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035 シャルル=カルーセル

※最初にマッドなシーンが出てきますが苦手な方は重要な部分でもないので軽く流してください。

 ◇


 薄暗い実験室にある実験場で、動物達がウゴウゴと蠢いていた。


「そろそろ喋る気になりませんかネェ……」


「だ、誰が喋る気など……」


 いかにも軍人風の男は縛られ尋問をされていた。



「仕方ありませんネェ……もう一杯飲ませなさい」


「はい」


 シャルルは飽きた様に弟子たちに指示をする。



「もごっんっご……っ」


 男は薬を飲まされ苦しそうに呻く。男の男根はパンパンに腫れ上がり苦しそうにズボンを張り上げていた。


 男は叫び狂いながらイかせてくれと叫ぶ。



「ならアナタを雇った国を言いなサイ」


「ジェラール王国だ!! だから!!」


 ペラペラと男は情報を吐き出し、弟子がそれを撮影し、メモに取る。



「言ったぞ! だから……!」


「ご苦労様デス。ワタシは約束は守りますよ」


 そういって男を家畜部屋の中に入れた。



「おっおっ! おお〜〜っ!」


 男は豚に襲いかかりながら動物の様な声を上げていた。




 貴族の中で、平民の価値は物に等しい。


 もっとも今は死刑囚や敵国のスパイなどを使って実験しているが。



 モノリス国が誇る、カルーセル公爵家の次男。


 彼に言えば、素材さえ用意すればなんでも作れると話題になるほどの世紀の大発明家。


 その名声は国を飛び、国を跨いで彼の発明を求める者も数多い。



 シャルル=カルーセルは天才発明家であり、貴族で奇人であり、マッドサイエンティストだった。



「人間は理性的なのが特徴デスのに、これじゃあタダの動物ですネ」


 シャルルは鼻で見下すように笑いながら実験動物たちの交尾を見る。



 おっおっと声にならない鳴き声を鳴らす男を使い潰した道具を見るかのように目線を外した。




「死なない程度の快楽を味合わす拷問兵器とか、軍部は良く思い付きますね」


「自白剤としては有効かもしれないですけど、えぐいですよね」


 弟子たちは呆れながら揃って薬品を調合する。


 えぐい師匠とえぐい依頼がきすぎて麻痺しているのだ。



 シャルルは自身の研究の為に金策の媚薬を作っていた。


「この前のヤツ、快楽が止まらなくなる薬に10万ベルも払ってったよ」


「それを言うなら尻で感じるようになる薬を15万ベルもおかしいだろ」


「フゥ……人の欲望は尽きないデスからねェ」



 媚薬に精力剤、巨根薬に豊胸薬……


 人の欲望は金になる。


 シャルルは呆れながらも自身の研究費の為に求められるまま薬を作っていた。



「特に最近の……あの豚は酷いですね……」


 黒髪の弟子、ロクトは険しい顔で思い返すように言った。


 それを聞いてシャルルは嫌なものを思い出したかのように綺麗な顔を顰めた。



『シャルルた……シャルル殿、お邪魔してもよろしいですかな』


 グフフ……という声が似合いそうな顔でシャルルの研究所をほぼ毎日のように訪れる客……。



「金払いが良くなければすぐに切っていたところデス」


 不愉快な豚……ゲルベルグは逆に気持ちが悪い、異常なまでの羽振りの良さでシャルルの薬を求めた。



「男娼に仕上げる為の男が尻で良くなる薬とかも大量に買って行きましたし……奴隷商でも裏でやってるんでしょうか」


「それとも自分で……うわっ想像しちゃった。気持ち悪い」


 弟子二人もゲルベルグには嫌悪感しかなく、彼が来た後は必ず換気をしたりと邪険に思っていた。


「性欲剤や道具……果ては記憶媒体まで幅広く買っていきますケド……目的が見えませんネ」



「ここを娼館(キャバクラ)かなんかと勘違いしているなら帰ってほしいです!」


 茶髪の弟子、ビスタはプン! と可愛い顔をとがらせて言った。



 そんな可愛い弟子にふふと笑いながらシャルルは貴族なのに平民から金をむしらなければ成り立たないこの研究所にもどかしさを覚えた。








