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016 職質パーティでレベリング


 パーティが!! 4人に!! 増えました!!


 ジャジャーン!


 って言ってもゼルギウスさんは王位争いが始まってそれどころじゃないから、また3人に戻ったようなものなんだけど……。


 しかも新メンバーは14歳。


 10歳と14歳と32歳。


 平均年齢18歳のパーティだよ!! こういうと普通な感じするね。



 幼女と少年とインテリヤクザ。


 これ、現実世界にいたらおじさま職質だよ。


 完全に保護者(不審者)なギルヴィードおじ様と簡単な魔物狩りにいくことになりました。


 カムイくんは身体強化がウリなんで、ゼルギウスさんにも習得させたギルヴィードおじ様先生がレベルが上がって「身体強化得られるまでにコツとか教えてあげてほしい」と懇願したらため息混じりにOKしてくれた。


 さすが万能ギルヴィードおじ様、序盤のお助けキャラは伊達じゃない。





 ちなみにカムイ(使用人になる以上呼び捨てにしてくれと言われた)はお祖母様には事情を説明しながらも、「もう返されないなら最初から使用人として使ってほしい」と申し出て使用人兼私の護衛候補となっている。


「カムイはすぐ身体強化が使えるようになるから護衛としてもピッタリね」


「ひ、姫のご期待に応えられるよう、粉骨砕身努力致します……!」


 うんうん。順調順調。



 すっかり『聖女勇者』どおりの忠犬になってくれたカムイにはパーティに入ってもらう為、私の秘密である支援魔法の話をしたんだけど


「やはり姫は聖女様でしたか……」


 と一瞬で納得していた。


 結構ビックリする話だと思うんだけど……攻略キャラクター補正なのか?



 あとゼルさんがゼルギウス様でゼルガリオンであることも話した。


 カムイは感動しきりだったが、特にゼルギウスさんが「バレちまったか……」って仕方なさげにいった時と「みんなには秘密だぜ」って笑った時の反応が凄かった。


「うおおおおおおカッコイイイイイイ!!!!」みたいな。


 気が合うみたいで良かったよ。



 色んな秘密を知る以上馬鹿では困る、と家庭教師を呼んで私のついでにカムイにも勉強を教えてくれることになった。


 カムイは一応貴族ではあるのだが教養は結構ボロボロだった。ホント苦労したんだね……。


 原作『聖女勇者』でもカムイは戦争フェイズだと基本の防御と突撃しか出来なかったからもっと多彩な計略が出来るようになったらいいよね。


 でも、あの家じゃそれしか覚えられなかったのは当たり前だよな……いや〜よく出来たゲームだ。って作ったの私だ。




 キャラクターデザイン班のキャラを縁取る細かいディテールに感動しつつも私たちは魔物と戦うことになった。


『聖女勇者』では開始国が様々なので、出てくる魔物のレベルはパーティキャラの平均値となる。


 なので現実世界では魔物の領域には様々なレベルの同種族が住んでいた。


 弱そうな魔物を狙い、カムイに経験を積ませる。


『聖女勇者』でもこうやって同レベル帯を狙ってエンカウントしてたのかな。



 ゼルガリオンと同じく私がカムイに支援魔法をかけて、ギルヴィードおじ様は今回は見守る。またもや変則パーティだ。


「ゼルガリオンと同じ……!」と大層やる気を出していたのでギルヴィードおじ様も背景の爆発くらい作ってあげればよかったのに。



 強力な支援魔法により上手く感覚が掴めずまず飛んだり跳ねたり素振りしたりしていたが、さすが攻略キャラ、慣れてきたら見事に一撃で倒していた。


「これならもう少し標的のレベルをあげてもいいですね」


 カムイの成長ぶりにほくほくとしていた私にギルヴィードおじ様は待ったをかける。



「いや、一度でもいいから全部の魔物と当たっておいた方が良い。オレがいるうちならどうとでもできるからな」


「はい! ギルヴィード師匠!」


「師匠はやめろ」


 見た目より面倒見いいな。このおじさま(32)



