖の上には、男が3人と女が1人いた。
「烈・稲妻撃雷」
とどめを刺す気か?
「下がれ」
すぐに近くの岩壁に、エレナとアルスをかばうようにして隠れた。
「耳をふさげ」
次の瞬間、雷が落ちて、すさまじい音がいったいに響きわたった。
「キャーーー」
2人はビックリして目をつぶり、耳をふさいだ。
壁岩に身を隠しながら、ドラゴンの様子をうかがう。
ドラゴンの体からは煙がシューシューとあがっていた。
その周囲をさっきの密猟者たちが、歩き見ていた。
槍を通って、体内から焼いたのか。
あんな雷を落としたドラゴン、売り物になるのか?
「これは、ちょっとやり過ぎじゃねぇか」
「まぁ、とりあえず、取るだけ取って、売れなきゃ捨てればいい」
「まずまずの大物だ。マオノ、よくやった。オーディス親分も喜んでくれるだろ」
「は、はい……」
嬉しそうじゃないな……。
オーディス……。
懸賞金700万セピーの賞金首。近くにいるのか。
マオノと呼ばれたあの丸メガネの女。ちょっとやっかいなレベルの魔導士だな……。
このままあとを着けたいところだが、2人を連れては危険だな。
「ドラゴンはどうなったの?」
「ど、どうなりましたか?」
エレナとアルスが聞いてきた。
そして、アルスは俺の後ろから首を伸ばす。
「あっ、いてっ」
アルスがなにかにつまずいて、隠れていた壁から体が出で倒れてしまった。
「あ、バカっ」
すぐにアルスを抱き起こそうとしたが。
「子供? お前ら、誰だ?」
男の1人に見つかってしまった。
まぁ、バレちゃー仕方ない。
「お前らこそ、こんなところでなにをしている」
そう言いながら、アルスを起こして壁側に押しこんだ。
「ここから出てくるなよ」
アルスとエレナに伝えた。
2人とも強く首を縦に振っている。
今、危険な状態だとわかってくれているようだ。
「あぁ? お前こそ、何者だ」
ナイフを持った男が切っ先を向けてくる。
「賞金稼ぎ、と言えばわかるだろ?」
俺はニヤッと笑って見せた。
「賞金稼ぎ?」
「そういえば、最近、リフレリア王都やロマッサに賞金稼ぎが出たとか」
別の男が言った。
「そいつが、わざわざこんなところに?」
「あぁ、はるばるやってきたから、ここにいるんだが」
「おいおい、あんた、俺たちが誰だか知って言ってるんだろうな」
「もちろんだ。ドラゴンハンター。密猟集団クラオエだろ?」
「ハハッ。そうとわかって、ノコノコとやって来れたな。安い賞金首には通用した強がりも、俺たちの前ではきかねぇぞ」
ナイフを持った男が駆けてきて、いきなり切りかかってきた。
何度も振りかぶってナイフを振り回してくるが、俺はその度に軽々とよける。
普段からドラゴンを相手にしているからなのか、好戦的だな。
強いやつを見ると、興奮する体質なのか?
「悪いがお前らに用はない。どうせ賞金もついてないんだろうし、カネにならないならムダなことはしたくない。本命は、お前らのリーダーだよ」
「まったくなめられたもんだ。おい」
「あぁ」
「ケケケ……」
と、2人の男たちも短剣とライフルをかまえる。
「さすが密猟集団。物騒なものを持ってやがるぜ」
ちらっ背後を見る。
俺の様子をこっそりうかがっていたエレナとアルスの顔が、ひょこっと引っこんだ。
まったく、こんな状況に好奇心を向けないでほしいね。
「笑っていられるのも今のうちだ」
銃口が向けられ、火花が散る。
スッとよける。
サッと、投擲ナイフを投げる。
「ぐわっ」
男の腕に小さなナイフが刺さり、ライフルを落とす。
ここで捕まえちまうと、親玉のところまで案内してもらえないからな。
「貴様ぁ」
ナイフと短剣をもった2人が、同時に振りかぶってかかってくる。
軽く体を動かして、かわしていく。
「よけることしかできないのかよ」
「まさか」
俺は腰の後ろにあるダガーに手を持っていく。
ピーーーー
谷の奥から笛の音が鳴り響いてきた。
「チッ。こんなときに呼ばれるとはな……命拾いしたな。行くぞ」
3人の男と女は、笛の音のほうへ走っていってしまう。
集合がかかったのか?