 そのシャルルは今、上機嫌だった。


 楽しそうに薬を調合し、その結果を頭の中で分析し口頭で整理しながら茶髪の弟子にメモさせている。


「シャルル師匠、またモノリス国から『国を介さない他国への発明はやめろ』と通達が来てましたよ」


 真面目そうな黒めの青髪の弟子・ロクトはシャルルへ手紙を持ってやってきた。



「他貴族の領主すら他国と取引して交易しているというのに保障もないのにワタシだけやめろとは随分お粗末ですネ」


「先輩の発明はとんでもないことになる可能性があるからなんじゃ……」


 シャルルを先輩と呼ぶ弟子は研究員時代見込みがあるとシャルルに気に入られ振り回され続けている可哀想な茶髪の弟子・ビスタだ。



「ンン~~ッ何も支援も無し、ウチの顧客は常に監視、こちらの依頼状況など顧みずいきなり国の軍備を要求し、ショバ代(国税)だけ払えとは見上げた根性デス。出て行ってやりましょうカ」


「先輩! そんなこと軽口でもいったらマズいですって!」


「だってこんな国、面白くありませんシ」


「先輩~!」


「ビスタ、師匠の話も最もだ。支援金を要求はしてみよう」


「まあ……国から頼まれる依頼は呪いの道具とか意味わからないカラフルな爆弾とか難しい製作が多いのに報酬が割に合わないしシャルル先輩のモチベーションが落ちてるのもわかりますけど……」


 ビスタもモノリス国に文句はあるようだ。



 はぁとつまらなそうにこの国はつまらないと不満を漏らすシャルル


「しかし今日のワタシはハッピーなので許してあげマス!」



「師匠やけに上機嫌だな」


「最近毎日のように来てたキモ豚商人がカーグランドの方に遠征にいくことになったんだって」


「あぁ……あの気持ちが悪い……」



 毎日プレゼントや金を貢いでくるので無下にも出来ず、相手にしているが「グフッ きょ、今日もかわいいね……」とか言ってくる気持ちの悪いおっさんだ。


 美しいものをこよなく愛するシャルルとしては同じ空気を吸うのも嫌だろう。


 常に眉間に皺が寄ってゴミみたいな目で見ているのにそれすら嬉しそうにしていて気持ち悪い。



「シャルル師匠の発明が目当てというよりはシャルル師匠が目当てかのような気持ち悪さがある」


 シャルルは確かに男にしては美人だ。貴族というのもあるんだろうが、シャルル自身も美に対して一定のこだわりがある。


 突飛な行動をして振り回すメチャクチャな師匠だが顔の良さだけは弟子たちもそれは認めている。



「そうそれ! いつも気持ちの悪い媚薬やら性欲剤やらなにやらを頼んできて……いや、そういうのを頼んでくるヤツは山のようにいたし、金になるからストックはあるけどさあ」


「セクハラするオヤジみたいな顔で頼んでくるのがな」


 思い出したように嫌な顔をする二人。



「シャルル先輩っていつも余裕があって、奇人変人で、素顔が見えないポーカーフェイスだと思ってたんだけど……、そんな先輩のあんなゴミを見る目初めて見たよ……」


「師匠が最近ストーカー被害にあっている女性のように見えてきて不憫でならない……」


 なんだかんだいいつつ忠誠心の高い弟子たちは師を心配するように見る。




「マァ、あの豚のお陰で研究施設も随分と新調したり、資金が潤沢になりましたケド……やっぱり居ないと解放感が違いますネ!」


 爽やかに笑いながらソファに座るシャルル。その高いソファもゲルベルグがくれたものだ。


 物や金に罪はない。ということで有難く使わせて頂いている。が、


「早いトコ全部搾り取ってオサラバしたいとこですネ」


 綺麗な顔で笑うシャルルの言っていることはクソ太客を持つキャバ嬢のソレだった。






 ◇






 冷静沈着、カーグランドの冷酷無比なキレ者の凄腕魔導士、後の宰相。


 そんな設定をもつギルヴィード=ベルドリクスを困らせるモブおじさん。凄い図だ。



「私は!! シャルルたんと! イチャイチャしたいい~~~~っ!!」



『中身は女性』ということで周りも可哀想な目で見ているが、その人は『汚いオッサン』としてシャルルたんとあんなことこんなことしたいって言ってるので、優しさは捨てたほうが良いと思うの。