 魔導士のギルヴィードおじ様と違ってMP枯渇がない為、剣士は私の回復で永遠にアタックが可能だ。


『聖女勇者』では武器の刃こぼれとか無かったな〜〜って思ったんだけど、刃こぼれしない魔道具が付いてるってことにしていたらしく、刃こぼれもない。


 と言うわけでベルドリクス家主催の鬼畜のスパルタ討伐が始まってしまった。






 ――明らかに14歳にやらせる所業ではない……――


 と言う者はこの場には居なかった。


「た、倒しました!」


「マリア、回復してやれ」


「がんばれ❤︎がんばれ❤︎」


 見た目美少女が笑顔で疲労を回復させる。



 ちなみに私は杖を持ち始めた。繊細なコントロールが出来たりと利点もあるし、なによりなにも武器を持ってない冒険者は目立つのである。


「次はあそこの鳥を狙うぞ」


「は、はい……!」


 パワーレベリングならぬバフつき自力レベリングだ。



「鳥の魔物は空から落とさねえと話にならねえ。まだ身体強化スキルは得てねえが足に魔力が集まるイメージを作って飛ぶのを忘れるな」


「はい師匠!」


「師匠はやめろ」


 今はカムイくん魔力もなにもないんだけど、感覚だけでも今から癖付けとくとそうなった時に楽なんだって。へえ〜。



 ギルヴィードおじ様は暇なので指示を出しながら倒したモンスターの解体とかしてちゃっかりもってきてた魔法のバッグにポイポイ入れていってた。


 なんだよ一人でずるっこじゃん~と思ったらこれをカムイの生活費などにするらしい。や、優しいじゃん……



 ずるいという顔でみていたら「お前も解体するか?」と魔物の死体を向けられたが私は死骸とかそういうのムリなんで……おじさま早くしまって! こっちむけないで!!


