六話
続いてます
数日後。
少し落ち込んだような私を見かねたのか、玲が声をかけてきた
「どうしたの?詩音」
私は首を振る
「ううん。何でもないよ」
「なんでもない風には見えないよ」
玲は私を心配してくれているようだった。
「私に協力できることだったら何でもするからさ。詩音にはあの時、お世話になったし」
あの時、というのは付き合っている彼に告白する前の時のことだろう。
「ないよ。玲に出来ることなんて、ない。」
私はそう断言した。実際玲に出来ることなんて、ないんだから。
「…そんな言い方しなくたっ……」
玲はわたしを責め立てようとして、言葉を止めた。
「詩音、酷く悲しい顔をしてる。どうしたの?ホントに」
私を気遣ってくれた。
「…なんでもないよ。あと言い方キツくてごめんね」
いいのよ。と玲は一言言うと許してくれた。
玲の更に奥に、吉野君が居た。
吉野君は、女生徒と仲良く話していた。
「ねぇ詩音。一緒に遊びに行こう?土曜日」
「…え、でも玲……彼氏は……??」
玲のじゃまをするわけにはいかない。
「この状態の詩音をほっとくわけにはいかないよ」
「いや、でも大丈夫だから…」
私が微笑むと、玲は不満は残るけど納得してくれたらしい。
「…まぁアンタ頑固だし…」
そう苦笑していた。
帰り道に。吉野君をみかけた。
また、あの女の子と歩いていた。
吉野君は、幸せそうに笑っていた。
可愛い。
…この笑顔、どこかで…。
どこかで、似たような笑顔を見た気がした。
私は思い出した。
今日の玲の笑顔と、似ている。
私には、叶わない恋だと、突きつけられているようだった
胸が苦しい。
こんなことなら…
私は彼に仄かな想いを抱かなければ良かったのかな?
そう思うと、涙が溢れて、止まらなくなってしまった。
私は、声を押し殺して泣いた。
なんかね。
片想い辛いですよね。