表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/104

094 首脳会議2

 

 主要国首脳会議の内容はおおよそこちらが予想していた通りの内容ではあった。


「カーグランド側の会議案は前おじ様が言っていたサキュバス法案の立法でしたよね。どうでした?」


 絶滅危惧種サキュバスはもう家畜なんかじゃなく大陸中から保護される大切な存在とするべき!という法案だ。


 これが立ち上げられたことで困る人とかもいないわけだし、いいと思うんだけど。



「まあ概ね同意はされたが……腹でどう思ってるかはわかんねえな」


「サキュバス欲しさにただ同意している国もありそうでしたね」


「法案にするとなると民への周知や意識改革などが必要になる。それなりに金も使うことになるが、その国にサキュバスが確実に来るっていう保証はまだねえからな」


 こればっかりはリルムの子供たちが気に入った男性がどこの国の人かにもよる。



「出来れば協力的な国の男性と付き合ってほしいなあ~」


 そうすればサキュバス法案もみんな活発になるかもしれない。


「これはまだ時間がかかりそうだな」


 各国を回って個々に協力を求めていくという地道な作業が必要になりそうだと聞き、顔を顰めた。




「あとはヴァンデミーアの王と直接顔を合わせて正式に滅ぼされた三国の土地をカーグランドが所有することが認められた」


「それは良かった~これでイチャモン付けられる心配がグッと減りますね!」


 ヴァンデミーア王は恨みは深いようだがボコボコに倒された手前カーグランドとは目を合わせず少し気まずい雰囲気だったようだが、戦争後などそういうものだろう。



「あとはカーグランドに味方をしてくれたザックベル国に対して礼として回復魔法が使えるおめえをザックベルに貸し出すことになった」


「お礼ですね! 任せといてください!」


 待ってましたと言わんばかりに私は腕まくりをした。こんな時でないと自分の力は役に立たないので見せ場である。


 前もやったザックベル市民を回復して回る作業だ。今回は『ガノンとクレルモンフェランは見ているだけだったのにザックベルだけは助けてくれた』という大感謝を伝える為に日帰りではなく出来る限りの街にまわって感謝を伝える予定であるという。


「ザックベルのやつら頑張ってたもんなー」


 自ら奇襲部隊に志願したり派手に突撃していったり戦闘狂いの強国ザックベル兵は功績も大きかった。



「それとカーグランドに味方した国はこんなに恩恵がもらえるっていう各国へのアピールですね」


「一時期戦争紛いなことをしたとはとても思えないよね」


 和やかに昔のことを振り返る私たちにギルヴィードおじ様は他に話すことがあるかと資料を見ていた。



「ベルドリクス家に害する芽は潰した。サキュバス案は想定内、カムイの件もマリアが告発して叩き潰した……」


「告発って」


「神獣フィンスターは創造主ラフィエルの元あるべき場所に帰ったと求心力の下がり始めているクレルモンフェランじゃ対処できねえだろう」


 今クレルモンフェランは信者が離れないように教えを強固なものにすることで精いっぱいな筈だ。強固派が下手な動きをしないことだけが心配だけども……。



「聖女に至ってはもう大陸中が守るべき対象として逆に取り入ることに必死だ。同じく過激なテロリストだけに気を付けてればいいだろう」


「創造主ラフィエル様を信じていない、もしくは信仰心の薄い国や逆の邪教といわれるものも存在します。マリアさんは引き続きご用心くださいね」


 フィンスターが注意を呼びかけてくるが、邪教なんて初めて知ったよ。ガノンとかのほうなのかな。



 軽くおさらいしていく中で珍しく護衛であるカムイが心配そうに口を開いた。


「あの、ベルドリクス家は隙無く固めてはおりますが、シャルル殿は大丈夫なのですか?」


「えっ シャルル?」


 私が聞き返すとカムイは首脳会議の中でシャルルの危うさを感じ取ったようで、フィンスターがシャルルの魔導具の話題で盛り上がったという由を教えてくれた。


「シャルルさんの発明していっているものはかなり異端です。特にヴァンデミーア戦で使用した魔法が使えなくてもMPさえあれば発動できるシステムと、マリアさんからヒントを受けて作ったバリア魔導具は戦争兵器の中でも革命的なものです」


 た、確かにあの二つはMPだけしか持っていなかった人を一気に花形にさせた大発明だし、魔法を相殺させてはじき返すのが主流だった魔法対戦では強いバリア魔導具はかなり……いや喉から手が出る程ほしい。


 更に機密ではあるが魔通信機などもある。あれがバレたら相当やばいだろう。



「もちろんその魔導具を売ってくれという声が多数寄せられてもウチの発明だと渡さねえ、盗んで解析しようともあの構造は相当なウデのもんじゃねえと類似品すら作れねえだろう」


