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088 上流貴族の嗜み

 


 ギルヴィードおじ様とカーグランドの今後について話し合った私は、次の日レヴィンの屋敷に来ていた。


 ――リーベを仲間にしたは良いが、ヴァンデミーアの問題は一切解決していない。


 確かにリーベはこちらで預かったから無事ではあるが、首都のレオンハルトが孤立している問題はなんら解決していない。



 そしてまだ誰にも話していない民の反乱の兆し……


 リーベやレヴィンがいる前で、他国だからと見て見ぬふりは私には出来ない。


 なので、無策ながらもなんとか出来ないかと二人に協力を仰ぎたいのだ。



 リーベの留学だが、ギルヴィードおじ様がゼルギウス陛下の許可も(事後だが)取って下さったらしく、国王陛下の認可も貰っている。


 一応法律的には戦争が終わっているし留学に来ることは違反ではないのだが、何かあった時の保険というやつとしてギルヴィードおじ様が手を回してくれていた。


 原作『聖女勇者』では鬼畜おじ様伯爵として慣れ合わずクールに佇んでいるだけのおじ様だったが、この世界ではすっかりみんなの保護者が板についている。



 持つべきものは出来るおじ。


 しかしそのカーグランドの頼れるおじ様もヴァンデミーアを助けるとなると高いハードルになりそうだ。









 レヴィンの屋敷には客室の一つを私の魔力に反応して転移した位置を合わせてくれる転移装置を置いてもらって、そこからお邪魔している。


 同じ部屋にギルヴィードおじ様用のもあり何かあった時にギルヴィードおじ様も使用出来るようにしていた。



 これは結構使えるので我が家は勿論、シャルルの研究所、ゲルベルグさんのお家、お祖父様達の屋敷などなどに設置していた。


 ヴァンデミーアのマーカチス家にも置いてもらうべきかな? 何かあった時用に。



「いらっしゃいませ。マリア様」


「うん。お邪魔します」


 奴隷の使用人だが、それぞれ門兵、掃除や洗濯、料理、リーベのお世話係、竜であるジェノスのお世話係と結構な人数を雇っていた。



「少しの期間とは言え坊ちゃんに粗末な暮らしをさせるわけにはいかないしな。どうせ戦争の褒賞金なんて泡銭だ。坊ちゃんが戻る時に全員解放すれば良い」


「雇った分だけ救えるのなら、無駄ではないと思う……かな。レヴィには後で何かお礼をするよ」


「いえ、マーカチス侯爵家にはもう十分頂いてますから」



 元ならず者のレヴィンにも優しかったように、二人は奴隷の使用人を大切にしているようで、使用人たちの服は新しく、見た目も清潔だった。


 奴隷の名残があってまだ痩せ気味だけど、ちゃんと栄養のあるものを取っていけば奴隷に見えない姿になるだろう。



 絶対に秘密を口外出来ない奴隷契約をしている為(さすがにリーベがヴァンデミーア貴族であることは言っていないようだが)ある程度ちゃんと雇った理由と経緯を話してあるそうだ。



