表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元社畜神様はコミュ症すぎて異世界でも逃げ出したい  作者: 片白
5章 エルの故郷編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/80

5-11 空想上の世界5



勇者アメリア

──────────


 船凄い……世界が広がった!


 わたしたちはあれから、船を手に入れて大海原を駆け出していた——


「師匠が!?」


 なんと、師匠のおかげでエルが仲間になるというシナリオになったらしい。


「そう、カイルが来なかったら危なかった」


 もし、そのままエルを倒していたら現実に戻れたとしてもエルの命はなかったらしい……


 (この世界ってそんなに恐ろしい場所だったんだ……)

 (楽しんでおったのにな!)

 (楽しんでない! 強くなりたいだけ!)


「エル、次はどこに行くの?」


「四天王を倒しに行く」


「ほう、四天王なんぞがおるのか」


 四天王……そんなのがいるんだね。

 エルが言うには青と緑の四天王だけでいいらしい。何故なのか聞いても行けばわかるとしか答えてくれなかった。


「実質、二天王!」


ブイ


 四人倒さなくて良いのかとかは、とりあえず二天王を倒してから考えよう。


 

——わたしたちは先ずは青がいる北に船を走らせた。


「船の上でも敵が出るのね……」


「一回でレベルが四つも上がった」


 初めての二人の戦闘でエルの弱さがわかった。


「そりゃ……エル、3レベルだったしね。エルに攻撃が行かなくて良かったよ」


「確かにな。主人はやりすぎじゃ! レベル差がひどいのじゃ」


 更に、分かったのはエルは『海賊』じゃなくて『賢者』だった。なんで仲間になると職業変わるのかは師匠がやったんだろうと想像はつく、十一賢から来てるのかな?


「凄い! 精霊が居ないのに魔法が使える」


『モエ』

 ピロリロリン


ボフッ

 海の彼方に小さい炎の玉が飛んでった。


『サム』

 ピロリロリン


パキパキ

 海上がちょっと凍った。


『ボン』

 ピロリロリン


バンッ

 空が少し爆発した。


 他にも何種類か使って楽しそうだった。

 いいなぁ……


「……わたしも魔法が使いたかった」


 エルが徐ろにわたしを見てくるけど、なに?


「それにしても、アメリア……ダサい」


 今更? しょうがないじゃん……

 私の装備は、棒にはがねの鎧にはがねの盾に鉄仮面だ。中に鎖かたびらを着たかったが、何故か着れなかった。


 正直、一つも似合わない。

 でも、防御力は今の店売りでは最強だ! 背に腹はかえられない。

 今度はエルの装備も考えないと行けないのか……お金はある。

 

「エルの装備も買わないとね!」


 急に目の前が暗転する——


『イカの大王が現れた』


「エル、敵! 魔法の出番」

 敵に初魔法だ。


「まかせて! 『モエ』!!」

 ピロリロリン

 『MPが足りません』


「おい!」



——そんなこんなで、北の四天王『アオナジミ』が居るという洞窟まで来ていた。

 

 ザッザッザッザ……


『海底洞窟』

 

 その頃にはエルも23レベルにまで上がりある程度はこなせるようになった。


 装備も直前の町で店売り最強にしている。

 というのに、エルは「ダサい」の一点張りだ……この世界で命を落としたらどうなるか分からないのに、何で格好を気にするんだ!


「海上なのに海底……ふっ」


 エルが一人でほくそ笑んでる……確かに海上から入ったけどね、気にならなかったよ。

 そんな、不気味なエルが急に真顔になった。


「ここの最新部に青の四天王がいるはず」


 イベントじゃないよね? 突然だから分かりづらいよ。


「それも、師匠から?」


「うん」


 会話しながら進んでいたら分かれ道にぶつかる……これが一番困るんだよなぁ、正解が分かれば進みやすいのに。


「多分、右」


「わかるの?」


「風が通ってる」


 さすがだ……確かに分かりやすく右から風が来る。

 これは、良い情報だ!


