もう既に新生活
あの一件からもう既に1週間。
俺の生活は一週間前から一変していた。
というのも、すべての要因はリリ、
あの居候のせい…
いや、逆に良い方向に変わっていた。
「ねぇ、起きてよっ。」
寝ている自分を起こそうと毛布ごと体をゆする。
徐々に重い瞼を開けると、朝日と同時にリリの姿が映る。
なぜか彼女はエプロンを身につけていて、ムッとこちらを見ている。
エ、エプロン?
ま、まさかこれは
「新手のメイドプレイなのか?!」
と、目をカッと開き、毛布を吹き飛ばして叫んだ。
何言ってんのかね俺は。
問題発言の発語の瞬刻、正面から正義の鉄拳が、神速の速さで俺の顔に向かってくる。
しかし、その拳は紙一重のところで止まった
拳を振った時の風が俺の髪を揺らす。
こんなのはアニメだけで結構なのに…
「いいから早く朝ごはん食べなさいよ…」
「……え?」
なんと、彼女が朝食を作ったそうだ。
まさかさか、そんなはずは。
半信半疑のままテーブルを目指す。
そこには、綺麗に輝くハムエッグ、新鮮さが際立つサラダ。温もりを感じるコーンスープ
そして小麦の薫りに包まれたパン。
まさかとは言わんばかりの素晴らしい朝食メニューだった。
体が動かなくなるほど驚嘆している俺の横でリリは頬を赤くしながらモジモジしていた。
「リリ!凄いじゃないか!」
「喜んでもらえて、…うれしい」
リリは恥ずかしいなりながら心ばかりの笑顔を見せてくれた。
リリに対するすべてのイメージが変わった。
本当のリリを見ているようでワクワクした。
朝食に満足し、気づけば俺はベランダに出て照り輝く太陽に照らされていた。
不意に、あることに気づいた。
石の改良に力を注がなければならない。
俺の人生の夢となった
「願いを叶える石の完全版を錬成してたくさんの人々を救うこと」
の実現のために。
研究小屋に行こうと外に出ようとした瞬間、食器洗いを終えたリリに一言、
「これからの家事は私がやるわ。
研究頑張ってね」
少しばかり恥ずかしさが内包された言葉だったが勇気を貰った。
「それと、時間が空いたら外にでも出かけに行かない?」
俺はうんと、頷いた。
彼女はこれからの家事は私がやるといった。
きっと、これからもココに一緒に住むつもりなのだろう。
実のところ、俺も彼女と一緒にいたかった。
きっと、これからも様々なことがあるだろう
そう、これは始まりに過ぎないのである。
まだ話としては1話も進んでいない。
ここからのすべての出来事が本編。
俺はそんなことを知らずして今日という日を生きるだろう。