「まだいけるか?」


「は……はい! 俺は、姫のために強くならなくてはならぬのです!」


 本当に忠犬……いい子すぎて心配になってしまう。



 ゲームの世界だとステータス画面や戦闘画面でレベルやスキル習得がみれたのだが、セーブポイントと同様、流石に現実には導入されていなかった。


 でもみんなに見える仕様だったらレベル限界突破してる私が明らかにおかしいのバレちゃうよね……よかった……。



 レベルやスキルは基本、教会や良い値段の宿屋や貴族の家になんかに魔導具の測定器があるのでそれでチェックする。


 規格外天使ラフィちゃんなら見ただけで全部鑑定できるんだろうけど……。


 原作がゲームだからこそ自然と『レベル』や『スキル』が根付いているが、どうやって『レベル』や『スキル』という概念が構築されたのか不思議に思った。


 いや、制作者の私が決めてないんだからきっと伝承とか神が定めたとかになってるんだろうけどね。



「よし! あと100体! 頑張ろー!」


「は、はい……っ!」







 ◇


【祖父・ブリザベイトside】






 件の王への呪い事件により、ブリザベイトの王からの信頼は旭日昇天の勢いだった。



 誰から見ても王はブリザベイトを優遇し始めたと、もっぱらの噂だ。


 そんなブリザベイトを王はまた密談のできる間に呼んだ。



 まだそこまで日も経っていないが随分と顔色が良くなり元気になったカーグランド王はブリザベイトに明るく話しかけた。


「マリアには本当に驚かされたぞ」


「申し訳ございません。私も見たのはあの時が初めてで、話半分で御座いました」



 よいよい、とカーグランド王は手で施した。


 ブリザベイトは王が今相当に機嫌が良いと推測していた。


「創造主の加護を得た少女を持つ国など、我が国以外におるまい」


 予想通り、王はマリアに価値を感じて高揚していた。



「しかし陛下、羨ましがられる程の存在は時に相手に侵攻される要因となります」


「むう……」


 即位してこのかたずっと平和だったカーグランド王としては、いまいちピンと来ていないようだった。



「侵攻といかなくても、宗教大国のクレルモンフェランには『ラフィエル様を奉る聖地である此方にマリアを寄越せ』と圧力をかけられる可能性もあります」


 クレルモンフェランは純粋な国力としては第一位であり、極小国のカーグランドに圧力をかけるなど容易いことだ。


 カーグランド王は「それはまずい」と言いながらも、マリアの価値、可能性を捨てきれていなかった。



 ブリザベイトはマリアを王に教えたことを少し後悔した。


 王は慣習に沿った昔ながらの政治を続ける、欲の無い……と言えば聞こえは良いが、政治に興味が薄い王だと思っていた。


 創造主を強く信仰している様子もなく、正直ここまで執着するとは思っていなかったのだ。



「そうだ! ラフィエル様がお休みできる神殿を作ろう! きっとお喜びになるぞ!」


「下手に建ててはクレルモンフェランに睨まれます」


 今では寝ても覚めてもラフィエル様、と熱心な信者となっていた。


 間接的にでも創造主に救われたという名誉が最近の王の自慢であり、唯一話せるブリザベイトは毎回その話を聞く為に呼ばれている。



「今度またマリアを連れて参れ。話がしたい」


「マリアはまだ子供で陛下に御目通り出来るほどの作法が仕上がっておりません。それに下手にマリアと陛下が親しくしては周りの者が不審がります」


 毎回繰り返すブリザベイトの正論にカーグランド王はぐうの音も出ず、不機嫌そうに紅茶を飲んだ。



(息子の言う通り、忠臣であればこそ黙っておくべきだったのかもしれぬ)




「ラフィエル様に愛されラフィエル様に祈ればなんでも叶えてくれるのだぞ? その力を使えばカーグランドは安泰になろう」


 実はマリアは聖女であり、回復魔法を使えると話していないのに、この執着ぶりだ。


 更に言えばブリザベイトが王に目をかけられ始めたカーグランドの経済が活性化した要因のゼルガリオンの類も全てマリアの発案である。


 これでベルドリクスの正統な伯爵令嬢でもなく平民とも知れば、物として好きに扱い他国に知られ侵攻の大義名分にされていただろう。



「創造主の愛し子としてそれなりの待遇も用意しよう」


 今まで王とは密に話すことも無かった故にわからなかったことだが、あまりにも迂闊すぎる。とブリザベイトは思った。


(ギルヴィードは親友のゼルギウスの話から微かに危ういと感じ取っていたのかもしれぬな)



 回復魔法が使えると聞いたら王は秘密裏にでも軍事に参入させるだろう。


 効率を考えれば王として当たり前の判断だ。



 しかし、ギルヴィードによるとマリアは流血など争いに関するものに耐えられないらしい。


 ……心が壊れる可能性もあると。



 バラすわけにはいかない。王であっても。



 いつか戦争が起きるかもしれない今、大国に受け渡して加護を得るのも利口な考えかもしれない。


 しかし……


「マリアは私の孫です」



 ちらりと王はブリザベイトの方を見た。


「祖父の欲目でなければ、マリアは今の生活を気に入っています」


 王は無言だ。


「ラフィエル様がマリアを気に入っているとしたら、下手に環境を変え、マリアを悲しめることはラフィエル様にとって歓迎すべきことではないと愚考します」



 王は無表情でティーカップを手に取り一口飲む。


「まさか冷徹無比の軍人貴族のお前がこんな孫馬鹿になるとはなあ」


 と、ふふっと笑う。


「仕方がない。今はまだ存在を隠しておこう」


「有難う御座います」



「しかし、マリアは我が国に欲しい」


「………………」


 無欲だと思っていた王がここまで欲に正直だとは、ブリザベイトは初めて知った。


 いや、大きすぎる力を前にし目が眩んでいるのかもしれない。



「ラファエル様に愛された少女。それをカーグランドが所有しているだけでカーグランドの価値は上がる」


 何度も諭しているのに王は戦争の気配など一つも感じていないようだ。



 何かあった時の保険に大国の加護に縋る為に他国に渡すでもなく当たり前のように外交や交易のことを話していた。



「王族で確保したいが、似合いの男子がジェラルドしかおらぬ」


「それはシグルド殿下の息子では」


「そうだ」


 ブリザベイトはふざけるなと言いたい気持ちをグッと抑えた。



「……シグルド殿下の息子とゼルギウス派と区分されております我が家ではあまりにも無茶な縁組です」


 阿呆(シグルド)の息子など一ミリの興味もなかったが、まさかここにきてそんなことを言い出すとは。



 シグルドとゼルギウス、王太子争いが起きなければジェラルドと婚約させ事が済んだものを……。


 そう王はため息をついた。


 そういう問題ではなくこちらにも選ぶ権利がありシグルドの息子などという馬鹿に仮にも孫を渡すつもりは全くないのだが決定事項かのように話してくる姿にブリザベイトはイライラとしていた。