「なら左ね!」


「え?」

 右に進もうとするエルが立ち止まりこちらを向く。


「行き止まりには宝箱!」

「エルよ、覚えとくがよい! 苦労するぞ……」


「まさか、全部回るの?」


 項垂れるエルを引っ張って、四天王の洞窟を根こそぎ荒らした。

 ホクホクだ!


 お、また発見! この宝箱には何が入ってるかなぁ……ガチャ——


 『おざなりの杖を手に入れた』


「エルの装備が来た! けど、くそ……また無駄に店売りを買ってしまった」


 エルに渡しながら思った事を言ってみる。


「でも、なぜか名前がエルにピッタリね」


「なぜ?」

「ふむ、その場しのぎのいい加減な、という意味じゃな」


 え……そうなんだ。合ってるけど、知らなかったとはいえ……


「ごめん」


ポイ


カランコロン

 『エルはおざなりの杖を投げ捨てた』


「……エルの武器買っておいてよかった」



——色々あったけど……一人じゃないと、ティアは居たけど……冒険も楽しく、あっという間にボス部屋に辿り着いた。


ガチャ


 な!? 入っただけで音楽が変わった……


「いらっしゃいませ。 青の四天王『アオナジミ』……アンです、だ!」


 アンですだ? セリフがおかしいけど、お辞儀をしながら迎えてくれたその人は……アンじゃん!


「アン! 姉様は?」


「お久しぶりです、勇者よ! アルテル様とは逸れて、ここがお前の墓場だ! しまいました」


 強制力に割って入ってる……色んな意味で凄い……こんな時の一番の言葉は。


「さすがアンね」


——暗転するという事は戦いが始まるのか……なんか、なにをしに来たのかも分からないから、アンに会えた事に喜んだけど、ボスなのよね。


『四天王アオナジミが現れた』


「アンです」


 抗う場所がそこなのね……そんなに嫌なのか。


「さて、どうしようか、エルはわたしの攻撃痛かったの?」


「うん、死ぬほど」

 間違ってはいない……


「せっかくだし、エルが魔法使ってみて」


「わかった」


『じゅもん』、『モエミ』

 ピロリロリン


ボファァア!!

 大きめの火球がアンに直撃した……熱そう。


『四天王アオナジミは86のダメージを受けた』


「あ、アンで……す」


 アン……戦闘中に抗って話した敵、初めてだよ!


 では、わたしは『ぼうぎょ』


『四天王アンはエルに攻撃をした。56ダメージを与えた』


 ダメージにも驚いたけど……とうとうアオナジミを覆した。

 この戦いは別のところで壮絶だった。


 おっと、思った以上にアンが強い。

 このままだと、エルがやばい。

 42/98 これはもう次来たら耐えられない……

 ごめん、アン……『たたかう』


『アメリアの攻撃。四天王アンに263のダメージを与えた』


 な!? ……倒せなかった。


「エル、自分を回復して!」


「うん。『チユ』!」

 ピロリロリン


『エルは36かいふくした』


 二人になったのは良かったけど、倒されると何が起こるか分からないから、エルを回復しながらの戦闘になった……アンが執拗にエルを狙うから大変だった。


 ドルルルールン


『四天王アンを倒した』


 か、勝てた……四天王だけあったよ。

 これは、今後もっとレベルを上げないと。


 やっぱり暗転しなかった。


 『四天王アンが起き上がり仲間になりたそうにこちらを見ている』


 『はい』名前は『アン』で。


 流れがわかっているので、もう驚く事はないげど仲間が増えるのはやっぱり嬉しい!


 暗転していく——


「ぐわ、おのれ、魔王さま、ごめん……なさい」


「うわ……エルより適当」

 これは、もう寧ろやらない方がいいのではないだろうか。


「ふぅ……やっと解放されました。ありがとうございます、アメリア様」


「おつかれ」


「これは、エルトゥア様もありがとうございます」


「狙いすぎ、恨みでも?」


 確かに、エルばっかり攻撃してたから当然の疑問だが、これにアンはなんで答えるのだろう。


「私はアルテル様とアメリア様のメイドです。攻撃などできる筈もありません」


 手を口に当てて、アンの想いを受け取った。

(まさかの、プロ根性)

 エルは「見習いたい」って言ったけど、確かに少しは見習った方がいいと思った。


 さっきまでとは、違って自然に振る舞っているところをみると本当に解放されたのだろう。


「アンは師匠に会いましたか?」


「はい、カイル様からは『勇者くる』と『解放待て』の二言だけ頂きました」


 急いでたのかな? でも、エルと同じように倒すと仲間になったしよかった。


「カイルさすが」


 (お株を奪われとるな!)

