幼馴染み
次の日。
「今日は何してあそぼうかな~」
そんな、独り言をしていたら。
「セージ君なにしてるの」
声をかけられた。
(確かこの子は、アニスちゃんだったかな)
幼馴染みの顔を覚えてないなんて!
そう言われてもおかしくないが仕方ない、
顔の見かけがつかないのだから。
目の前にいくつものトカゲ顔があったら、果たして見分けがつくのだろうか、
その分、薄っすらと分かるだけでもすごいのではないだろうか。
これも生まれた時から記憶があったらなかなか見分けがつかなかっただろう。
ある意味、5才だったのは幸運だったのではないだろうか、
前世の記憶を思い出すことは別にして。
「何してあそぼうか考えていたんだよ」
「じゃあ、私と一緒に遊ぼうよ」
(う~ん、どうしようかな~この世界の遊びはしらないからな~、いや、アニスに教えてもらえばいいんだ)
「うん、いいよ、何して遊ぶ?」
「う~ん、じゃあ、おままごとしよう!」
(おままごとか~懐かしいな~、そういえばこうして幼馴染みとよくおままごとしたな~)
「うん、おままごとしよう~、じゃ~私はお母さん、セージはお父さん」
「分かった」
とまあこんな感じで、
村の広場の端っこでおままごとをすることになった。
「ただいま~帰ったよ~」
「お帰りなさい、ご飯できてるわよ」
泥で出来たお団子をだす
「お~美味しそうだな~じゃあ食べようか」
「うん」
そして、お団子を食べるふりをする二人。
「うん美味しいね」
「美味い、アニスの料理は最高だ」
「ありがとう、嬉しい」
終始こんな感じでおままごとは終わった。
(楽しかったな~、あの時もあの子とおままごとしたな~)
そして、『昔』のことを思い出す。
(あの子とおままごとして、そしていつも、あいつが途中で入ってきて、お父さん役を取られて………そして、いつもあいつと遊んでたな、俺を抜きにして……そして、とうとう結婚したんだっけ……やめやめ、なに『昔』のことで落ち込んでるんだよ!今を生きていくって決めたじゃないか、もう俺は山見太郎じゃない、セージなんだ、この人生『昔』のことで台無しにしたくはない、折角転生したんだ、生き抜く、生き抜くぞ!)
まだ、振り切れて無かったセージ、だが今回のことで振り切れたようだ。
こんなトラウマがこれだけだと良いのだけれども。
「さ~て、明日は何してあそぼうかな~、あと今日の晩ご飯なにかな~」
案外、能天気な性格をしているようだ、彼が『昔』のことで葛藤したり悩んだりすることはあまり無いだろう、まあ、今日何食べるか、では悩みそうだが。