 しかし私の話まで聞いてしまうと帰る時に解放することは難しい。


 というわけでセキュリティ対策の高いベルドリクス家の方でお話することにしたのだ。



 世間話もそこそこに、ベルドリクス家に転移でお二人様をご案内した。


「それにしても、ベルドリクス家の周りはいつも凄い人だね」


 ベルドリクス家に転移するとすぐに外の喧騒が聞こえてくる。



「そうなの。だから今はこうやって転移でベルドリクス家に入れるしか出来なくて……」


 まだ幼児のサキュバスに求婚する者が後を絶たないベルドリクス家の屋敷前は騒がしい。


 廊下に出れば目の前に見える門前には人の山。



 騒ぐ方が心象が悪い気がするんだけどなあとため息をつく私に、レヴィンは「そうやって相手が疲弊して構ってくれんのを待ってんのさ」と、疲れた様に外を眺めた。


「世の中ゴネたモン勝ちだからな」


 レヴィンの達観した、人の業を嘆くようなセリフは原作でもよく話していた。


 ストリートチルドレンとして育った貧しい少年時代に何があったのか。細やかな設定などは設けられていなかったが、人間社会の闇に触れていたのだけは確かだ。



 リーベはわかってかわからずか、敢えてその話には触れず沢山の人が群がる外が気になり窓を覗こうとする。


「坊ちゃん、外に顔が見られたら厄介です」


 外から窓側に見える前にレヴィンによって身を隠された。


「あっ、そうだね」


 ありがとうと微笑むリーベに気をつけて下さいよとまた小言を言う。


 顔はいつものレヴィンに戻っていた。


 基本的に人間に絶望している彼だが、懐に入れた者にはとことん優しい。



 10年来の主従なだけあって上手いこと噛み合ってるな〜と感心していたら、ここの屋敷の現主であり大黒柱である、ギルヴィード伯爵様がいらっしゃった。背後にはフィンスターの影である従者もいる。


「外でピーチクパーチク……毎日うるせえ奴らだな」


「今回は平民にもチャンスがありますから、コネも無い平民が一攫千金するには根性が必要だと思ってるのかもしれませんね」


 自分の娘が『一攫千金』扱いにピクリと眉を動かす。


 いつの間にやら子煩悩でめでたい限りだ。



「おじ様、いい加減うるさいですし、帰しましょうよ」


「追っ払えば平民はいなくなるかもしんねえが、他国の貴族は出ていけば対話を求められるぞ」


 どの国にも属していない内陸のカーグランドとしては全てと波風なく交流したい為、他国間に下手な亀裂を与えたく無い。


 貴族でもウチにアポ無し突撃をかます様な貴族は国間の事など考えてないし、そういった無敵な貴族はタチが悪い。


 平民だって不法侵入して捕まって情けをかけてもらい、お近づきになるなどの手を実際使って来ている。


 それこそ上層部が馬鹿を放置させていて、カーグランドと揉め事が起きたらこれ幸いとチクチクと有利な交渉をする可能性だってある。


 何を仕掛けてくるかわからないから、特に悪いこともしてないのに門前を塞がれ家から出られないという状態になっているわけだ……。



 リーベは考え込むように私たちを見つめ、提案を口にした。


「来て頂いた方のお名前やご住所を控えるのでは駄目なのかな?」


「え? ああ、整理券を配布するってこと?」


 まだサキュバス事業部も未完成だから出来次第この順番に並んでくれたら対応するよって話だろうか?


 でもメルフィアちゃんはまだそんな歳でもないし、そもそも好きになった人が好きな人なわけで、見合いをさせるつもりは全く無かった。



「いや、我が家では来客が多い時は誰が来たのかとお名前や地名を書いて帰ってもらっていたんだ」


 私はファミレスの客が待つ時に書く名前欄のようなものを頭に思い描く。



 リーベから目をスライドさせ、通訳のレヴィンの方を見れば、説明を付け足してくれた。


「ヴァンデミーア貴族内では上流貴族に下流貴族たちは挨拶に行かなきゃならないんだが、下流貴族の方が圧倒的に多いから行列になるんだ。だから一筆かいて帰るようになってる」


「その行為に対して上流貴族はなにかするの? お返しとか」


「いや、挨拶をさせることを許されただけで名誉なことだからな。どちらかというと挨拶に来ていない者は敵対者かと疑われる」


 つまり自分の派閥傘下に入る意思があるかのチェックというか……日本で言う参勤交代みたいなやつか?


 ……めちゃくちゃ『ヴァンデミーア』って感じがする風習だ……。



 そんな上からな事は出来ないが、リーベの言うように用件と身元を聞いてやれば一旦の終了として事は沈静化に向かうかもしれない。


 やることがクレーム対応のそれに似ている気がするけれど、事を荒立てたくない策としては妙案なのか?