 (確かに……凄いとは思うけど、感情が湧かないの)

 (なんとも、不安しかない言葉じゃな……)


 ただ、今は『魔王』を倒さないとという思いがどんどん強くなっている……

 このまま、冒険を続けていて大丈夫なのだろうか、師匠….



【カイル】

──────────


 一応、ある程度は済んだけど……どうやっても『勇者』と『魔王』の書き換えが出来なかった。


 正直甘く見ていた。まさか隙間なくデータが埋め込まれていて、少しでも変えようものなら正常に動かなくなる……無理矢理弄ったら最悪、この世界が危なくなる。

 さすがに二人は弄れない……こんなやり方があるなんて、思いもしなかったよ。


 上の世界なんて、世界は作っても生き物は作った事なかった、というより考えもしなかった。

 だって意味がないし、勝手に生まれてくるものだと思ってたし。


 この世界で重要なのは『勇者』と『魔王』それ以外は脇役、だから勇者と関わるまで動かない。


 魔王も、それは同じだが、魔王の場合は最初から強者。そこにリソースを割いている。

 更に魔物はほぼ、魔王に集約されているこれも魔王を弄れない要因だ。


 僕は魔王の玉座に座らされている身体に戻って色々考えあぐねていた……


 (サタンは、何か良い案ない?)

 (お前に出来ないことができるわけないだろう)


 役に立たないなぁ……

 今はエルとアンが解放されたようだ。

 これで、とりあえず二人の命の問題は大丈夫、初めにこの世界を見た時点で驚いた。

 ボスに位置付けされたキャラクターは勇者に負けると『死』が確定する。


 この『魔道具』の恐ろしいところは、ここが仮想空間なのに現実に影響がある所だ。

 つまり、ここでの消滅は現実での『死』、最初にアメリアを書き換えようとしたら、もちろん無理だった。なので、他を書き換える事にした。


 勇者のパーティは四人、これは勇者が確定してしまっているので勇者を書き換えられない。なので四人の仲間は確定。ただ、誰を仲間にするかは決まってなかった。

 なので、本来仲間にするキャラクターをボスになってしまった『エル』と『アン』にしたわけだ。


 勇者パーティはもっと早く四人揃うはずだったのだがそれは仕方なかった、なんとか一人でそこまで行って欲しいと願っていたが、誤算が起きた。いい意味で、アメリアがあそこまで過剰にレベリングするとは思わなかった。


 だけど、逆にここで違う問題が出てきた。アメリアのレベルはすでに52……魔王との対決に不安しかない……予防策に仲間の初期レベルを下げたが、これも焼け石に水かもしれない。

 

 出来れば僕が解決案を見つけるまで、魔王に負け続けるのが理想だったが……


 アメリアの性格上、無理そうだ。


 勇者側はこの世界で命尽きても無限に生き返れる、生き返りの魔法まであるから恐ろしい。

 これを上手く使えないかとも思ったが、魔王は一人で戦う……使えても無意味だ。


 あせりだけが膨らむ……こんな感覚久しぶりだよ。やっぱり甘く見てたなぁ。


 因みに僕の身体は、まぁ、これも最悪だけど動かすのは無理だった。

 何故なら、魔王と直結していたので魔王を書き換える必要がある……つまり、魔王が死ぬ事で僕は解放される。

 

 僕がやれる事は他を使ってどうにかするしかない。どこまでも不条理極まりない。


 仕方ない、この世界に引きづり込んだ『所有者』に会ってこようか。


 (また、出かけてくるね)

 (好きにしろ)



