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092 新作メタ話と情報整理

 

 シャルルの屋敷の庭園の花は色美しく綺麗な色分けで並んでいる、この世界に珍しく木を綺麗にカットして銅像の様にしてあったりと、なかなか見ない先進的なデザインだ。


 なにを隠そうゲルベルグさんの中の人は外の世界では色彩検定の勉強もしていたデザイン系の方だったらしく、このお屋敷の花の配置や家具などの色配置なども手掛けたらしい。チートかよ……。


 そんなゲルベルグさんはその美しい庭園を見て回る美しい二人組を見ながら満面の笑みで私と語らっていた。



「しかしギルおじといえば、乙女ゲーム禁忌の『主人公キャラ以外と攻略キャラをくっつける』をしても消されないのは僥倖でしたな」


「禁忌とまでじゃないけども……確かに好かない人はいるね」


 美少女ゲームと違い、逆に「ライバルちゃんもカレシが出来て私も出来て二人共ハッピー!幸せ!」というのが好きな乙女も存在している。


 最近は多様性というものがすごいので一概に絶対ダメというのもない。


 ゲルベルグさんは意外そうにギルヴィードおじ様とリルムの結婚から乙女ゲームの話をすれば、私は制作側の説明をし始める。



 誤解されがちだが乙女ゲームは恋愛ゲームであるけれど、根本の筋は恋愛じゃないことが多い。


 そこから恋愛に派生してルートに入っていくのだ。


 美少女ゲームでも人気になって色々メディアミックスをしていくうちに元は美少女ゲームだったと思われてないような作品もあったりするだろう。



「『外の私』が悩んでいたのは真エンディングへの構想で、どういうルートでいけば全員助けられるかっていうルート構築だったんですよ」


 全員を幸せにすることを突き詰めたストーリーを目標にしているから、おじ様とリルムが結婚しようがバッドエンドにならずクリア出来れば一つのシナリオの可能性として問題ないと思う。



 この世界での思念体の私に求められているのは『ネタ探し』だ。


 ここからヒロインとギルヴィードおじ様ルートに行くときは、それこそ私がリルムとおじ様をくっつけずゼルギウス陛下の命令でしょうがなく結婚するスタートとかにすれば良いわけだし、恋愛部分の差し替えは簡単だ。


「外の世界で話が凄まじくすげ変わったとしても『この世界のリルム』を幸せに出来たから私は満足よ」


 新しい可能性を見出せたらこの世界には価値があるのだから、サキュバスの使い道として100点だろう。



「前作からのギルおじガチ勢は寝取られ展開がルートの一つにあるだけでブチ切れ案件では〜と思っておりましたが、なるほどなるほど……」


 確かに別の恋人ルートが存在しているだけで運命という言葉に夢を感じる乙女は『私以外と結ばれることも出来る男なんだフーン』とがっかりすることもありえる。


 その辺りの折り合いも『外の私』が考えて調整することだろう。私には関係のない話だ。



 安心したようにお茶を飲むゲルベルグさんだが、ゲルベルグさんこそ『一緒に異世界に飛ばされたシャルルを追いかけるコミカルな友人腐女子キャラ』とかにされそうなものなんだけども。


 そう言ったら「せめてオネエのおじさんあたりでお願いしたい!」と要望を言ってきた。今とほぼ変わりないよそれ……ていうかヒロインずいぶん濃い友人持ってんな。



 今はゲルベルグとして助けてくれてるけども、ゲルベルグは悪役のままで、この枠は新キャラに差し代わる可能性もあるだろう。


 ……ああ、そしたらリルムも新キャラになるかもなあ。



「リルムがアウトって上に判断されたら、リルムも男に変更になるんじゃないかな」


 女キャラでヘイト生むなら攻略キャラにしてしまえばよかろうなのだ精神。


 あまりにも可哀想な設定にしてしまったので女から男になったとかも制作ではよくある話だ。



 そんな風に軽く喋っていたらゲルベルグさんが真顔になっていた。


「え……結婚したギルリルが男同士に……? なにそれ……ヤバ……今のギルリルがまともに見れなくなります……」


 次の新刊はそれにしようかな……と、ゲルベルグさんは新しい扉を開く寸前といった驚愕の顔でこちらを見ていた。怖いよ。





 メタ会話もそれくらいにして現状を話し合おうと話を振り直した。


「そちらの方で動きとかありましたか?」と聞けば、さらりと本題に入ってくれた。



「戦争が終わったとはいえ、危機意識があがったのか武器需要は増えております」


「事実ヴァンデミーアとカーグランドを挟むモノリスら三国が滅んだものね」


 カーグランドがヴァンデミーアを止めなければ自国もどうなっていたかわからないとくれば、自然と武器需要は上がるだろう。



 死の武器商人『モブおじ商会』もキチンと機能しているみたいで、情報が入ってくる。


「ヴァンデミーア革命軍についている商人たちも武器を買いに来ておりますな」


「当たり前だけどフィンスターにも革命軍のことはバレてるのか……」


『モブおじ商会』にはフィンスターも関わっているのだが、ゲルベルグさんはフィンスターを正規雇用して仕事をしてもらい給料を払っている。



「一応口止めはしておりますので、どこかしらからギルおじ殿の耳に入るまでフィンスターから言うことはないかと」


 ギルヴィードおじ様とはリルムちゃんを保護するという契約の元協力しているので無償であるが、フィンスターがリルムちゃんグッズを購入しまくれていたのはゲルベルグさんからのお小遣い(と言うにはとんでもない額だろうが)だ。


