11話 傍からみればただの仲良しなんだけどなぁ
座学の授業では、政治経済や歴史。また国史などが多く、変わったもので発明など文明の発展に繋がる授業が多く取り入れられています。
高等部に進学し、修学する内容が更に専門的になり、生徒は自身が受ける授業を取捨選択することになります。
複数ある選択科目の中から三つ選び、授業を受けることになるんですけど、私に主に必要な知識って何でしょうか。
実家のことを考えるなら農業系の知識や経済。領地経営なのでしょうけど、私が継ぐわけではありませんしね。
高等部では共通科目も多いのですが、ある程度受ける授業を選ぶことができます。
嫁入り先が決まっていない為、どこに行っても問題ないように幅広く受けておくべきでしょう。
「マリー・コースフェルト? 貴女は当然私と同じ授業を受けますよね?」
前言撤回。決定権はすべて持っていかれました。私は握っていたペンをやや強めに握ってなるべく笑顔でミシェーラ様にお返事します。
「それでしたら、せめて私が必要なものを」
「私達が受けるのはダンス、芸術、それから帝王学よ」
全部いらないんだけどなぁ。芸術は確かにある程度あった方が贋作とか見抜けるようになっていいかもしれませんけど、ダンスはあまり率先して踊りたくありませんし、失敗しない程度にできればいいと思ってます。
そして帝王学は、女性である我々が学ぶ意味が分かりません。そもそも項目にあるんですか? ありました。あるんですね。
もちろん、爵位を持っている女性がいない訳ではありません。
しかし、ミシェーラ様も私も嫁ぐ側ですよね?
「せめて帝王学はなんとかなりませんか?」
「そう? まあいいわ。私興味がある科目がダンスしかありませんの。芸術はなんか知ってたら気品ありそうじゃない? あと一つは貴女が好きなものを選びなさい」
「え? いや、何も合わせる必要なんて」
私がそう呟きますと、ミシェーラ様がまたじりじりとこちらに近寄って顔と顔の距離が握りこぶし一つ分まで近づきます。
「どぉーして貴女みたいな女にギルベルト様が興味を持っているのか、よぉーく観察する為よ。お・わ・か・り?」
ペチペチと頬を軽く叩かれています。彼女の瞳は真っすぐこちらを捉え、しかし目的は私の内に秘めているバルツァー様が興味を抱くと思われている何か。
実際はそんなものがないにしても、ミシェーラ様はそう納得している以上、いくら私が否定しても意味がないのでしょう。
「それで何にするのですか?」
「では…………乗馬…………とか?」
「は?」
私は本能的に、早く逃げれるものを選んでしまいましたが、ミシェーラ様のリアクションは正しいでしょう。何を思って私は公爵令嬢に乗馬なんてさせようとしていたのでしょうか。
「す、すみません。いわゆるジョークです。ほんとです」
「もういいわ。それにしましょう」
「ええ!? ダメですよミシェーラ様に何かあったら全責任がコースフェルト家に」
「いかないわよばかねぇ」
ミシェーラ様が何か呟かれたような気がしますが、恐怖で震えていた私には、何も聞こえませんでした。
幸いなことに返事を求められた発言ではなかった為、選択科目の希望を提出して放課後になりました。
ミシェーラ様に、「それでは私のギルベルト様に失礼のないようにねマリー・コースフェルト?」と、声をかけられてから教室を出てビップルームに向かいます。
いや、ミシェーラ様のバルツァー様ではないんですけどね。もう早くそうなって欲しいです。解放されたい。
そして彼女は約束通りギルベルトのところにむかいます。
今回もありがとうございました。




