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63話 どなどなぁ

 リアと二人。私は縛られたまま馬車に乗せられました。


 御者台に二人。荷台に三人の男。計五名の男たちに捕まったみたいです。


 本当はあの時、私だけ逃げることはできたのかもしれません。しかし、私にとって家族同然なまで一緒にいたリアを置いていくなんて、私にはできませんでした。


 結局あのあと二人まとめて捕まってしまいました。リアが短槍を弾かれてからなすすべもなく二人一緒に。


「何を笑っているのですかお嬢様」


 どうやら私はいつの間にか笑っていたみたいです。


「確かに最悪の状況ですけど、リアだけを見捨てることにならなくてよかったなって」


 私がそういうと、リアは何かを思い出したのか、それともただ嬉しかったのか。眼から涙が零れ落ちます。


 馬車の荷台。見張りはいても楽しくおしゃべりをしてこちらには注意を向けていません。馬車の荷台も広く、商人などが行商で使う馬車を使っているのが原因だと思います。


 おかげで、こちらの会話は聞かれていません。


 何かきっかけさえあれば逃げれるかもしれませんが、走行中の馬車から足が縛られたまま飛び降りるなんてできませんね。


「お嬢様、私が昔騎士をしていた時の話です。私はとある令嬢の護衛をしていました。その方は一言でいえばポンコツで、周囲の評価は我儘令嬢。そしてここ一番で自分よりも他人を優先し、他人が苦しい時は分かち合おうとする人でした」


 リアが昔、護衛していた令嬢のお話をしています。これは何度かリアから聞いた作り話に出てくる令嬢にそっくりです。


 数名の優秀な騎士たちと、その令嬢を慕って集まった他の令嬢たちによる、苦難を乗り越える英雄たちの物語。


 あれは作り話ではなく、リアの実体験だったのですね。


「私が怖くて眠れない日。リアがいつも話してくれたお話の主人公。私大好きで、かっこいいと思っていましたよ」


「ええ、私もそう思います。あの人は護衛対象だというのに、いつも前に出る役回りを率先してやるお馬鹿さんでした」


 それ褒めているんですかね。いえ、褒めていますね。だってリアの今の顔は、人を貶す時にできる顔ではありませんから。


「あって数日の私の為に、命を張れる護衛対象なんて初めてでした。だからですね。私は今度こそは、マリーお嬢様こそは何があっても守り抜くと決めたのです。そう決めていたのに、まさかあの人のお話をし続けた結果、あの人みたいな行動を取るお嬢様に育ってしまったなんて」


 リアが自分の穿いている靴の靴底を荷台の床に押し当て壊すと、内側から刃物が出てきました。その刃物を縛られた腕で持ち、私の足を縛っているロープにあてようとします、


 私も行動の意図を読み、それで足のロープを斬り始めました。幸いなことに、見張りたちはお酒を飲み始めている。


 彼らはまだこちらに気付いていない。私の足のロープが切れると、そのまま手のロープも切って貰いました。


 まだ気付かれていない。このままリアのロープを切り始め、リアも両手足の自由を確保しました。


「脱出はもう少し様子を見てからにしましょう。お嬢様も縛られたフリをお願いします」


 そう言われ、足にロープを縛らずに巻き、手は後ろで縛られているかのように回しました。


「何か考えがあるんですね?」


「はい。最高の作戦が」


 この時私は、見張りに気付かれないか不安でそちらに注意を向けていたため、リアの声に違和感を感じても、表情を確かめることはできませんでした。


 そもそもこのような異常事態なのですから、多少の違和感くらいおかしくありませんし。


 だからリアの作戦を信じて、私はその時を待ちましょう。

これはタイトルとしてどうかとおもうんだけどなぁ


今回もありがとうございました。

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