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闇纏い   作者: 雪火
1/1

-ヤミマトイ-

初めまして。『雪火』せっか。と申します。


初投稿ですが、これから頑張って自分の世界観を存分に書いていこうと思います。

冒頭部分の少しだけでも読んでいただけると嬉しいです。コメント、感想たくさんお待ちしております。


皆様からのインスピレーションも組み込めていけたらいいなと思っております。


目が覚めた。重い瞼をゆっくりと重力に逆らうように開ける。

ここが何処なのか、現在の時刻も、外の天気も何もわからない。


十畳程度で窓すらないコンクリートに覆われた殺風景な部屋に置いてあるものは、傷だらけの机、血で錆びたナイフ。それと、腐った肉の塊。

部屋の角に追いやられた”それ”はとてつもない悪臭を放っていた。


 「目を覚ますたびに吐き気がする。。。」


骨格が浮き彫りになるほどやせ細った体の少年"カイン”は、無造作に伸びきった髪を掻き毟りながら吐き捨てた。

固く閉ざされた鉄の扉は今まで何度もぶつかったがびくともしない。


この部屋に監禁されてからもう随分と時間が経っていることだけは確かだ。


-------------------------------------------------------


カインは由緒正しきエデール家の長男として生まれた。

エデール家は先祖代々伝わる剣技と、武器の売買で栄えてきた武闘派貴族だ。


厳格だが立派で皆から慕われる憧れの父。どんなに挫けそうになっても優しく心の支えになってくれる母。

へっぽこだが「お兄ちゃんっ!」とどこまでもひっついてくるバカな弟。


欲しいものは親に頼めば何でも手に入ったし、剣技の才にも恵まれ、エデール家の跡取りとして周囲からも期待されていた。


カインは何不自由ない生活を送ってきた。貴族の家に生まれたことはカインの誇りだった。


しかしカインにはどうしても手に入れたくても手に入らないものが一つだけあった。親の力を借りても決して手に入らないもの。。。


--------------------------------------------


そんな過去の話、思い出したって今は意味が無いんだとカインは頭を横に振った。

噛みすぎてボロボロになった深爪をさらに齧ろうとしたが、噛む爪すら残っていないことに無性に腹が立った。



そのとき、激しい頭痛が彼を襲った。


「「「「あぁ、壊したい。。。ぐちゃぐちゃにしたい。。。。。。。。何もかも。

 俺にすべてをぶっ壊させろぉぉぉぉおお!!!!!」」」」」


 「や..め....ろ。。。おまっ..え..は出て来....るな。。」


「「「「お前はいいよなぁぁ?欲しいものが何でも手に入ってよォォ!!」」」」


 「そんなこと...な..い..」


「「「「自分は恵まれているから。そう思ってんだろォ?その傲りさえなければあの子は・・・


 「だまれっ!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ だまれぇぇぇぇぇえええええ!!!!!!!!!」



((【警報】感情ノ高まりヲ確認。直チ二対処シマス))



カインの意識に呼応するかのように無機物的音声が流れ、部屋中にガスが充満した。


またこれか。とむせ返りながら彼の意識はだんだんと遠のいていった。。。




意識を取り戻すと、どこから来たのか、プギャ、フゴォと醜い鳴き声をあげる丸々太った豚が一頭部屋に放たれていた。

豚を目にしたとたん、カインは目を見開き、キラキラと輝かせながら不自然に口角を上げ、


「「「「..今日はぁ...君かぃ..?俺とたくさんお話しをしよう...?君の考えていることを俺に教えてよくれよォォおお!!!」」」」」


と、血で錆びたナイフを握りしめ、笑顔で豚にそう語りかけた。。。





--------------------------------


----------------------


--------------


-------




どれくらい経ったのだろうか。

床はまだ乾ききっていない血で所々濡れている。


カインは完全に無気力な状態に戻っていた。


---無残に飛散した肉片---


何度思い返しても記憶がいつも欠如しているが、おそらく自分(きっと自分なのだろう)がやったということはわかった。

もはや原形すらないそれを虚ろな目で一つ一つ拾い上げ新たに肉山へ積み上げていく。


 「「ゴソッ..!」」


 「...ん?」


足元に感じたいつもとは異なる感触に違和感を覚え何かと視線を落とす。


 「なんだろうこれ。みたことないな。。こいつらはこんな固いものでも丸呑みするのか。よくわからないけどいらないや。」


ノールックでポイッと投げ捨て、次の肉片に手をかけようとした時だった。。




 「「!ハロォォォオオ!!!!!ミスターカイィィィイイン!!!!!!」」



突如鳴り響いた大声に一瞬戸惑いつつもすぐに平静を取り戻し恐る恐る耳を傾けた。


 「「君もここでの生活にはだいぶなれたようだねぇぇええ!!

