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ストリーミングハート

みなさん。おはようございますこんにちは、そしてこんばんは。

作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す!


ご存じ、ここは前書きでっす!

本編をすぐに読みたい人はササッ、と飛ばしてね。


さて、だいぶ間が空きましたけど第五話です、まぁおまけの1.5話ですけどね、あははっ!

それと次の話で終わりだから最後までよろしくね。


では、本編をお楽しみください。それではっ!

「あ、そうだ。アイリーン」

 ホームルームが始まる前にアイリーンに渡しておこっと。


「ん?」

「はい。遅くなったけどこれ」

 カバンから手のひらサイズのモノを取り出してアイリーンに手渡す。


「なに? シルバーサンダーこれ?」

「うん。いつもありがとうって気持ちのチョコ」

 ホントはバレンタインに日にあげたかったけどあの日はショックすぎて渡しそびれちったからね。


「でも、なんだかパッケージの色が違がくない? 白っぽいけど?」

「そうだよ。それマーソン限定販売のティラミスフレーバーなんだよ」

「へぇ〜 そんなのがあるんだ」

「すごくおいしいから食べてみてよ」

「シルバーサンダーあたりを渡すあたりは義理ってことね」

 アイリーンはさっそくパッケージをあけて中のチョココーティングされたココアクッキークランチをひとくち食べる。


「もちろんだよ。一目でわかる義理チョコだしね」

「でも、ボノボルじゃないんだ」

「……わたしのボノボル二〜三個食べたじゃん」

 あんなに遠慮なく食べたのに……あれって結構ショックだったんだよねアイリーンまったく気にしてない様子だけど……


「ああ〜そうだったわね。ほとんど凪紗がたべたんだけどね……って、なにこれすごくおいしい!」

「でしょ! でしょ!」

 そんなこんなでシルバーサンダートークを繰り広げていると、教室に翠ちゃんと奈留ちゃんがはいってきた。


「あ、翠ちゃ〜ん、奈留ちゃ〜ん」

 教室に響く声を鳴りあげて、わたしは金色のパッケージのシルバーサンダーをふたつもって翠ちゃんと奈留ちゃんの元に向かうのだった。



 ◆



 コンコン。



「……あれ。いないのかな?」

 ノックをしたけど中から反応がない。


「いないのかな……」

 いやな予感……しかしないけどゆっくりとドアを引いてみる。


 ガラガラ……


 ドアの滑車が音を立てて流れ、ドアは開いた。


「失礼しまぁ〜す……」

 半顔だけで教室をのぞき込む。


「麻子。私はあなたに好意を抱いているわ」



 ううっ……やっぱりいたよ、生徒会長。

 前にもこんな事があったような気がするなぁ……


 放課後の生徒会室。わたしは提出する書類を持ってこの会室に来ていた。そして案の定だけど、ノックしても反応がしなくて、中からはいつもの会話が耳に飛び込んでくる。


「気持ち悪いんだけど? いつもいつもなんなの? 千佳の口は『麻子。私はあなたに好意を抱いているわ』しか言えないの? それしか言えない単機能なの?」

「そうよ麻子。その顔、その言葉、その憎悪。その嗚咽をもっと聞かせて。麻子の声が私は欲しい。私に怨嗟、悪意、殺意をぶつけて。麻子だけが私を否定してくれる」

「アホなの……地獄に落ちてくれない?」

「そうよ、それでいいわ麻子。もっとよ。もっと私を否定して。拒んで。もっと私の個性と可能性を引き出して。そしてこれかも、ずっと私を拒み続けて欲しい。そうすれば私はいつまでも正しくいられる。正しくいれ

