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奏でて、旋律

作者:のはな
最新エピソード掲載日:2026/02/27
母は国民的歌姫。
父は伝説のロックボーカル。
――そして俺は、そのどちらからも逃げた息子だ。
十二歳の冬、母は消えた。
「お母さんを恨みなさい」
そう書き残して。
けれど最後の一文だけは消されずに残っていた。
『あなたは必ず、私と同じ場所に来る』
母譲りの“国を震わせる声”を持つ尾崎律は、
二度と歌わないと誓った。
音楽は呪いだ。
舞台は支配だ。
歌えば、母に近づいてしまう。
だから隠して生きてきた。
なのに――
人前では決して歌わないくせに、
誰もいない場所では全力で楽しそうに歌う陰キャ女子が、俺の声を聴いてしまう。
「ねえ、隠すのやめなよ」
まっすぐすぎるその一言が、止まっていた時間を動かす。
歌は支配じゃない。
歌は呼吸だと、彼女は言う。
これは、呪われた血統から逃げ続けた少年が、
誰かと声を重ねることで初めて“自分の歌”を見つける物語。
そして六年後――
尾崎律の歌声は、この国の“事件”となる
プロローグ
2026/02/27 11:29
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