 契約の穴をついて「ギルヴィードさんにその付近を調べろと言われるまでは黙っておきます」と言う返事にはなったが黙ってもらうことは成功したようだ。



「ただ、フィンスターはマリア神を心配しているようでしたから、ノアたん以外のことならわりかし協力してくれそうではありましたぞ?」


「ええ〜? フィンスターが?」


 あんまりそんなイメージがなかったので懐疑的だ。


 リルムと会わせた恩とかまだ残ってくれてるんだろうか。


「多分マリア神が思うよりフィンスターはマリア神のこと気に入ってますよ」


 家族ですからな。と、ほっほと笑うゲルベルグさんがフィンスターと何を話しているのかちょっと気になった。






 すぐに話は変わり、次は国間で揉めてる国の話になる。


 前々から仲が悪いと指摘されていた魔神連邦ガノンと宗教大国クレルモンフェラン。


「あと聞いていてきな臭いのは、クレルモンフェランとサンドール国ですな」


「サンドールかあ……クレルモンフェランとは友好国だけど、『聖女勇者』でも色々あったもんね」


 華やかなお菓子をテーブルに並べ、美しい庭園で戯れるイケメンたちをみながら武器流通から各国の友好関係を語り合う女子会……何かが間違っている気がする。



「クレルモンフェランは宗教大国として栄えてきましたが、その宗教のおおもとであるラフィエル様はカーグランドのマリア神に夢中ですからな。一番の大国だったクレルモンフェランの力は弱まっております」


「まぁ……そうなるよね」


 各国食道楽しているとはいえ、こんだけ立て続けにラフィエル様が力を貸すのがカーグランド(私)じゃあ、ラフィエル様好きなら「ならカーグランドいくわ!」ってなるに決まってる。



「今回のクレルモンフェランのカーグランド侵攻――もとい救援のルートにも使われたのに礼もなく、食料も用意させ、サンドールをお財布扱いでした」


「友好国とは言っているけど、完全に扱いが属国のそれだね……」


 うわ……とちょっと引いた声が出てしまった。



「クレルモンフェランの友好国のサンドールはマリア神も知っての通り、特に信仰心の強いお国柄ですから……信仰先の無い国に従わなくて良いと、民からは属国脱却すべしと活動が盛んなようです」


「サンドールか〜……ゲルベルグさんはサンドールの攻略キャラ、好きそうだよね」


「はい! でも一番はやっぱりシャルルたんですな〜〜!」


 ゲルベルグさんは笑顔で答える。外の世界で薄い本を執筆していた時はシャルルとヴァンデミーア辺りしか描いていなかったが、好みの系列で言うと好きな部類なようだ。



「だよね……なんというか、猫系? シャルルとノアストティが好きならサンドールの攻略キャラも好きだろうと思ったよ」


「そういうマリア神は私の好みは逆に苦手そうですな」


 犬系男子がお好きなイメージです。と言われて、確かにカムイとかリーベとかレヴィンとか……手のかからない人は楽ではあった。


「ゲームクリアにおいて言うこと聞いてもらえないと困るから、そっち系が扱いやすいというか――……」



 ギルヴィードおじ様も利害が一致したから良いものの、殆ど私が従ってた。


 フィンスターも従順に見えて平気でこっちの不利なことをやるから、ギルヴィードおじ様とリルムによってなんとか舵取りしてもらってた。


 エリウッドは唯一普通に正規攻略しちゃっているのと本能的なところがあるので実に御しづらく、ザックベル国から動かせない。


 シャルルとかゲルベルグさんがいなかったらどうしてただろうと思う程の言うことを聞かないトラブルメーカーだったはずだろう。



「うん。従順な犬系好き」


「夢も希望もない好みですなあ」



 サンドール国は可哀想だし、攻略キャラがいる国ではあるから助けたいとは思うんだけど……私、あの手のキャラ苦手なんだよね……。


 全キャラ大好きと言ってくれてるファン(ゲルベルグさん)の前では言えないけれど、現実ではあまり関わりたくないタイプである。


 創作と言うのは摩訶不思議で「二次元のキャラとしてはいいけれど、実際に居たらめんどくさいし関わり合いたくないだろうな」というキャラが大人気になったりするのだ。


 ノアストティとか良い例だろう。女の敵やぞ。



「あの高慢な鼻っ柱を叩き折るのが良いんじゃないですか〜」と好みを語るゲルベルグさんは流石のモブおじさんだ。


「でもレヴィン×リーベも好きですよね」


「レヴィリーは聖域」


 甘い物は別腹かの様に遠くにいるレヴィのとリーベ二人を満面の笑みで見るゲルベルグさんに、気付いたリーベは遠くから手を振った。



 なんにしても、今のところどの国もカーグランドに攻め入る気配はなさそうでよかった。


 平和が一番。














 しばらくしてもう完成したらしい眼鏡をみんなで見にいった。


「元の眼鏡にレンズを変えたダケなので、大したコトはしていまセン」


 リーベがその眼鏡をかけると、顔の印象が変わり、いつものキラキラエフェクトがオフになっていた。


「どうかな」


「おお〜〜!!」


「嗚呼! 嘆かわしい!!」


 シャルルは自ら作った発明を直視出来ず目を両手で覆った。



「こっ、これは! 眼鏡を外したら美少女という、伝説の眼鏡なのでは……!!」


 ゲルベルグさんだけ発想が二次元だが、これで違和感なくリーベが街に溶け込めそうだ。



「どうもありがとう。シャルルさん」


「嗚呼フェアリー……ッ! ワタシと話す時はどうかその眼鏡を外して下さいネ……」


「フェ……? う、うん。わかったよ」




「変装用としてかなり使えるね。シャルル、私やカムイやレヴィンのも作ってもらえる?」


 新たな眼鏡の追加を頼むとシャルルは元気を失う様にその場に倒れた。



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