 そんなことを考えていたらベルドリクス家の捻くれ者、ギルヴィードおじ様はリーベの提案を歪曲して受け取った。



「成る程、ブラックリストか」


「そういう使い方ですか!?」


 案を採用し、紙になにやら書いてからフィンスターに渡し、順番に名前と身元を書かせる様伝えていた。



「このリストは俺が目を通すと書いておいた。書いたヤツらには『ちゃんと覚えておきます』と言っておけ」


「はい」


 その()()()()()のは『面倒な突撃をしていた厄介者』としての意味だろう。


 名前を書くだけ書いて呼ばれないファミレスってことか……か、悲しすぎる。








「ああ、そうだマリアさん。少しお話があるんですがちょっとだけ時間もらえますか?」


 話が一区切りつき、ギルヴィードおじ様と別れようかと思っていたら引き止めたのは意外にも従者であるフィンスターの影だった。



 そういえば、『この従者が実はフィンスターの影で存在していない架空の人物』とかホラーすぎるから使用人たちには黙っている方向になっている。フィンスターの影分身能力が色んな人にバレるのも得策ではないし。


 ちなみに特徴のない平凡な顔ではあるが有能な為、惚れてしまう使用人なども多かったこともあって私のメイドとして潜伏しているフィンスターの影と付き合っていることになっているようだ。


 最初その話を使用人から聞いた時はお茶噴き出しそうになったよ。




「リーベとレヴィンと予定があるからあんまり長いのは無理だけども」


「お時間は取らせません」


 これを、と影の従者が渡してきたのは紙の束だった。



「諸国からの手紙ですが文官全員で仕分けし、ヤードさんが内容別に宛名名簿をまとめ作りましたので、そちらを読んでいただけたら特殊な手紙だけ読むだけで済むかと思います」


 さっき出来たものなのか、ギルヴィードおじ様にもまだ渡していなかったらしく、その場で渡していた。



「ええ~~~っ! 有難い~~! 内容殆ど一緒だったから飽きてたの!」


 ヤード先生はシグルド派閥からの文官ではあるが、今は秘密事項も知っているベルドリクス家に文字通り骨を埋めるしかない人だ。


 そ、その分ヤード先生夫妻用の秘密作業(グラフ作り)をする個人部屋とかもあるし優遇はしてるから許してほしい……。



「手紙の内容の数からベルドリクス家に何を期待しているのかなどの推移が図れたら、と言っていましたね」


 会社でもあったな。お問い合わせの量で重大性を測るやつ。


 炎上した時とか「みんなでお問い合わせしろ!」っていうのは量がパワーだからだ。


 平民出ではあるがヤード先生は商人の家系であることと、グラフ製作を任せているだけあって手紙すらも数字で図ろうとするのは流石である。



「へえ、ベルドリクス家では面白い試みをするんだね」


 リーベは感心したように私の手元を覗き込んでいた。


「坊ちゃん」


 一応敵国の貴族であるリーベが下手な情報を知ってしまうのはお互いに利益がない、そんな心配をしてレヴィンはリーベを窘めていた。



 私はリーベと身体的には同い年くらいではあるが、精神年齢はかなり上なのでリーベを見ていると『年相応の子供の行動』の動きの参考になる。


 今ならさっきの様に子供だから許される無知な行為としての行動もいくつか出来るわけだ。外交で他国の前に出る時に参考にしようと私はひっそり観察していた。



「レヴィン大丈夫よ。交友のお手紙をまとめてあるだけで機密とかじゃないから」


 機密事項とかあったらフィンスターはこんな廊下で渡さないわと笑えばレヴィンも納得し、好奇心旺盛なリーベに一緒に見ましょうと誘えば喜んでいた。



 最悪、うっかりリーベが何らかの機密事項を知ってしまったとしてもいざとなったらリーベを帰さなきゃいいし――……って、それが困るからレヴィンは見せないようにしてるんだろうな。


