北欧24
「それで、あの感覚を二度と味わいたくないのなら、どうするつもりだ?」「なっ――」テュールは即座に剣を抜き、振り返った。そこにはオーディンが立っていた。
「貴様……!」「ははは。お前はフェンリルの時と何一つ変わっておらん。相変わらず愚かだな」黒いローブをまとい、顔を紅潮させた老人オーディンは、ゆっくりとテュールへ歩み寄る。「それ以上近づくな! 一歩でも近づけば殺すぞ!」「ほう……殺せるものなら殺してみろ」
「ああっ!」テュールはグラムを振り上げ、オーディンへ斬りかかった。しかしオーディンはそれをいとも容易く打ち砕く。
「あ……」砕け散ったグラムの破片を、テュールは呆然と見つめた。「お前には過ぎた剣だ」「……オーディン!」憎悪に満ちた鋭い眼差しで、テュールはオーディンを睨みつける。「そう怖い顔をするなよ」「クババを返せ!」涙を浮かべながらも、テュールはオーディンを見据えた。「あの子は俺の大切な人なんだ。彼女を失ったら、俺はどう生きればいいのかも分からない。なのにお前は……許せない!」だがオーディンはただ黙ってテュールを見つめていた。
「そうだな。人の恋路を事情も知らず壊すなんて、確かに許されることじゃない」その声はテュールのものではなかった。テュールとオーディンは同時に振り返る。「フレイ……」テュールは目を見開いた。「それに、私もいるぞ」「ガイア様!」「帰ったんじゃなかったのか……?」「お前を置いて僕だけ帰ったとでも思ったのか? そこまで僕を見くびっているお前を置いて帰るなど、そんな真似をしたら僕の名折れだ」「フレイ……もう二度とお前を馬鹿にしたりしない」
参考文献
小説家になろう (2004)『軍神の剣』.
茅盾(1930)北欧神话ABC(=『北欧神話ABC』).
推定総盗用率:およそ<20%




