第2話 美濃の大名・秋山金吾の弟心土の弟子・平助
「…」
「…」
「平助、お二人が固まってしまいましたよ?」
「おお!それがし如き若輩者の言霊で、歴戦の武者のご両人を固まらせることができるとは!それがしもなかなか隅に置けませんな!ふぅーははははははははは!」
「…」
「…」
「すみません明智殿、竹中殿。弟は少し、頭が弱くありまして」
「そう!そのとおり!!秋山家の武は金吾の兄貴!智は心土師匠!それがしはそのどちらをも持ち合わせてはおらんのですよ!その点、亡き道三様の懐刀であった明智殿や美濃の、いえ日の本の知恵袋、竹中殿にはより一層戦働きに励んで頂きたいですな!私の代わりに!!ふぅーはははははははっは!!!」
「すみません明智殿、竹中殿。殿へのお目通りはまた後日の機会で」
「あ、ああ。よしなに頼みます」
「…」
そういってその場を立ち去る2人。それを見送る心土と平助。
…
…
…
「明智殿、いかが思われる」
しばらく離れてから半兵衛
「?」
「兵助殿でござるよ」
「ああ…面喰らったが。なにか?」
「いや、何か妙な」
「妙?」
「上手く、言葉に出来ませぬ。しかし何か、これまで出会った侍とは違ったものを感じます」
「ふむ?それは、我らにとって、悪いことになりそう、ということかな?」
「いや、それさえも…わかりませぬ」
戦国一の知恵者・竹中半兵衛にさえ分からぬ不気味さ。
…
…
…
「2人は、今川と織田、どちらに協力した方が良いと思う?」
「今川さまです!兄者!」
「…早すぎです兵助」
「兵助は、相変わらずだなあ。安心するわ」
金吾と心土の両人にとって、弟は目に入れても痛くない程可愛い。