ればこの学校を正しい方向へと導くことができる。麻子がいれば私は生徒会長を続けられる」

「今日で生徒会辞めます。いいよね」

「ダメよ。私が生徒会を辞する時、麻子が生徒会を辞する時よ。私と麻子は共同歩調、一心同体、一蓮托生よ」

「イヤなんですけど。それとすごい気持ち悪いんですけど? 帰りたいんですけど?」

「……」

 どうしていつもわたしが、このふたりに会うとこんな会話ばっかなんだろう? ううっ……わたしも帰りたいよ……


「あら、雪見さんじゃない。来ていたのね」

「はい。来てました……」

 ううっ……やっぱり気づいてもらえてなかった……


「今日はどうしたのかしら?」

「えっと……この前言ってた書類の提出なんですけど……」

「ああ、その件ね。じゃあ」

「はい。正式に決まりました」

「そう。なら拝見するわ」

「お願いします」

 持っていたドキュメントファイルからA4サイズの書類を取り出して斉藤さんに手渡す。


「……結構です。書き漏れもありません。では確かに受け取ったわ。麻子この書類を」

 一通り書類に目を通し、中原さんに書類を差し出す。


「はいはい」

 そんな中原さんは気だるそうに書類を片手で奪い取り、気だるそうに棚の引き出しに書類をしまったのだった。


「では、これで失礼します」

「あのひとの後はとても大変そうだけど、がんばりなさい」

「はい」

 ひとつ礼を斉藤さんに入れて、わたしは生徒室を後にした。


「じゃあ、私も失礼します」

「ダメよ。待ちなさい麻子」

「……離してくれる」

「話すわよ」

「ちょっ、なに? 意味が違うけど? 離してよ?」

「わかったわ。話すから座りなさい。そうね卒業式の進行段取りの事について話しましょう」

「ちょっ、違う……」


「……おふぅ」


 後にした生徒会室からそんなよくわからない会話を耳から流しながら教室に戻るのだった。



 ◆



「ふぅ……」

 家に帰ってきて、部屋で来週から本格的に始まることに思いを馳せる。楽しいなんて事はまったくないけど……苦労や心労、気苦労がかなり多いと思うけど……やるからにはには精一杯やるだけ。それだけ……


「ふぅ……」

 ベッドに仰向けで倒れ込むみ溜息を吐く。


 わたしはあのひとの代わりになんてなれないことはわかってる。だから、同じ事をする必要はない。と、言ってくれたけど……やっぱり不安だ。わたしに務まるのか不安だ。すごく。


「務まるかな……わたしに」

 怖くて不安、緊張で胸が張り裂けそう。


「これなら、アンブレイドバトルの方が気が楽だなぁ……」

 本当はそんなこと思ってないけど……どうしてもそう思ってしまう。あんなに痛くて痛くて、辛くてケガもして血も流して嫌だったはずの戦いなのに……そっちの方がいいと思ってしまう……

 来週のことを思うと気が滅入る。やるしかないのに一歩が踏み出せない。決心が揺らいでる……


 引き受けたことに後悔をしているのかも……逃げ出したいって思ってる



「無理だよね」

 『騎士長がイヤだから逃げました』じゃすまない。すでに書類は提出しているし、来週から始まることはもう決まったこと。なら……


 答えはひとつだけ。もうすでにわたしは決めているんだ。決めたんだ。今から沈んでいてもしようがないし、どうしようもない。だからやるだけだ。


「わたしが決めたんだ。やるしかないんだ」

 自分に言い聞かせる。納得させる奮起する。ここまで待ってくれたんだ。わたしの答えを待っていてくれたんだから。感謝しないと。応えないと。



 ◆



 日曜日。午前八時三十分。


 天気は晴れ。雲がひとつもなく突き抜けた青がどこまでも広がる晴天。雨が降る心配は微塵もない。降るのは太陽の日差しだけだ。


 赤いパーカーを羽織ってギンガムチェックのスカート。黒色の肩掛けカバン。


 といったコーディネイトで日曜日を迎えるわたし。


 新妻沼に着いてからリオンある公衆トイレで姿見の鏡で色々とチェックしている。寝癖がないかとか、髪が跳ねてないかとかの髪のチェックとか服装が乱れていないかとかの身だしなみチェックだ。これから好きなひとに会うんだから当然の行為と行動。


 だけど気がかりなのは服装が前回の船橋に行った時と似たような格好になってしまった事だ。新しい服買おうかなって思っておきながら結局お小遣いが足らなくて買えなかったのだ。


