三話
これ…テスト前に書いてるんだぜ……?
私は○×神社に来ていた。
手を合わせる。
私のこの恋が叶いますように。
そう祈った。
その、帰り道。
私は吉野君を見た。
女の子と仲良く歩いている。
そして、立ち止まって、不意に顔が近づいて……
見たくない。
私は走ってその場から去った。
分かっていた。
彼に対して、望みがないことくらい。
分かっていた、筈だった。
それでも、目の前で見た光景が信じられなくて。
私は神社の境内に侵入し、森のなかで泣いていた、らしかった。
「どうして……恋愛を叶えてくれるんじゃなかったの……?」
泣きつかれてその場で寝てしまったようであった。
起きると、人の良さそうな少年が眉を下げて私を見ていた。
「まったく…泣かないでくれよ…」
少年が困った顔で私を見つめる。
「あ、ごめんなさい…」
私は反射的に謝った。
「まぁいいんだけど…。どうしたんだ、アンタ…。宮野さん、であってる?生徒証落としてたぜ。」
生徒証を少年が差し出す。私は受け取った。
「ありがとう。」
私は笑って見せた。
「無理して笑うな。」
少年がそう言ったので私は無言で頷いた。
「ここは縁結びって言われてるけどさ、正直気休め程度でしかないんだ。どちらかにとって悪縁と分かったら結ばないから」
「ずいぶん親切な神様なんですね…。」
わたしは感心して呟いた。
「…そうかな。」
少年は心配そうに私を見つめる。
少年がそんな顔する必要ないのに、と思った。
「私は彼にとっては悪縁だったってことかな。」
私はわざと明るくおどけて言う。
そうでもしないと、涙が止まりそうに無かったから。
少年は口を開いた。
「縁を結ぶっていっても、恋愛はやっぱり当人同士の問題だし、神様が関与できる問題じゃないんだよ」
凄く真っ当で、理知的な意見だった。
「そう……だよね。」
「縁を結んだ後どうなるかは神様は保障できないから。結局当人同士の問題なんだ」
彼のその言葉に、私はうつむく。
彼の話は、当然といえば当然だ。
「でもさ…俺、アンタと初めてあったけど、アンタのその願い、出来るだけ叶えてやりたい。」
少年はなにか使命感に燃えているようだった。
「え?」
私は驚いて少年を見る
「…あ…もう日没だな…宮野さん、また今度来てくれ。都合のついた日でいいから。」
「え?あ、うん。」
私は勢いで頷いた。
「あ、君の名前は?」
そう言えば、少年の名前を聞いていなかった。
「僕の名前は、高都雅史。宜しく。」
少年は優しい眼で私を見た。
「あ、私の名前は宮野詩音。こちらこそよろしくね。」
私は、家に帰った。
自然と涙は止まっていた。
人物紹介
高都雅史
面倒見は良い方です。
観察眼が鋭い。人を見る目があります。
一種の先見の目になってます
名前の由来はまたもや混ぜた。…下の名前、某漫画と同じになっちゃったなぁ…。
でもこの人の名前は漢字はすげぇ考えた。