「まあ確かにモノリス国は今、シャルル=カルーセルに国が一つ壊滅しそうな病原菌やら王都を遠くから撃ち落とす大掛かりな魔導具やらを作らせようとしているので、脅威にはなりそうですよね」


 さらっとフィンスターが物凄いこと言った。


「え!? シャルルにそんなことさせようとしてるの!?」


「費用が馬鹿にならないので、お金が足りないという理由で今は停止されていますけど……」



 確かにシャルルは原作でもマッドサイエンティスト的なところはあった。


「一番放っておいたら危ないキャラじゃん……」


 私は冷や汗をかいた。


 原作ゲームでは仲間にいれておくと兵器が使えて便利だが、パーティに入れてもフルオートランダム行動で言う事をきかない、トリッキーな特色のキャラだったが、現実にすると相当厄介な人物となる。



「天才発明家シャルル=カルーセルは軍事面でも頼りなりそうだし、仲間にするのはやぶさかではないのだけど……」


「なら! その仲間にする役目を私めがしますので! 何卒支援を!!」


 なんでもシャルルたんはヒロインだったらその程度でもなびいてくれたアイテムでも全く靡かず、もっと貴重なものでもないと興味が向かないのだそうだ。



「顔面で露骨に態度変わってる推しみるのって辛くないですか?」


「いや、シャルルたんらしくて凄く燃えます……!」


 それでこそモブレ(犯罪行為)し甲斐がある……! と言っている人を応援していいのかさっぱりわからない。


 プライドがエベレスト並の高飛車キャラを堕とすことが大好きらしい。とんだ性癖だ。





 どんちゃんし始めた会議室で、真面目な学級委員長ギルヴィードおじ様が閉会の合図をする。


「とりあえず詳しい書面はまた決めるとして、ルートやさばく方法考えとけよ」



 結局ポーションの取引と別口で、ゲルベルグがシャルル=カルーセルを仲間にする算段を考えることになったのだが、クレイジーサイコ神獣フィンスターが最適だということで影を一人、監視の意味も含めて連れていくことになった。



 なんていうか……会ったことないけど……ごめん……シャルルたん。



 シャルルたんは犠牲になったのだ……。






『聖女勇者』でシャルル=カルーセルは、攻城兵器や発明という唯一無二の特性を持つキャラ。魔物知識も豊富であると便利な面があるよって感じの扱いである。


 魔法がある世界なので、大砲とかが無双するかと言われると微妙だけど、兵器は常時一定の攻撃をしてくれるのでとても便利。


 今の現実だと魔法が使えない人間が扱えるし、なにより素材がある今、質の良いポーションが作れる。



 それとモブに近いけど名前付きの弟子2人が居て、よくシャルルのメチャクチャな実験に巻き込まれたりワイワイやっていた。


『モノリス三人組』とか『ドタバタ師弟』として愛されていた。


 あと変な薬を作るのが得意だったので、公式ドラマCDでも全員を猫にしたり子供にしたりとトラブルメーカーでご都合主義をさせやすい、とても扱いやすいキャラで制作陣としては有難かった。



 人気は正直そこまで高くはなかったけど、人気サークルの『モブおじ』さんによってシャルルを好きになった人はかなりいたと思う。




 ストーリーの方だが、シャルルはモノリス国の貴族だけど変わり者なので、ヒロインを気に入ったらひょいと寝返ってヒロインの方に来てしまう。


(現実とゲルベルグさんではそう簡単にいかないと思うので、その辺もどうするのか……)