「ふぅ……こんな事ならアイリーンに服を借りればよかったかな……」

 鏡を見て思う。やっぱり制服の上からパーカーを羽織っているみたいだなって。でもアイリーンから服を借りると言ってもわたしが着れるかわからない。……わたし背が低いし、身体小さいし。それにその、胸の部分とか? 全然違うし……おふぅ……。

「よし、服を借りるのはあきらめよう」



 ◆



「すこし早かったかな?」

 リオンを出て新妻沼駅からJP妻沼駅へと向かう途中道でふと思う。早めに来たけど、なんとなく刹那くんはもういそうな気がする。


 きっと真面目な刹那くんだから『待たせる訳にはいかないからね』って言って早く来てそう。


「いるかな? 刹那くん」

 刹那くんを思いながら少し早足で歩いて妻沼駅に向かう。



 ◆




「やっぱり早かったかな?」

 妻沼駅に着いて、『ルウィー・ジ・フランス』の前で立ち止まりキョロキョロとあたりを見渡す。


「あの、もしかして白い雪のプリンセスさんですか?」

 駆け寄ってきた同年代くらいの女の子から突然声を掛けられた。


「えっ、あ、はい一応そうですけどぉ……」

「あ、あの握手してもらえませんか!」

 

 あのバトル以降、通学中や帰宅中に時折、こういった感じで声をかけられる。その大体が握手してくださいや、アンブレイドバトルの動画見てました。などと言った内容。賞賛や「意外と背が低いんですね」とか時々耳が痛い事も言われる。


 それでも、十二月の時よりは声をかけられる事はだいぶ減っているけど。


「およ?」

 女の子がお礼を言って改札に向かうのを見届けたあと、駅ナカのコンビニから刹那くんが出てくるのが見えた。なんだやっぱりもう来てたんだ。


「あ、刹那く……?」

 声を上げ、刹那くんの元へと駆け寄ろうとした時。ひとりの女性が刹那くんに話しかけていた。


(誰だろう……)


 その女性と刹那くんはとても親しげに話している。その光景を見ていると……とても胸が痛い。なんだか……とても嫌な気分になる。年齢も刹那くんと近そうだし……


「あ……」

 その数秒後、コンビニから出てきた男性が刹那くんに頭を上げて挨拶をしている。刹那くんは手を横振り何かを断っているようだった。そして、その男性と女性は刹那くんに一礼をして一緒に歩き出して、改札を通っていった。


「刹那くん」

 ひとりになった刹那くんの元に駆け寄る。


「刹那くん、もう来てたんですか?」

「うん、凪紗ちゃんを待たすわけにはいかないからね」

 想像通りの答え。やっぱり刹那くんは真面目でとても優しいひと。


「あ、あの……」

 少し聞きづらい。でも、気になる。もし、さっきのひとが刹那くんの彼女だったら……どうしよう……


「ん? なに?」

「あの、さっきのひとって知り合いですか?」

「さっきの? ああ、見てたんだ。うん知り合いって言うか、ずいぶん前に助けたって言うか……救ったって言うのかな?」

「……? どういう事ですか?」

「簡単に言うとね。さっき女のひとが居たと思うけど、あのひと夜中にお酒に酔ってて車道に飛び出してね、それで車にひかれそうになったんだよね。で、その時に助けたのが俺ってワケ」

「そ、そうだったんですか?」

「そう。で、さっき偶然に出くわしてね。お礼も兼ねて今からマムトナルドで何か食べませんかって誘われてね。でも恋人との時間を優先させてよって言って断ったんだよ」

「そ、そうだったんですか……恋人って事は、あのふたりって恋人同士なんですか」

「そうだね」

「……よかった」

「ん? 何か」

「あ、いえ、独り言です」

 そっかぁ……あのふたりって恋人同士なんだ……よかった。刹那くんの恋人じゃなかったんだ。


「でも車にって事は……刹那くんも道路に出たって事ですよね? それって結構あぶなかったんじゃないですか?」

「うん、少し車に当たったかな? でもあのひとが無事だったからよかったよ」

「でも、それで……刹那くんに何かあったら」

「そうだね。でもその時はその時だよ」

「その時はって……わたしは……イヤです……」

「えっ?」

「わたしは……イヤです! 刹那くんになにかあったら……イヤです! わたしは刹那くんに何かあったら心配もするし泣きます!」

「あ……そうだね、ごめん」

「刹那くんは自分より他人を優先しすぎです。十二月の時だって……アイリーンに嘘をついてわたしをかばって叩かれて……家での時だってお父さんに嘘をついてわたしをかばって……少しだけ……自分を大切にしてください」