 屋敷に地下牢がある質実剛健な軍人伯爵家に敵国の能天気お坊ちゃんがいるのは確かに心配にもなるだろうよ。



「内容ほぼ一緒じゃないかと思ってたけど、結構色々あるのね」


 一番多いのはもちろんサキュバスへの求婚であるのだが、その前のお伺いのジャブ(子供が何歳くらいかとかすらわからない状態だもんね)、聖女である前に令嬢である私へお茶会のお誘い、総括のギルヴィードおじ様と交流を図りたいという意もあるし、神獣に触れている手紙もある。



 一通一通の手紙をデータ化するなんて情緒がないなど言い出す人はいそうだが、こういうリスト化は可視化しやすくとても便利だ。


「これに返したい文等ある者が居たらその由を教えてください」


 ギルヴィードおじ様はざっとリストを一巡した後、フィンスターに顔を向けた。


「来た手紙より少ねえように感じるが」



 そうギルヴィードおじ様に言われるとフィンスターは珍しく困り顔で返事をする。


「難しい文法や詩などで送ってくる文化圏もあるので、下級貴族や平民の文官たちでは解読できないんですよね」


 雅なことだな。とギルヴィードおじ様が鼻を鳴らしてはいるが、結構困った事態である。



 実力主義のムキムキ文官たちは元々外交用で雇っていたわけではない。


「僕は調べものなら出来ますけど、柔軟な立ち回りが要求されるような貴族の返事とかは出来ません」


 人々を影から見守っているからと言って国特有の雅な文章なんて暗号的なものまで知ってるわけもなく。



 一応処理できなかった手紙は別としてお二人にお渡しする予定で持ってきてあります。と手紙を読めば、まさに暗号文のような詩の文。


 現代日本人にいきなり平安辺りの古語を詠めと言われている感覚だ。いや、美しい文字が並んでいるのはわかるんだけど、義務教育レベルじゃわからない。



「教養の無さを馬鹿にする為の嫌がらせなのかな……」


「ありえるな」


「これだから外交イヤー!!」


 ギルヴィードおじ様も軍人伯爵なだけあって遠方上流貴族なんかとは一切関わっていなかったようで、その辺りの手紙はお手上げだとか。



「ゼルギウス陛下に一人だけでも外交に強い文官を貸し出してもらえないか聞いてみるしかありませんね」


「確かに専門家に処理してもらうしかないけどー……でもカーグランドって今どこも忙しいでしょう? 王宮の文官なんてそう借りられるかな」


「ウチじゃ処理できねえんだから、借りるしかねえだろうな」


 新しく文官を募集したところで外交に強い上流貴族な文官なんてそういるもんじゃない。



 悪戦苦闘する私たちを前にしたリーベは、少し考えて口を挟んできた。


「僕が見て大丈夫な案件な様なら、僕が返事を考えようか?」


「リーベが?」



 少し貸してもらえるかな、と私が持っていた怪文書のような風流なお手紙を一読すればリーベは直ぐに明るい顔で私に文の説明をしていく。


 リーベによると最初のこのラフィエル様を称える文章は挨拶で、その地で信仰している土地神と言われるご当地神様の話をすることで自国のアピールをし、手紙のメイン部分を書いた後に結びで最近の流行り病を花に例えながらご自愛くださいで結んだ友好的な文書だという。


