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18話 動物はすぐ慣れることができるんだけどなぁ

 仕方ありませんので、本日の午後はバルツァー様にお付き合いさせて頂くことになりました。


「コースフェルト嬢は好きな本はあるのか?」


 最初に連れていかれたのは、バルツァー家の書庫からでした。私の好みですか?


 甘々のロマンス小説を渡したら、バルツァー様はお読みになるのでしょうかね。


 しかし、当然といえば当然。バルツァー家の書庫にそのような本は見当たりませんでした。これで彼に姉や妹がいれば、置いてあったかもしれませんね。


 色々眺めていると、動物の飼育について記された著書が置かれていました。ウサギさんの飼育。やってみたい。


「興味あるのか?」


「へあっ!?」


 いつの間にか手に取っていたその本を、慌てて棚に戻そうとすると、バルツァー様がいきなり腕を掴みました。


「持っていくといい」


「あっありがとうございます」


 私はその本を抱えようとすると、無言でリアがそれを私の代わりに持って下さりました。


「あら? お嬢様はご自分で抱えたかったのですか?」


「ふぇっ!? 違います! 違いますから!!」


 私が慌てて否定すると、何故かバルツァー様もリアもくすくすと笑い始めます。


 笑うところなんてどこにもありませんよ!!


「もういいです!」


「済まなかった。ウサギではないが、後で屋敷で飼っている犬を見せてやろう」


 わんちゃん?


 私は頭の中で小さく可愛らしい子犬を想像し、その犬とひたすら戯れる妄想に入り浸ります。


 あとでたくさんその犬と遊べるのでしたら、我慢してあげましょうか。


 どんなわんちゃん何でしょうね。白ですかね。黒ですかね。茶色いこもいいですね。ダルメシアンも素敵だなぁ。


 ふわふわで長毛種だと抱き心地が良さそうで、もっと素敵です。


 そんなことを考えながら、中庭まで連れていかれますと、明らかに大きな犬の鳴き声が聞こえて来ました。え゛!?


 ソレは、私とさほど変わらない茶色い毛の塊。ソレは私たち目掛けてものすごいスピードで駆けつけてきました。


 勢いの良いソレは、そのままバルツァー様を押し倒し、お顔を長い舌で舐め始めました。


 は?


 わんちゃん?


 ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って。大きすぎませんか?


 え?


 私がバルツァー家のわんちゃんを見ると、わんちゃんは見慣れない私とリアに気づきます。


 それだけならまだ平気、ではないですけど平静を保てるのですが、わんちゃんは完全に私をロックオンしました。


 あっ……これ私のところに来るやつだ。


 私がとっさに逃げ出そうと、背を向けますとわんちゃんは背中から私にタックルを決めました。


「ひゃあああ!? 助けてリア!!!」


「無害ですよお嬢様」


 無害でもなんでも、自分と同じくらいの大きさのわんちゃんが、覆いかぶさってきたら怖いに決まっているじゃないですか。


 助けて! 誰か!


 私が手足をじたばたさせていると、急に背中に乗っていた重みがなくなりました。


「すまないコースフェルト嬢!」


 どうやらわんちゃんは、バルツァー様が抱き抱えてくださり、私はゆっくりと立ち上がりました。幸いなことに、柔らかな芝生の上でしたのでたいして汚れずに済みました。


 乱れた髪を、リアが即興で整えます。


「ゼフ、大人しくしろ」


 ゼフと呼ばれたわんちゃんはバルツァー様の腕の中で嬉しそうに吠えています。このくらいの距離ならちょっと可愛いかもです。


「あっあの。ゼフ君は男の子ですか?」


「ああ、コースフェルト嬢は、大型犬は苦手だったか。悪い事をした」


「……いえ、驚いただけです。撫でても良いですか?」


 本当は苦手である。今も物凄く怖い。震える手を、ゆっくりと伸ばしゼフ君の背中を撫でました。


 何度かそれを繰り返すと、不思議と怖くなくなるものでした。いつの間にか、バルツァー様が手をはなし、ゼフ君は私に身を委ね始めていることに気付き、どうやら私はすぐに慣れることが出来たようです。


 でもごめんなさい。バルツァー様は、まだ慣れません。

初めて初めてスマフォで執筆しました。大変ですね。


今回もありがとうございました。

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