別動隊が新しい獲物でも見つけたか?
どららにしろ、他の仲間と合流するんだろう。案内してもらおうか。
「2人とも大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「ご、ごめんなさい。私がつまずいてしまって……だから、私、脱いでおわびしま」
「アルス。脱がなくていい」
「は、はい……癖で……」
「このままあの密猟者たちを追う。2人とも走れるか?」
本当は谷の入り口まで、こいつらを連れ戻したいところだ。
そうすると、密猟者たちのあとを追えなくなる。
かといって、2人で戻ってもらうのもな。
「うん、もちろん!」
「姫さん、なんでそんなに目を光らせてる。前の追いかけっことは違うんだ。次は発見されないようにしたい」
エレナは嬉しそうにうなずいてる。
意味わかってるのか?
「が、がんばって走ります」
「よし。俺のあとを着いてこい」
走り去った密猟者たちを追っていく。
「ドラゴンが真っ黒焦げ……」
「姫、いいから行くぞ。置いていくぞ」
「それはイヤ」
谷の奥へ行くにつれて、木々に隠れている鳥の鳴き声が騒がしくなって、飛び去ってもいく。
グガァァァ
近い。
物陰に隠れて、先の様子をうかがう。
「オーディス親分、こいつは?」
「ドラゴンの谷の主かもしれない」
「谷の主? 確かに今まで一番でかい」
合流した密猟集団がいた。
頭には角が生え、胴体の長い蛇をそのまま大きくした龍と対峙していた。
龍の目は、燃えあがるような真っ赤で、密猟集団をにらみつけていた。
「す、すごい大きなドラゴンですぅぅぅ」
「本当だぁ」
「おい。俺より前に顔を出すんじゃない」
アルスとエレナを引っぱり下げた。
グガァァァ
口を開けば、数十人はいとも簡単に丸のみできるほどの大きさだ。
体長は小さな山1つ分といっても過言でもないくらいだ。
全身を伸ばしたら、それ以上あるかもな。
よくこんな龍をしとめようと思うかね。
「コイツを仕留める。額に龍の珠が埋めこまれている。あれを持ち帰れば、カネも入るし、大喜びされるぞ」
「おぉー」
その場に6人の男たちが声をあげた。
そう言えば、あの魔導士の女は?
辺りを見回すと、女は岩陰で様子を見ていた。
しかし、龍の大きさに圧倒されているのか、怯えた様子だった。
パーン
ライフルの弾が1発放たれた。
まったく龍にはきいていない様子だ。
龍の頭が集団に突っ込むと、密猟者たちは散開する。
龍は長い胴体を振り回して、辺りの崖を削っていく。
って、こっちもか!
龍の尾が、身を隠していた岩陰に向かってくる。
エレナとアルス2人を抱きかかえて、サッと飛び退く。
その直後、岩は一瞬にして粉々にされた。
すぐに移動した崖の上から様子をうかがう。
下手にかかわらないほうがいいか?
かといって、あの暴れ龍に賞金首が食われてしまうと、はっきり言ってここに来た意味がなくなるんだが。
さて、どうしたものか。
「密猟者どもよ。谷から出て行け」
女の声が響きわたった。
赤い鎧の女が別の龍の頭に乗って現れた。
「おもしろかった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「キールたちは、どうなるのっ……!」
と思ったら
下にある ☆☆☆☆☆ から、作品への応援お願いいたします。
おもしろかったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な気持ちで大丈夫です!
続きが読みたい方は、ぜひブックマークもしていただけると本当にうれしいです。
よろしくお願いいたします。




