41話 不意打ちしてきたのは、貴方の方なんですけどねぇ
ひとまず二人で会場に戻ることになり、最後の一人の行方を捜しに向かいました。
「何かいい案はあるのでしょうか?」
「そうだな…………マリー、目立つのは好きか?」
「嫌です!」
目立ちたくなんてありませんよ。ギルったらまだまだ私のことわかってませんね。わからせないと。
何故私にそんな質問をしてきたのでしょうか?
「そうか、だが目立ってもらおうか」
「へ?」
私が驚いているうちに、ギルは私に手を差し伸べて頭を少しだけ下げ、私に視線を合わせました。
「マリー・コースフェルト嬢。私と踊ってくれませんか?」
「ひぎゃ!? あ、えと…………」
ふと周囲を見ると、数名の方々が私達に視線を向けています。こ、こんなの断れるわけありませんよね。
私は高鳴る心臓に背中を押されるように、脈拍に腕を取られるように、ギルの手に自らの手を重ねました。
「お受けいたします」
踊っている人たちの中に、私達も紛れ込み、私はギルに合わせるのに必死になりながら、彼に視線を向けます。
「俺の足は踏んでもいい。もっとリラックスしてくれ」
「できませんよ。むしろ私の方こそ踏まれても、でもギルはそんな失敗しませんよね?」
「どうだろうな。もし踏んでしまったら一生面倒見ようか?」
「え?」
「踏まれたそうだな」
そんな変態みたいなことありませんってば!! そう否定しようと思いましたが、何故か口から出てきませんでした。
私が無言でじっと見つめている様子に対し、彼も見つめ返します。視線がぶつかっていることに怖さはなく、恥ずかしさの方が強かったですが、それ以上に嬉しさが勝り、よそ見なんてできませんでした。
一曲踊り終えたところで、私達は端に移動します。
「踊っている間、随分いろんなところに移動していたが、疲れなかったか?」
「え? いえ、全然」
むしろ全く気付きやしませんでした。
「これだけ目立てば向こうが気付いてまた隙を伺いに来るだろう。周囲を観察してくれ」
「はぁ」
しかし、最後の一人らしき男はどこにもいらっしゃいませんでした。もしかしたら会場に戻ってきていないのかもしれません。
「そうか、まあいいダンスは楽しめたか?」
「え? はぁ!? えっと、まあその楽しかったです」
「それは良かった」
ギルが私の頭に手のひらを乗せ、軽く撫でます。
「それにしても目立ちすぎたな」
「へ?」
周囲を見渡すと、皆さんギルと、ギルのパートナーである私をじろじろと見ていました。もしかして私、品定めされてたりしてます!?
どうやら皆、私を見て何者か判断しようとしています。あれだけ一緒に踊っていたのであれば目立ちますよね。
「ちなみに俺が夜会で踊ったのは初めてだ」
「へ?」
だからこんなに注目を浴びているのですね。逃げ出したい。会場から出ていきたい。でも、ここで逃げたらまずいような気がします。一人になった隙をついてまたあの人が出てくるかもしれません。
…………出てくるのでしたら、もしかして好都合?
無理無理無理! だってそんな出てくるとしても、ギルと二人きりの時なんてありえませんし、私一人で行動するなんてできません。それに多分次は一人にしてくれないんですよね?
「どうした?」
「なんでもないですよ」
無意識にギルに視線を向けていたようです。いえ、何も悪いことなんてないんですけどね。
「…………」
「ん?」
今度はギルが私を見つめています。一体どうしたのでしょうか。
「なんでしょ…………っ!?」
それより先の言葉は、発することもできずに、ただただ時間が過ぎていきました。たった一瞬でしたが、触れた感触が忘れられなくて、ハッとして周囲を確認しましたが、誰にも見られていないことを確認すると、安心しました。
怒ってやろうと思い、ギルに視線を向けると彼もまた耳まで赤くしていたので、怒る気にもなれませんでした。
ギル視点って需要ありますか?
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今回もありがとうございました。