 昔カメラの時もギルヴィードおじ様すら作れないと言っていたくらいだし、兵器なんて更に手が込んで作ってあるだろう。


 となるとシャルルの誘拐が一番あり得るというわけか。



「えっ! そんな! シャルルが危ないじゃないですか!」


 一応攻略キャラではあるがシャルルは全く育てていないのでレベルは3という一般人レベルだ。


「まあ危ないが絶対に殺されることはねえし、逆に考えれば囮に出来る。誘拐されたらその犯人を捕まえて特定してその国を不利にさせられる」


 悪い顔でシャルルを使おうと企んでいるギルヴィードおじ様はまさに外道の顔をしている。


「土地も増えたのでシャルルさんを旧モノリス国辺りの土地在り貴族にして研究特化の街を作らせるかなどは案が出ていたのですが、誘拐された際の罪を重くさせようと貴族にさせる予定が前倒しで決まりそうです」


 ――敢えて誘拐させる用に貴族にする。


 しゃ、シャルルたんが何をしたって言うんや~~~~!!!


 あまりに不憫すぎて可哀想になってきた。プライド高い奇人変人の高慢キャラとか見る影もないすっかりザコメンタルなんだから誘拐とかしたら絶対泣いちゃうって。



「正直、研究や発明っつうのは金がかかる。シャルル一人を攫ったところで出来るモンは今の粗悪品だろう」


「シャルルさんが驚くくらい凄い発明を世に出せていたのは高級素材を惜しみなく使える程の……国家レベルの財力を持ったパトロンが全て負担していたことが大きいですからね」


「ゲルベルグさん……」


 確かにあの人は私たちと金策しまくって副業もやってイベンターまでやって金が余って余ってしょうがなかっただろう。


 金の出費がどうしても激しい研究者との組み合わせはまさに奇跡と言って良い程かみ合っていたんだな……。



「……どちらかというと捕まって困るのはゲルベルグさんですね」


「ああ。そっちは殺される場合もあるからな。気を付ける様言っておけ」


 ごめんよシャルルたん。とりあえず防衛兵器屋敷に取り付けまくろうな。








 ベルドリクス家は屋敷や敷地の拡張に使用人の追加に……細やかなことは色々あるが概ね平和。


 カーグランドも国外関係が安定してきて地図の中央に陣取っているだけあり、安全な交易の国として人口も右肩上がり。


 新しく得た土地の開発のお金もポーションのおかげで潤沢で、開発の為に職がなくくすぶっていたならず者たちをどんどん雇って職に付けさせていった。



「急場しのぎではあるが家の無い者たち用の長屋も作った。開発作業を手伝っている者たちに貸し出すと言ったらすぐ埋まったからまた新たに立てているところだ」


「そこが起点で街になるかもしんねえから場所はよく考えろよ」


 今来ているのはゼルギウス陛下の執務室だ。もうほぼ宰相のようなギルヴィードおじ様がゼルギウス陛下の政策の最終チェックをしている。



「ごめんなマリア待たせて。マリアにはザックベル国で向かってほしい街のリストを渡したいんだ」


「いいですよ。みんな治していいんなら逆に簡単です」


「友好関係を見せつけるモンだからな。思いっきり派手にやってこい」


 そういうの、得意です! と治すしか能がないゴリラ聖女はガッツポーズをした。



「畑の場所が決まったらマリアには土地回復もやってもらうつもりだから、悪いが遠征が多くなると思う」


「帰りたくなったら一瞬で帰れる転移魔法を持っているので遠征はあまり苦ではないですよ」


 そう返せばゼルギウス陛下は楽でいいな~と気楽に笑う。


 王になっても明るさは残ったままで、シグルドたちを生かしておけてよかったと感じる。


 あちらの方は記憶が戻る気配はなく、ゼルギウスが心配で様子を見に行った時にうっかり出会ってしまっても一向に思い出す様子はないようだ。


 今では時々城を抜け出して遊びに行っては友人のように語り合っているらしく、兄と仲良くしたいとずっと思っていたゼルギウスさんは嬉しそうだった。





 ザックベルへ行くのはお互い周知や用意が出来てからの数日後らしく、少し時間があった。


(その間はリーベのレベル上げでも付き合うか)


 などと考えていたら考えが読まれたようにリーベの話をされた。


「それにしてもマリア、講和したばっかりのヴァンデミーア貴族を引っ張ってきたんだって? なんかあったのか」


 内心心臓が跳ねるように焦りながらも平静を装った。


「私が雇ってた傭兵のレヴィンがお世話になっていた貴族なんですよ。助けてあげたいじゃないですか」


 私が異世界人だと知ってる二人には異世界の話では使える人材だったと言えば納得はしてくれた。


「ヴァンデミーアは今揉めてるからな……気持ちはわかるが、あんまり首突っ込むなよ」


 はい。バレないようにつっこみます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