14話 自分を護れるのは自分だけなんだけどなぁ
「コースフェルト嬢。明日も迎えに来るが、くれぐれも一人で登校しないように」
「え? あの? え? いえ、私はその一人で登校しようかと」
この人ちょっと強引なんですよね。良い人だなとは思うんですけど。
「明日の帰りは抱きかかえながら帰るとしようか」
「え? それ、衛兵を呼んでもいいやつですか? いくらバルツァー様相手でも、容赦しませんよ?」
何ちょっと本気で怖いことを仰っているのでしょうか。確かに嫌悪感はありませんけど、恥ずかしくて動けなくなるじゃないですか。
そもそもそんな姿を誰かに見られたら、私がミシェーラ様に怒られてしまいます。
バルツァー様のお見送りを我が家のメイドとして、私は屋敷に戻りました。
私と一緒に屋敷に戻っている最中、メイドのリアが二日連続でバルツァー様と一緒に帰った私を見て、不意に私に声をかけました。
「あの? お嬢様はバルツァー家の嫡男様とどのような御関係なのでしょうか?」
青く長い髪を後ろでまとめた我が家のメイド。紫紺の瞳からどこか寂し気な哀愁を感じます。落ち着いた大人の女性のリアは、私より十歳ほど年上です。
よく箒を手に持って掃き掃除をしている彼女は、今日も世話しなく掃除をしています。
我が家、お金こそありますが、たくさんメイドを雇うということをしませんので、あまり使用人の方はいらっしゃいません。
まあ、だいたいのことはリアがこなしてしまうため、新しいメイドを雇おうと言う発想にならないんですよね。いつも助かってますありがとうリア。
「あー、実はですね。これには深い事情がありまして……」
今、考えられる限りでの私の意見を交え、これまでの経緯をリアにお話しました。
「お嬢様、なんというかええ。失礼ですがバルツァー様はお嬢様に好意をお持ちなのでは?」
リアが、何故か、お嬢様何か勘違いされてますよね。と言いたそうに私に声をかけました。
「そりゃあ、嫌われてはいないと思いますけど?」
「その程度じゃないですよ!!」
「え!?」
急にリアが叫び、私はビクッと体を動かしてしまいました。長年の付き合いとはいえ、年上の方に大きな声でツッコまれてしまいますと、やはり怖いものは怖いです。まあ、リア相手でしたらほんの一瞬くらいで済むようになりましたけど。
「あり得ませんよ。私、そんなに魅力的でしょうか?」
「失礼ながら、これだけは言わせて貰います。誰の目にどのように映るかを決めるのは見る人であり、お嬢様ではありませんよ」
誰の目にどのように映るか決めるのは私じゃない。じゃあ、万が一でもバルツァー様から見て私が魅力的に見えたら、私がいくら否定しても意味がない。
と、考えたとしてもやはり私を好きになるなんてありえるのでしょうか。あって二日の私を好きになるなら、バルツァー様はもっと多くの女性とお噂になっても良い気がします。
リアの言葉は確かにご尤もかもしれませんが、それでも公爵家の方が田舎者伯爵令嬢を好まれる理由なんてありません。
彼は知らない。私がダンスも下手。お茶も味の違いがよくわからない。品位のかけらがちょっとある程度の貴族令嬢であると言うことを。
「わかりました。リアの意見も頭の片隅に入れておきます。ゼロとは言いませんけどそうですよね。珍しいから。そういう意味なら」
「お嬢様はたいして珍しい方ではありませんけどね」
「え?」
「可愛らしい方と申しました」
「……そう?」
今、絶対違う言葉を言われたような気がしましたが、リアがそういうなら信じましょうか。
バルツァー様。貴方のお傍にい続けますと私は、今の安寧が瓦解してしまいそうで怖いです。貴方は最後まで責任を持って護ってくださるのでしょうか?
いいえ、考えるだけ無駄ですね。自分の身を護れるのは自分だけ。
いつだってそう。
幼い頃に誘拐された時だって、結局誰も助けてくれず自力で脱走しました。
私は自分を自力で護れる。逃げることも隠れることも得意なのですから。
キャラクターの描写のご指摘を受けましたのでやや説明的で不自然になってないか少々不安です。
序盤からちらちら移っていたメイドさんのご紹介も兼ねて
これで主要登場人物の描写終わったかなと思えばまだエミリア様が残っていましたね。。。。
今回もありがとうございました。