「……そうだね」

「無茶……しないでください」

 泣き出しそうな声を絞り出して刹那くんに告げる。もし、また刹那くんが無茶をして何かあったら……

「ごめん……」

「……」

「……」

 わたしと刹那くんの間に流れる、痛い数秒の沈黙。


「あ、すいません。その……何か空気を壊してしまって」

「いいよ。俺も軽率な言動だった」

「よし、じゃあ! スノバに言って気分直しにコーヒーを飲みましょう! せっかくの日曜日でこんなにいい天気なんですから。この話はこれで終わりです。今日はわたしのおごりです」

「ありがとう。凪紗ちゃん」

「レッツゴーです!」

 精一杯な元気を出して、刹那くんと一緒にスノバに向かう。一緒に向かう刹那くんの表情はとても……暗くて、沈んでいて……せっかくの楽しい時間のはずなのに、とても苦痛の時間が流れていく。


「ごめん、凪紗ちゃん」

「えっ」

 後ろで歩いていた刹那くんがそう言って立ち止まった。


「刹那くん?」

 イヤだよ……『俺、帰るよ』なんて言わないでよ……もしそれを言ったらわたしはそれを受け入れないといけない……そんな暗い表情の刹那くんのお願いを受け入れないといけない。だからお願いだから言わないで……


「俺も気持ちを切り替える! これからスノバでコーヒーを飲んで楽しい時間にしよう! せっかくのいい天気なんだから」

「はい!」

 わたしは、元気よく、「はい!」ととっさに答えた。うれしい。



 ◆



「……混んでますね」

「う〜ん、先週も来たけど、こんなに混んでたかな? 日曜日の午前中って」

 スノバに着いて早々、刹那くんがひとの列に驚いてそんな疑問を口にする。


 刹那くんはここのスノバを利用しているけどこの事情は知らないようだ。


 見ると紫さんが対応しているレジカウンターには五、六人ほど注文を待つお客さんが並んでいた。そして、店内の座席も結構埋まりかけている。


 紫さんが軽くわたしに向かって手を降ってくれたのでわたしも手を振り返す。


「パルモでなにかバーゲンかセールをやるかもしれないですね」

「そうなの?」

「はい。紫さん……あ、店長がそんな事言ってました。ここって隣がすぐパルモですし。それに10時にパルモが開店するとスノバを通って中に入れますので」

「へぇ〜言われてみれば確かに」

 ここのスノバはパルモと直結している。その特性上どうしても開店まで時間を潰しにくるお客さんは来るんだそうだ。


「わたし、埋まらないうちに席を確保してきますね」

「あ、ごめんお願い」

「はい」


 適当に席を探すため店内を歩き、奥の壁側の二人席にカバンを置いて刹那くんの元へと戻るのだった。



 ◆



「なにを飲みますか?」

「そうだねぇ……」

 待ち時間の間、わたしの知らない店員さんがメニューを渡してくれた。時間的にも曜日的にも会うことのない店員さん。わたしが働いている時間には会えないんだろうなと思いながらメニューに視線を落とす。


「もうすぐわたし達の番ですね」

「ねぇ凪紗ちゃん。その無料になるチケットってどんなの?」

 次でわたし達の順番でそんな事を言ってきた刹那くん。『これです』と言ってスマホの画面を見せた。


「ちょっとスマホ見せてくれる?」

「えっ? いいですけど」

「ごめんね」

 スマホを手渡し刹那くんはじっと画面を見つめる。


「凪紗ちゃんは何かこれが飲みたいってのはあるの?」

「わたしですか? そうですねぇ……」

 メニューを見て思考を巡らす。


「気になってるのは、抹茶ラテですかね。一度飲みたいと思ってるんですけど、キャラメルマキアートばっかり飲んじゃってるんですよね」

「ふ〜ん、サイズは」

「そうですねぇ……一度グランデを試したいんですけど。飲みきれないと嫌なんで無難にトールですね」

「ホット? アイス?」

「抹茶ラテはホットしかないんですよ」

「なるほど、カスタマイズは?」

「あ〜試したいのはオールミルクと抹茶パウダー増量ですね。それとシロップを抜きにしてエスプレッソをふたつ……あ〜いや、ひとつですね。ひとつだけ追加してみたいです。抹茶を楽しみたい。なんて思っちゃってます」

