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クリスマスマジック  作者: ネムのろ
5/6

裏と表の勇者

貴方が忘れてしまっていても

私が覚えていれば それでいいのです。

ただ、貴方のおそばに居させてください。

そして、貴方がしてくれたように、貴方を守ってみせます。

                


          ~アレシアの日誌より抜粋~



そこで、ヒカルは少し落ち着くために息を吸って吐いた。



「多分だが…こいつ、魔王倒してそいつの怨念が籠った剣を

持って行ってしまい、徐々に我を無くし、

魔王に自我を乗っ取られたんじゃないか?」


「そ、そういえば…彼はこんなことする人間じゃ

ありませんでしたね…」



そうして木霊するのは別の笑い声。

不気味で邪悪な気配が漂った。



『ふふふ。まさかまたお前に出会うとはな…裏の勇者ヒカル』


「裏?勇者?また出会う??」



今さっき脳裏に浮かんだものは失っていた記憶だったのだろうか。



『どうやらあの時の我の最後の攻撃で全てを忘れたか。

お前はもともと、この地の人間だった。それが

我を倒すために呼び出された。裏の勇者としてな』



そして、また不気味な声で笑った。



『ちょうどいい!表と裏の勇者を戦わせるか!!いい見世物になる』



言いながらアランの体を操り剣を突き立てた。

直後、剣から凄まじい黒いオーラが出ていき、ヒカル目がけて放たれた。



小さな可愛らしい声が後ろの方で聞こえた



「ಸ್ವರ್ಗದಲ್ಲಿ ಯಾರು ಕಲೆ ನಮ್ಮ ತಂದೆಯ ನಿನ್ನ ಹೆಸರು ಪ್ರತಿಷ್ಟಿತ」



途端に目の前の迫ってきていた攻撃がピタリと止んで

徐々に威力を失っていった。



「ನಿಮ್ಮ ಕಿಂಗ್ಡಮ್ ಬಂದು, ನಿಮ್ಮ ಮಾಡಲಾಗುವುದು」



声の方を見れば、アレシアが先っぽのほうに星が飾ってある

傘を前へ突き出し、何かを踏ん張っていた。

続くは演唱みたいな言葉の羅列。しかし、透き通り力のある言葉たちは

只ならぬ気配があった。



「 ಭೂಮಿಯ ಮೇಲಿನ ಸ್ವರ್ಗ ಎಂದು!!」



突然、傘についていた星が輝く。バッとひらけば攻撃が粉々になった。





「彼と貴方は昔、大の友になったんです。」




私たちの住む『無限の夢地、アナスタシア』で貴方は唯一

魔法が使えない人でした。ですが、勇者にふさわしい

心と精神、優しさと勇気がありました。


貴方たちと私の道が混ざり合ったのは、旅の途中。

雨降る土砂の中、そこで私たちは知り合いました。



アランは女の子を助けようとして一緒に埋まり

貴方はそこを通りすがって、いてもたってもいられずに

彼を助けようと必死だった。



そして、ふたりともになかった力が私にはあったんです。


その現場の人たちはみんな、土砂から救い出すことが出来ました。



一生懸命なお二人の姿で私もやれるか分からない大仕事を

やってのけたんです。それから旅して、やっと魔王を

倒すことに成功した。でも、貴方は体を張って

私たちを魔王の最後の攻撃から救い

その反動で記憶を失い貴方の居るべきこの世界へ送り込まれた。





「というわけです」





「まったく記憶に御座いません」




「…でしょうね」


『次行くぞ』




魔王はそう言いながら今度はどんどん近づいてくる。




「アラン、今までの無礼、許してくださいね。

てっきり本性を現したのかと思ってました。

なにせ、ヒカルが居なくなった時から様子がおかしかったから。

でも…何故私に言わなかったんですか?力になれていたのに」



傘を優雅に前へ突き出し、そこ一帯を風が舞う。

集中的に傘の周りを囲み、星の飾り物が光り始めた。



「知ってたでしょう?私には強力な浄化の力がある事。」



魔王でさえ危険視した彼女の力。ゆえに彼女が生まれてから

魔王はひたすら彼女の命を狙った。




生まれた時から命を狙われる羽目になったお姫様に

魔法が使えない裏の勇者に、優しすぎる表の勇者。

旅をしていくうえで彼らは沢山のものを見、感じ

そして学んできた。


冒険の果てには悲しき別れが待っていたが

それは時として、再開の証でもあった。


その時の記憶は今まだ蘇らず。

はたして、彼らは今度こそこの戦いに

終止符を打つことが出来るのだろうか?


こうご期待!

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