 説明されてもサッパリ意味がわからない。


「この国の挨拶は独特だからわかりづらいけど、単語を覚えてしまえば形式は一緒だから、大丈夫。内容も凄くフレンドリーな文面だよ」


 単語辞書が無いなら良く使う単語を何処かに書こうか?と、爽やかな笑顔で返してくる。



 ――そういえばリーベって、軍略スキル全部覚えてるくらい頭が良いんだっけ……


 レヴィンの方を向けば私の言いたい言葉をわかったのか、代わりに返事をくれた。


「坊ちゃんは元々文官にさせる予定で教育を受けていたから、外交の類はかなりのものだと思うぞ」



 そっ



「即戦力が来ましたーーーー!!」


 私はリーベを連れて文官の執務室の扉を開けた。


 外にも出れない為、屋敷内で寝泊まりしてはいるものの、あまりの忙しさで疲労により虚ろな過労文官たちは何事かと目を向ける。


「さる国から留学に来た上流貴族の御子息です!」


 と言った後、思考が停止していた文官たちの脳まで意味が伝達されると「これで怪文書とおさらば出来る!!」と大声で喜び合った。



「リーベ!! 申し訳ないんだけど、手伝ってくれないかな!? 話し合いはまた今度やるから!!」


「う、うん。マリアが大丈夫なら構わないよ」


 ヴァンデミーアの今後の話し合いも大事なのだが、今は停滞した仕事をなんとかしたい。






 ――ヴァンデミーア貴族は戦争でとにかく杜撰だったから、無能なイメージがどうしてもあったのだが……



 他国の王族や上流貴族たちの難文をサラサラと解読し、返事のテンプレートを作るリーベを見ていると『流石大国ヴァンデミーアの上流貴族』。


 そう思わずには居られなかった。


 しかも


「字ィうま!!」


 前から立ち方も背筋が伸びてて上品だとは思っていたけども、座って文字を書く姿勢も美しく洗練されていて、見た目を誤魔化す為に平民服を着ていてもリーベから出る高貴さは全く隠せていない。


 人を表すのは顔や性格だけじゃないんだな……。



「坊ちゃん、香りはとりあえず万人ウケする香りを焚き付けておけばいいか?」


「そうだね。これだけあると種類を分けるのも難しいし……」


「香り!?」


 確かに上流貴族の手紙からはやたらといい匂いがした気がする。



 女の子からもらうお手紙にもたまにそんな匂いがしていたが「可愛い子って手紙までいい匂いすんの?」くらいしか思ってなかった。


 極小国のストイックな軍人伯爵家はそんな細やかな気遣いなど全くしていなかった。



 それにしてもレヴィンもその沢山学んでいるリーベの側でずっと護衛を務めていただけあり、こんな外見で貴族のルールに詳しかった。


 戦だけじゃなく外交まで出来るの……え……アニキかっこよすぎ……


 文官たちまでアニキと呼び出しそうな勢いだ。


 詳しくないと護衛やってる時に殺されかねないというのもあるかもだけど、とにかく意外だ。



「すみません! この文面もチェックしてもらえますか」


「こ、これもお願いします!」


 大陸一貴族マナーが厳しいであろうヴァンデミーア国の一流貴族、リーベのおかげで難航していたお手紙問題はかなり片付いた。



「本当にありがとう!!」


「ううん、僕も勉強してきた事が役立って嬉しいよ」


 返しすらまさに王子。しかもいつものキラキラ笑顔付きだ。


 マジでフっツーに良い子である。



「何かお礼するよ。お金払わせて!」


 感謝に課金しようとするのはオタクのクセではあるが、今回はお給料が発生する案件であるし、出来れば今後も手伝ってほしいので美味い報酬を渡したい。



「そんな、マリアたちの力になれただけで……」


「坊ちゃん、労働には正当な対価をもらわないとあっちも困るぞ」


 そうそう。タダより高いものはないからね!


 奴隷の使用人沢山雇ってお金も心許ないだろうし、やっぱり現金とか……


 そう言いかけたあたりで、思考していたリーベからお願いが出た。



「……なら、僕がマーカチスに帰る時に解放する使用人たちの、次の仕事の世話を頼めないかな」


 今色々教えてはいるんだけど、まだ不安だから。



 そう言ってきたリーベの後ろにいたレヴィンは昔の自分と重ねてたまらないような顔をしていた。


 ……わかるよ。



 私もリーベをやれ世間知らずだ、やれお花畑の王子様だ、と言っていたけれど、ここまでお花畑を貫かれると




「…………天使か?」




 としか言えなくなった。

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