 あと弟子2人はモノリス国スタートじゃないと出てこないのだけど、モノリス国推しな『モブおじ』さん的にはその2人もゲットしたいのではないだろうか。


 前も陛下が殺されかけたり、善人とも言えない残虐でマッドな思考をお持ちになっているので、こちらとしても敵側にシャルルがいると安心できない面もある。



 助かるのだが…………



 色々と考えてしまうがゲルベルグさんに一任する以上、私は見守るだけにしよう。そうしよう……と目を反らすのだった。






 とりあえず金策はなんとかなりそうだ。


 あと次に間を置かずにやれることと言ったら……みんなで変装してパーティ組んで冒険者ごっこかな。


 リルムをお外に出してあげれるのも私の課題の一つだったし。ちなみにサキュバス捜索隊は今ヒューガ国へ集合しててんやわんやらしい。



 シグルドの軍はまだサキュバスが捕まらず他国に逃げられたということで株を下げ気味であるが、まだ奮戦しているらしい。シグルド陣営の経費が出来る限り削れますように。



 基本貴族は入用が出来ると貴族に借金や寄付金募集という集金(カンパ)をする。


 交際費として必要経費であるが、それを何度もやる奴は切られるのはいつの時代も一緒である。





 私は今日の夜また一つ事が進んだとニコニコで創造主ラフィちゃんに報告し、わかってるのかわからないのかわからないまま真面目に聞くラフィちゃんと、今日も「天国っていうのはこういう感じの~」「地獄には閻魔様っていうのがいて~あっでも冥界の女王ヘルのが世界観には合ってる?」など天界の在り方について語り合った。


 毎晩天地創造ごっこ(でもないか)を楽しんでいる私とラフィちゃんであるが、私の部屋には夜寝る前の子供用絵本……情操教育の為の本がズラ―っと並ぶようになり、メイドさん達からは不思議な趣味だと思われているか、幼児返りしてると思われているのかな……そろそろ私、11歳なんだけど。






 貴族設定については『聖女勇者』制作当時そこまで考えておらず、あやふやな点が多いが、ほぼ一般的な感覚の中世貴族のような世界観らしい。


 社交界デビューは一番早くて12歳から、めちゃくちゃ遅くて19歳あたりまで引っ張れるとか?


 ウチとしては早くマリアをベルドリクス家でーす! と紹介したいので12歳から世に出すつもりで勉強させてきていたらしいので、かなり急ピッチな勉強速度だったらしい。


 なのだが、


 ベルドリクス家が急成長したせいで(もうすぐ12歳だが)11歳の段階でもう面会希望の嵐……。


 今までは「領内が大変なので……」で断れていたが、サキュバスがヒューガ国に行った今、もう防波堤は無くちゃんとした貴族たちも「待ってました!」と言わんばかりに縁を求めて手紙が送られてくるそうだ。



 礼儀のちゃんとした貴族と礼儀をわかってない貴族を選別出来たのは大きいが、流石に全員と面会するのは私も付き合うお祖母様もキツい。


「社交界に子供を連れていって子供同士で遊ばせるっていうのもあるけれど、多分あちらはそれがやりたいのね」


 そういう子供同士の気安いとこで上手いこと私の言質をとりたいということか。


「一番大きい社交界に連れていく宣言をして全員とそこで挨拶済ませちゃうのが一番ね。そこに入れないような家格なら捨て置いても問題ないわ」


 さすが社交界のプロのシルメリアお祖母様……頼りになる……。



「デビュタントではない連れ添いの子供ですけれど、初めての社交界で不安でしょうからソフィア様にも連絡してみるわね」


「わあ、ソフィア様がいるなら心強いです」


 ソフィア嬢は気配りも上手だし、精神力というか……ゼルギウスへの想いなのか、心が強いので頼りになる。


 良い国母になるだろうなと思わずにはいられない。ゼルギウスさんは本当に人に恵まれた……いや、ゼルギウスさんといるとそういう人になってしまうんだろう。そんな魅力のある人だ。





 ソフィアの実家であるルイーズ侯爵家の社交界に『ベルドリクス家のマリア』を連れて行くという噂は瞬く間に広まった。


 広まった、というかソフィア嬢とシルメリアお祖母様が流したらしいが。



 話を聞いたソフィア嬢が社交界まで開いてくれることになったのだ。


「今話題のマリアをウチが招待できるなんて光栄だわ」


 と笑ってくれたが参加人数がかなりの数になるようで申し訳ない……。



 ウチは今お祖父様もいないし、ギルヴィードおじ様も代わりの政務やらがあるので、お祖母様一人にこれ以上負担をかけるわけにはいかない。とても有難かった。



「ただ、純ゼルギウス派の我がルイーズ家にシグルド殿下が来たいって迫られて……」


 相手は王族だし断れなかったの。とソフィア嬢は困惑気味に報告してきた。思わず聞いた時は驚いた。完全にアウェーでは?



「荒れないといいんだけど……まったく何しにくるのかしら!」


 純ゼルギウス派に乗り込んでくるなんて完全に一発触発……。


 婚約者の実家なのでゼルギウスも勿論参加するからそういう意味でも見物な社交界になってしまうだろう。



 思ったより恐ろしい社交界デビュー(仮)になりそうで、今から胃が痛かった。


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