 今のカーグランドはゼルギウス一色だ。


「しかしシグルドが追い返せば万に一つ可能性はあるかもしれん」


「それは……」


 ベルドリクス家はガチガチのゼルギウス派だと言うのに、敵派閥を勝たせたいと宣言してくるのは如何なものか。


 マリアを王族に引き入れたいとしか考えていない王はカーグランドの大勢も目が眩んで見えていないようだ。




 王はフッと笑い


「しかしなブリザベイトよ。呪いから開放されたせいだろうか、創造主が味方をしてくれているからだろうか、最近身体がすこぶる良くてな。わしはまだまだ現役かもしれぬ」


 創造主ラフィエルが助けてくれた特別感、愛し子がいることで創造主が味方であるという万能感。


 それがカーグランド王の気持ちを大きくさせていた。



 自身が健在な今、王はゆるりと息子二人の対決を眺めようと高見を決め込む。


 それに巻き込まれる者たちに試練だと言いながら……









 ◇










 なんと!! カムイのレベルが5上がってました!


「凄い! 凄いよカムイ!!」


「た、確かに強くなった実感は感じましたが、これも全て姫の御助力の賜物。より一層精進します」


 私はカムイの手を取り共に成長を喜んだ。


 冷静に返事をしているが興奮かちょっと顔が赤くなっている。


 カムイは鍛えてなかったわけではなく、14歳にしては破格の5レベルだったのだが、一気に10レベルだ。祝! 二桁!


 一応ゲームで作った基準は

 レベル1〜3くらいが一般人。

 レベル5〜8が剣術習ってまーす。ってくらいの素人に毛が生えた程度

 レベル10くらいになると門番や巡回兵にはなれる。

 レベル20くらいになると騎士さまだ。

 レベル30くらいが将軍や師範代


 攻略キャラとそのほかの差は凄まじいのだ。


(だから攻略キャラの初期レベルは低いということになってる)


 ギルヴィードおじ様には「なんでオレが教えないといけねえんだよ」とレベルは教えてもらえなかったが、ちまちま沢山倒してるし多分50はいってる……


 だって『聖女勇者』のギルヴィードおじ様の初期設定のレベル……60だもん……



「序盤でおかしくない?!」って言われたくてこの設定にしたんだよね。


 ギルヴィードおじ様いれば中盤までサクサクワンパンだよ。


 周回プレイのお供なんだけど、好感度も上がりやすくなるからギルヴィードおじ様は攻略を難しくしてすぐ好感度下げれるようにした。



 それはともかくカムイのレベルが二桁ってことはそろそろ身体強化がくるのでは?


 今はカムイしかいないから戦わせてるけど将来的にはカムイはみんなの盾になってほしい。


 アタッカーはまだ本気出してない最強魔導士ギルヴィードおじ様もいるし、魔導士守ってあげてほしいよ。



 魔導士はMP使うし打たれ弱いからそれだけ威力も上げて、アタッカーとして最強に作ってある。


 だから敵も味方も魔導士がめっちゃ強い。


 レビューでも言われてたけど魔導士の調整は甘かったかも。


 まあだからギルヴィードおじ様が無双なんだけど。



 女性向けゲームはどうしても簡単に作らないといけないから絵的に華のない防御キャラはどうしても人気が出ないキャラになりがち……


 『聖女勇者』だとヒロインを守らないといけないので防御型二人の攻略キャラが持ってる『かばう』は結構有用スキルなんだけどね。


 ただ攻撃型がどうしても花形だ。



 しかし現実だとタンクが一人いるだけで安定感が段違いだと思う。


 数少ない防御タンクとしてカムイは大事に育てよう……


 まずあの特徴的な鎧特注してあげないとな。

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