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始まりの始まり

あなたはこの世に願いを叶える道具が存在すると思うだろうか。

端的に言えば、俺という自分は全くそんな存在を全く信じてなかった。

7つの玉を集めれば願いを叶える龍が出てきたりなどというファンシーな話も実に馬鹿らしいと考えている。

でも、そんな非日常的な話だからこそ面白いという考えには大いに共感している。

なんてったって、そんなファンタジーな話はつまらない現実にいる自分の理想に見事に合致しているからである。

まぁ、そんな話はさておき、本題に入るとしようか。

単刀直入に言おう。

俺は「願いを叶える石」を作り出したのだ。

傍から見れば、ついにIQがプランクトン以下まで落ちぶれたか…

などと言われそうだが、そんな事は自分が1番よく知っている。別にシンナーを乱用したわけでもなければ、脳みそがホコリ程の大きさに縮小したわけでもなく、マジで言ってるのだ。

まぁ、今更言うのもなんだが、俺は異世界転生をしたのである。転生から今日までに至るまでの経緯を話すとすれば、それだけでも大長編小説を四シリーズほど書けるほど色々あったのだが、めんどくさいのでやめとこう。

今、この状態を簡略して説明するとこうだ。

何でもありなファンタスティックワールドに転生した俺は本来青春を謳歌するべきであろう歳まで成長し、錬金術師として一人小屋にこもり作業をしていた。というとこだ。

勘のいい方はお気ずきだろうが、錬金術師なのに石を作り出したという矛盾が生じる訳だが、そこん所は、まあ、なんやかんなあったということにしておくとしよう。

つまらないプロローグはさておき本編に入るとしよう。


ドアが乱暴に開く音が部屋中に響く。

石を作り出すことに成功し、胸を踊らせるながらニヤニヤしている表情を一瞬のうちにぶち壊すほどの音だった。

一体誰だ?ドアを破壊しそうな音だったため頭のネジが相当ぶっ飛んだやつに違いない。

ドアの方に目線を向ける。

顔だけはかわいい少女がそこにいた。

俺好みの茶髪のロングヘアー、クラスにいたら大層人気になりそうな顔立ちである。

性格がひん曲がっていなければの話だが。

「あなたが噂の頭のおかしい錬金術師?」

顔を合わせてコンマ1秒後の質問がこれか?

まぁ、頭のおかしいのは真実だ。

現に小学生の自由研究で、「ロリの定義」などという研究をしようとしていたほどだったからな。もちろん、する前に先生に止められたが。

とりあえず彼女がここに来た理由を聞いてみた。

「一体、どんな用件かな?」

「とりあえず、今晩泊めてくれない?」

またしても、急にぶっ飛んだ質問だった。

俺も鬼ではないので、家に呼んで話でも聞くとしよう。

彼女にひとまず家に来るよう提案をすると彼女はすんなりと承諾をした。

家までの数100メートルの道のりを歩いていた。街の商店街を通っている時、彼女の姿はかわいらしい女子高生のように見えた。

普段から清楚な性格であればとっても可愛いのだが…

その瞬間前から一人の男性が話しかけてきた。同じ錬金術師のショウだ。

ちょっとばかしチャラい性格だが、根はいい奴だ。

「おい、いつから彼女なんか出来たんだよ」

後から首に腕を回して小声で話しかけてきた。

「しかも随分可愛いじゃねぇか、俺の彼女といったら、錬成に成功した銀ぐらいだわ」

それはそれでうらやましいものだな。

癪に障るが、錬金術師としての腕は彼の方が長けている。

まったく、妬ましいものだ。

「一体どうやったら、あんなに可愛い子をナンパできるんだ?」

声に殺気を感じる。カツアゲされている気分である。この街にもオヤジ狩りの微かな文化が残っているのだろうか。

話に置いてきぼりにされて可哀想なので、帰ろうと彼女を探す。

彼女は少し怯えているようだ。

体を細くしていて、顔にはほのかに恐怖を感じているような表情を浮かべていた。

人混みには慣れていないのか?

不謹慎だが、彼女の困った姿はとても可愛かった。

家に着き彼女は早々風呂に入りたいと言ってきたので、入れてあげる事にした。

いや、別に覗かないからな!!

しかし、都合のいいことに例の試作品の石がポケットに入っていた。

これは神からの「覗くのじゃ!」という指令なのだろうか。

そうにちがいない。そうだよな、うん。その通りだ。別に石の作り方なんて知ってるわけだからいいよね?

人生の中で一番神に感謝した瞬間だった。

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