行商人
とある日の朝。
「セージ、今日行商人が来たみたいだから一緒に見に行かない?」
と、お母さんに言われたセージ。
(行商人だって?」
「うん、行く!」
(行商人がいるなんて想像すらしなかったけど、どんな物を売ってるのかな~)
お母さんに連れられて来たのは村の広場だった。
「あそこよ、セージは初めてよね、行商人はいろんな所を旅して商いをする人のことよ。
ちょっとセージには難しかったかしら」
「へー」
どんなものか覗いて見ると。
(へーゴブリンが行商してるんだ)
少し小奇麗な服装をしているゴブリンがふろしきを広げていた。
「いらっしゃい!今回は結構珍しい物が入ってるよ。どうだい凄いだろ、良かったら買って行ってくれ!!」
広げられたふろしきに様々な品物が並べられている。
綺麗な装飾品、ナイフ、剣、鉄の鏃、見たことのない獣の皮と鱗、布、縫い針、ツボなど、様々な物がある。
「じゃあ鏃をもらおう」
「鏃は十二本で銅貨一枚です」
(なんだってっ!お金でやり取りしてるよ!)
基本、村では物々交換が普通だったのだ。しかもセージはそこまで文明が発展してないと、失礼なことを思っていたのだ。そりゃあ驚くだろう。
「銀貨だが良いか?」
「ええ、良いですよ、銀貨一枚のお預かりで、銅貨九枚のお返しです。どうぞ、商品です」
「おう、確かに、ありがとうな」
「こちらこそ」
「これなんかどうだ、大鹿と大イノシシの皮なんだが」
「おーこれは中々の品ですよ、これなら、大鹿は一枚銀貨二枚、大イノシシは一枚銀貨三枚でどうですかな」
「大鹿はかなりきれいだろ、銀貨四枚だ」
「銀貨三枚と銅貨二枚でどうですかな」
「銀貨三枚、銅貨六枚」
「分かったそれでいい」
「ありがとうございます」
(買い取りもしてるよ!あとお金で取引してるのはびっくりしたな~全国共通なのだろうか?もしそうならスゴイな、為替とかはどうなっているのだろうか、あと、他に何処と取引をしているんだろうか、他種族との交流はどれほどなんだろう。気になる、気になる!)
「ツボの中身は何ですか~?」
「蜂蜜ですよ、どうです、一つ銀貨五枚だよ」
(蜂蜜だって!?)
「じゃあ~それ買います」
蜂蜜を買ったお母さん。
それを聞いたセージは。
(蜂蜜だー!)
あっと言う間に頭の中が甘~い、蜂蜜のイメージで埋め尽くされる。
「帰ったらたべようね~」
「うん!」
難しい事はあっと言う間にどこかに行ってしまったようである。
(はちみつはちみつ~♪)
たんじゅん?