魔王アルテル

──────────


「ツアド、おかえりなさい」


 どうしたのだろう、何故か沈んでいる。


「ただいま。良い情報と悪い情報どちらから聞きたいですか?」


 ……よくある話ですが、私はもっぱら良い方を先に聞く派ですね。


「良い方で」


「ふふ、貴方らしい。妹様とアン様を見つけました。更にケセド様とエルトゥア様も」


「素晴らしい。それは朗報です!」


 凄い、さすがツアドですね。

 しかし、この流れで悪い情報……とは、何でしょう。


「……悪い情報は『勇者』が妹様でした」


 久しぶりに私は思考が止まった……考えてなかった訳ではないが考える必要がないと省いていた。

 さすがに嫌な状況ですね。


「戦わない方法はありますか?」


「無理でしょうね……」


 私は自分の腰に掛かっている剣を抜いて軽く人差し指を切ってみた……切れませんね。

 続いて、足に剣を突き立てようとするとツアドが……

(やめてください!)


 それでもやらないと!


ガキンッ

 弾かれた……やっぱり——


「私は……自ら命を絶てません、貴方はどうですか?」


「!? 私が必ず方法を見つけますので、その話はなしです」


 どちらだろう……ツアドはこの世界では確実に理から出た存在だ、物語を壊す事ができるはず。最悪は私が死ぬ事ではない、アメリアに殺される事だ。


 それだけは絶対に阻止しないと。


「わかりました。私はここから出られません、貴方だけが頼りです」


 ここまで、何も出来ないのも最悪だ……せめて自分で動ければ諦めもつくのに。

 誰かのせいにはしたくない……


 未だ起きない玉座に寝ているカイル様を見ると、心が弱くなるのがわかって……自然と求めてしまった。


 (カイル様、助けて……)


 (……アルテル、望みを捨てないで)

 (ふふ、飾れないのも最悪ね)



【フラン・ソワーズ】

──────────


 なんでこんな役になっちゃったんだ!

 せっかく自由になったのに城から出られない……


 この魔道具は所持者でさえ強制力に抗えない、やっぱり誰も使いたく無い訳だよ。

 権限があった最初だけだよ、楽しかったのは。


 何が起きているのか分からないのが一番最悪だ。少しでも状況がわかれば、楽しめるのになぁ。


(聞こえる?)


「だ、誰だ!」


 すぐに周りを見るが誰もいない。


 な、なんだ? 急に頭に声が響いた……これは、ぼくに何かイベントか?


(誰だろう……お前に巻き込まれた者かな?)


「は? つまり、白い奴らの誰かか? 村の住民や妖精族にこんな事出来ないだろうし……まさか、白い奴本人か?」


(僕が誰でも、良いんだよ。勇者と魔王の解放の仕方を教えろ、それかこの世界から出る方法でもいい)


 なるほどね、この世界のルールから抜け出そうとしているのか……そんな事、ぼくにも出来ないのに凄いね。


 でも、知っていても誰が教えるかよ! こっちは消滅覚悟でやってんだ……あぁ、でも、教えて絶望する顔を見たい気もするなぁ。


「因みに、教えたところでどうすんの?」


(どうでもいいだろ……後、魔王を倒したら出れるとか御託はいらないからな)


「知ってるのかよ。つまんない……」


 なぜ、わかった? この世界のルールはこの世界に入って初めてわかる……コイツが白いのなら役はぼくと同じ姫、しかも魔王に捕らわれぼくより自由はないはず。なのにどうやったか分からないが遠距離で話す事ができる……


 もしかしたら……


「ねぇ、交換条件だ。ぼくはここから動けない、もし君がぼくを魔王の所に連れて行けたら、出れる方法が分かるかもしれないよ」


 まぁ、完全に嘘だけど。

 もし、魔王の所にいけたら特等席で、最後を見れるかも!


(嘘じゃないだろうな?)


「君さ、そんな事言ったって選択の余地ないんじゃない?」


(……わかったよ、少し待ってて)


 まじ? できるのか……凄いな。

 こりゃ、本格的に勝てない訳だよ、コイツが魔王だったら……まぁ、終わらない世界になるだけか。


 さて、何が起こるか楽しみに待ちますか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