  ぼぉくはぁ!君のすべてを知っている!!知りたいとは思わないかい?自分が誰なのか、何者なの    か!!!


  さあ、君に選択肢を上げよう!ここから出て、自分の正体を知るのか、そぉれともぉぉ!!

  このまま永遠に死ぬまでここにいるのか。。。まあ、君は死ねないんだけどね(笑)


  おっと、今のは聞かなかったことにしてくれたまえ。


  もし君が自分の運命と向き合うことを望むのならもう一度、自分の部屋を調べつくすことだぁぁあ!

  あっはっはっはーーーー!!!

  とかいうと悪人っぽくなぁ~い?(笑)   では、楽しみにしているよ。」」


そう告げると男の声は消え、”レコーダー”は再生を止めた。


 「僕のすべてを知っている...??僕は死なない???いったい何を言っているんだあいつは。。

  でも、ここから出る方法がある。あいつはそれを示唆していた。手段を選んでなどいられない。

  早くここから出てみんなのもとに帰らなきゃ。そして彼女を必ず...」


カインは徐にあたりを見渡し、ここから出るべく行動を開始した。





 しかし、もう随分と長いこと過ごしてきた部屋だ。どれだけ壁に触れても、床に這いつくばってみても当然新たな発見などなく、虚しく時間だけが過ぎた。


諦めの態勢に入り、ボロボロの机に突っ伏した。服はおそらくさっきの豚のものだろう。グショグショに血で濡れている。


 「流石に服が乾くには、まだかかるか..」


ほんの数分だったが、あまりの着心地の悪さにシャツを脱ごうと上体を起こすと、奇妙なものが目に飛びこんできた。


 「コ....コ......カ...?」


数秒のタイムラグの後、カインは何かに気づいたように慌てて腐臭を放つ肉山に手を突っ込むと、そのうちの血が固まっていない肉片を持ち出し机に擦り付けた。何度も何度も机全体に満遍なく。


しばらくすると机全体は赤く染まり、擦り減った傷口は周りとの高低差により血が染みず、規則性のある文字を並べた。


(ココカラ デル カクゴガ デキタナラ コレノ アシヲミヨ)



カインは書かれている通りに机の脚を一本ずつ調べていった。

3本目の脚を調べると他の脚よりラバー部分のネジが緩いことに気づいた。

そのネジを外すと中から「カギ」と、小さく丸められた紙切れが出てきた。


その紙切れにはこう書いてあった。


 「「よく机の文字に気が付いたね。そして、この紙を読んでいるということはぁぁああ!!!君はここから出て正体を知りたいということ!!!   

   すなわちっ!!まだ完全に覚醒していないということ!!!自分が自分自身である自覚があるという   ことぉぉぉおおお!!すんばらぁしいぃぃ!!

   今手に入れたカギは無くさないように気を付けたまえよ。では、続いてだが、レコーダーを『再生→停止→再生→再生→停止→停止→電源』という順番に押してみてくれぇぇえええええ!!!!!!!!!

ちなみに、”再生”は三角形、停止は四角形、電源は横に付いているボタンだ!!

   では、待っているぞ。君のことを。」」


 

なんだかこの男に弄ばれているような気がしたが、指示通りのコマンドをおぼつかない指使いで仕方なく入力した。

 すると、部屋の角の床が抜け落ち、肉山が姿を消した。。。


カインは大きく深呼吸をすると、愛用の血塗れたナイフを拾い、覚悟決めた眼差しで穴の中に飛び込んだ。








 

この度は、「闇纏い-ヤミマトイ-」をお妾くださいまして、誠にありがとうございます。

自分の中にある世界観、想い。自分のすべてを何とか形にして世に発信していきたい。その一心でこの世界に飛び込みました。


作者のわがまま投稿にお付き合いいただき感謝の気持ちでいっぱいです。


誰にも目を通していただけず、理解もしてもらえない。それで終わってしまう作品だったとしても何とか完結させたいと思います!!


これからも頑張って投稿していきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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