「フードは?」

「えっとぉ、抹茶パイティラミスを食べてみたいんですけど、すぐに売り切れちゃうんですよね」

 そんなわたしの試してみたいカスタマイズと飲み物、食べ物を聞いた刹那くんは軽快に『じゃあいい機会だから、それを頼もうか』と軽やかに言った。


「えっ? えっ!?、ちょっと、刹那くん?」

「いいからいいから」

 ハッと気づいたら刹那くんは空いたレジにわたしのスマホを持って行って今、言った抹茶ラテとカスタマイズと抹茶パイティラミスをオーダーしてしまった。


「抹茶パイ……あ、はい、ございます」

「じゃあ、このチケットで抹茶ラテをもうひとつお願いします」

「かしこまりました。抹茶パイティラミスはおひとつでよろしいですか?」

「はい。ひとつで」

 そういってわたしのスマホを紫さんに見せて、会計まで済ませてしまう。


「凪紗ちゃ〜ん。さっそく使ってくれたんだね」

 紫さんがそういうと刹那くんにむかって『いつもご利用ありがとうございます』と紫さんがひとつ頭をさげる。


「あ、いえ、こちらこそおいしいコーヒーをありがとうございます」

「そう言っていただけるとうれしいです。ところで凪紗ちゃんとアンブレイドバトルをやっていましたよね? もしかして凪紗ちゃんの彼氏さんですか?」

「ちょっ! 紫さん?! なに言ってるんですかぁ!」

 突然、突拍子もない事を言い出した紫さん。その突然の紫さんの言葉に刹那くんは『はは、違いますよ。知り合いです』と笑顔で即返す。


 ううっ、わかっていたけど、そこまで即答、即否定されると……ちょっと傷つくなぁ……


「彼氏さんじゃないんですか? ふたりで来ていたからてっきりそうだと」

「ええ、俺が午後に予定があるんで、今日はここで抹茶ラテをいただいてそのまま解散です」

「へぇ〜そうなんですか」

 紫さんがそういって、刹那くんにおつりと次に抹茶パイティラミスが乗ったお皿とトレイを渡す。


「はい。そう言うことなので」

「わかりました。では、時間までごゆっくりお過ごしください」

「ありがとうございます」

 ひとつ頭を下げて刹那くんは『行こうか』とわたしにそう促す。


「刹那くん。あの……いくらでした?」

「ん?」

 緑のランプ下のカウンターで抹茶ラテが出来上がるのを待つ間。刹那くんが払ってくれた代金を支払うために金額を尋ねてみる。


「前にも行ったと思うけど、高校生にお金を払わせるわけにはいかないからね。お金はいいよ」

「でも。そのですね……なんというかその、わたしからおごるって言った手前その、おごってもらうわけには……」

「いいよ。気にしないでよ」

「……いいえ! やっぱりわたしがおごりますって言ったんですから。きっちり支払わせてください。そして、今度は絶対にわたしがコーヒーを刹那くんにおごります!」

「……この前のプリヴァンでも思ったけど意外と強情だね」

「おいくらですか?」

「わかったよ。1080円だよ」

「オールミルク、シロップ抜き、抹茶パウダー多め、エスプレット追加の抹茶ラテお待たせいたしました」


 出来上がった抹茶ラテをトレイに乗せて、確保した席にふたりで向かうのだった。


 ◇続く


こんばんは、間宮冬弥です。

まずは、この稚拙な作品を最後まで読んで頂きましてありがとうございます。


次回で最終話となります。最後までお付き合いしていただければ幸いです。

それでは、これで失礼します。

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