人間256
エラは木々の生い茂る丘の斜面を歩いていた。
太陽はすでに高く昇っており、彼女は思った以上に時間を費やしていたことに気づいた。イザが欲しがっていた桜の樹皮を取りに、彼女はそのまま空き地へ向かった。やがて、物音と、ときおり聞こえてくる人の声に気づいた。空き地には部族の仲間たちが集まっているのが見えた。エラは少しためらったが、彼らのもとへ歩いていった。人々は武器の扱いを練習し、狩りに備えていた。彼女は以前、彼らが新しい槍を作っているところを見たことを思い出した。細く、しなやかでまっすぐな若木を切り倒し、枝を落とす。そして一方の端を火に入れて焦がし、丈夫な燧石製の石器で焦げた部分を削り、先端を尖らせる。火で焼くことで木の先端は硬くなり、傷みにくくなる。
「エラ」彼女の姿を見つけると、皆が声をかけた。「これから投石索の練習をするんだ。一緒に来ないか? 君を待っていたんだ。桜の樹皮なら、もう俺たちが取ってきたよ」「ありがとう。でも、ちょっと意外だったわ」
彼らは練習場へ向かった。そこにいる人々は、槍のほかにもさまざまな武器を携えていた。練習場の奥では、槍と棍棒のどちらが狩りに向いているかを話し合っている者たちもいたが、大半の部族民は投石索の練習に励んでいた。老人たちは若者たちに、その使い方を教えていた。地面には一本の木杭が打ち込まれ、その少し離れたところには、道すがら小川から拾い集めた滑らかな小石が山積みにされていた。
参考文献
Auel, J. M. (1980) The Clan of the Cave Bear(=『ケーブ・ベアの一族』).
Milks, A., Parker, D. & Pope, M. (2019) External ballistics of Pleistocene hand-thrown spears: experimental performance data and implications for human evolution(=『更新世における手投げ槍の外部弾道:実験的性能データと人類進化への示唆』).
Parfitt, S. A., Lewis, M. D. & Bello, S. M. (2022) Taphonomic and technological analyses of Lower Palaeolithic bone tools from Clacton-on-Sea, UK(=『イギリス・クラクトン=オン=シー出土の前期旧石器時代骨器のタフォノミーおよび技術分析』).
推定総盗用率:およそ0–5%




