北欧14
「どこから話せばいいんだ……」テュールは椅子にどさりと腰を下ろし、大量の蜂蜜酒を取り出した。「ガイアたちを除けば、俺の知る神々に慈悲なんてものはない。特にオーディンはひどい。このままじゃ駄目だ。いつかオーディン……いや、北欧の神々は必ず俺の家族に手を出すだろう。だが、クババを守るために北欧へ連れて行ったとしても、俺が人間の英雄たちの魂を集めていることを知れば、彼女はきっと俺を拒絶する。俺はいったいどうすればいいんだ……。キシュにいつまでも留まっているわけにもいかない……」
北欧の神々は、昔のテュールのように冷酷で無慈悲だった。だがクババと出会ってから、彼は変わってしまった。
酒を飲みながらクババのことを思い出しているうちに、胸の奥がじわりと熱くなり、不意に涙が込み上げてきた。
「はぁ、恋愛のことは俺には手に負えないな」ニャルラトホテプは蜂蜜酒を一口含み、楽しげに目を細めた。「だが、オーディンとシグルーンの評判を落とせば、ガイアは連中の言いなりにはならなくなるだろう」「どうやって?」「やり方はある。卑劣で、簡単な手段だ」「それは……良くない。俺にはできない」「人間を昏睡に落とす程度のことも、同じように『良くない手』だろう?だが気にする必要はない。私に任せておけばいい。お前は結果だけ待っていればいいのだ。蜂蜜酒を持ってきてくれた礼だ。それを報酬としよう。俺のことは、何も知らないままでいろ」
参考文献
小説家になろう (2004)『軍神の剣』.
Hesiod(紀元前約700年)Theogony(=『神統記』).
推定総盗用率:およそ25~ 45%




