八話
書き溜めてたヤツを投稿。
翌日もやっぱり普通に授業があった。
吉野くんはまた教科書を忘れたらしい……
私に眩しい笑顔を向けて
「一緒に見せてくれね?」
と、言った。
私は断れるはずもなかった。
そのまま、放課後も雑談に興じる羽目に。
…私が吉野くんを想ってて…。諦めきれないのを知って、これなんだろうか。
別に、嫌ではない。
その手の話は玲が疎いからありがたい。
「そろそろ部活だ。またね!」
「あ、メアド。これ。宜しくな」
「うん。」
…惑わせないで欲しい。諦められなくなってしまう。
私は切実にそう思っていた。
…一喜一憂するのに、もう疲れた。
私は開き直ることにした。
翌日。
教室に入って一番、玲に声をかけられた。
「昨日吉野といい雰囲気だったそうじゃない?」
どこから噂を聞いてくるんだろう。と思った
「…そんなことないよ?」
いい雰囲気などと言ったら、吉野くんの彼女さんに怒られちゃうよ。
私がそう言うと、うそ…と、玲が一言漏らした。
「うそじゃないからね?」
私は笑う。
うまく笑えてるだろうか…。
「昨日聞いたの?」
「ずいぶん前に彼女と歩いてるところ見たよ?間の悪いところにいあわせちゃったなー。」
私はうまく笑えているようだ。よかった。
玲は、私じゃない誰かに、同情の視線を送っていたけれど……
誰に送っていたんだろう?
「詩音、あんまり浮わついた話ないよね。」
私は詩音にしょっちゅう相談してたけど。と玲は言った
「誰か好きな人いないの?」
私は少し考える素振りをみせ
「うーん…いないかな。」
「なによその間」
玲は私を疑っている。
「だって即答したら『面白くなーい』でしょ?」
それはそうだけど…と、意外と早く引き下がった。
その話はここで終わった。
誤魔化しが聞いたのか、そのあとは何も聞かれなかった。