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元社畜神様はコミュ症すぎて異世界でも逃げ出したい  作者: 片白
4章 エルフ国編

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4-16 エピローグ



【カイル】

──────────


 見れなかったけど、聞いていたら……サタンの交渉術はすごかったね。



 そんな事を思いながら、いつもの様にヒアと『セフィロト』の枝でのんびりしていたら、サタンが戻ってきた。


「お疲れ様。余計な事せずに偉いね」


 お分かりだと思うけど『アバター』にサタンを入れて報酬を貰いに行かせました。


 僕があんな所、行く訳ないじゃん。


 コクマーさんだけなら良かったよ?

 でも、他に九人知らない人が居るとか……コクマーさんもやるよね!


「案外楽しかったぜ、要望通りできたろ?」


 そうだね。

 満足だ、最初はヒアに行かせるつもりだったけど、殺さなかった礼だと取引を持ち出して来た。


 礼なのに取引。

 謎理論だが、悪魔の世界じゃ言葉の重みは大きいらしい。


 普通、悪魔は『契約』で他者と取引をする。

 願いに制限はなく、どんな願いでも叶えてもらえるが、願いの大きさにより代償も大きくなる。

 そこに嘘はなく、もし違えるとどちらもただでは済まない。


 一見良さげにも見えるが、悪魔は言葉巧みに誘導し代償より対価が上だと相手を惑わしたりする為、冷静に等価交換の取引が出来るかは中々難しい。

 いわゆる『悪魔の契約』と言うやつだ。


 今回に至っては契約もなく僕が一方的に『助けた』形になり、サタンにすればどうにか対等に持っていきたくて命懸けだったと。


 そんなこんなで、僕との取り決めを純粋にやり遂げてくれました。


 今か今かと契約完了の確約が欲しくてたまらないみたいだ……よく分かる! 上司に媚びへつらう、僕もやったよ。

 君にとって僕が上司とは何とも悲しいね。


「うん、ありがとう。満足だ!」


 と言ってあげると、嬉しそうに僕の左目に戻っていく。

 早速、頑張って僕を乗っ取ろうとし始めてるけど、無理だよ……僕を喰えたら最上神様が君より劣る事になってしまう。


 出来てヒアくらいは……それも無理かな?

 ロイにもそこまでの制御が出来なかったしね。


(お前の中身はどうなってるんだ?)

(中身ねぇ……それを教えたら多分消えちゃうけど聞く?)

 (悪魔に話すとどうなるか試したい。

 ロイの呪いと一緒に消えてくれるかな?)


(……思考が漏れてるぞ……おっかねぇ奴)


 あれ?……まじか、強く思いすぎたかな。

 気をつけないと。


「カイル様ーーーーっ!」


 ヒアが飛んできて、僕のフードにすっぽり収まる。


「アメリアたち、宿に戻ってた!」


 もう、自由にして良いとは言ってあったけど、我慢出来ずに先に会って来ちゃったのか。

 そういえば、エルともまた旅ができるみたいだ。

 サタンは思った以上に有能みたいだね。


 さて、宿の場所も分かるから飛ぶか。


 あ、その前に。


「ちょっと寄り道するね」


——飛ぶ。



【コクマー】

──────────


 疲れた……


 十賢とあの後、色々意見を交わしたけれど。

 長い議論の末にユダは『魔道具』による物と言う結論になった。

 単純な消去法による答えなのだが、ほぼ当たりだろう。


 精霊との相性が悪い魔道具、もちろん分かっているからの検問だ。

 武器や魔道具の類はあそこで弾かれる。


 人の目を抜けてもさらに『霊門』がまず見破る……少なくとも十賢は全員そこを議論をする為に何度も通る。

 まずあり得ないとなるが、それすらも潜り抜ける魔道具があるとは驚きだ。


 カイルみたいなのはもちろん例外だ。

 あんな奴がごろごろその辺にいたら安全なんてないに等しい。


「あの白いのは枠の外……」


 はぁ、と振り返ると白いのがいた。


「っ!? 貴方は毎回、毎回、もう終わったのに何かよう?」


 来る可能性はあった。いつ来ても良いように心構えはしていた。だが、心臓に悪い……


 カイルはおもむろに左目で私を見ていた。


「やっぱりね。

 サタンの予想は当たりだね、僕にも普通に見える」


 何を確かめに来たのかは知らないけど、それは良かったわね。

 私が何も言わないのを良い事に好き放題言い出し始めた。


「紫で全部染まってると悪いんだね?——なるほど、つまり『ユダ』が消えたから普通に見えると」


「あのさ、ユダて何?」


 あら、可愛い声。

 最初に会った時に演じていた子ね?

 カイルは声色を変えられるのかとも思ったけど別人格なのね。

 カイルは丁寧にユダを説明してあげている。

 ……説明をしてあげるなんて、優しさもあるのね。


「便利だけど、僕には使いづらいなぁ……身体に入ってないと駄目みたいだし」


「なら、私が入って見てあげる!」

「んーそれも良いけど——」


 私の方を向く。


「ちょっと、試したいからコクマーさんに一回入ってくれない?」


 ……サタンと話してるみたいだけど、側から見ると不気味ね、隠す気ないのかしら。

 最後の話なんて、私が許す訳ないのに話が進んでるし。


「無理よ。

 あと、人前でそれはやらない方がいいわよ」


 何言ってんの? コイツ……みたいな顔で驚いている、了承すると思っている事に驚きよ!

 

「…………じゃあ、いいや。またね」


 と言って消えていった。

 不可抗力ってことだけど、変な人と知り合いになってしまった。


 もう、何も起こらない事を願いたいわね。



【アメリア】

──────────


 みんなの会話が難しすぎて何も出来なかったけど、終わってみると全部綺麗に収まっていた。


——さすが師匠でした!



 そして、わたしたちは宿に戻って来ていた。


 もちろんエルも居る。

 結果、またいつものみんなで旅立てる事になった。


 凄く良かった!

 ただ、久しぶりに会った師匠は物凄い変わってしまっていた……わたしは今後どう接すれば良いのでしょう。


 (ティア、どう思う?)

 (何の話じゃ! まぁ、想像はつくが……いつも通り以外無理じゃろ)

 

 だよねー。

 変えろと言われてももう、師匠は師匠だ。

 横の布団で丸まっているエルだって偉くなったみたいだけど、エルはエルだ。


 あの、お人形の様な衣装は返して来たらしく、今は元通りになってしまったのは残念だったけど。


 なんかずっと話さないから話しづらくなってしまい、師匠が来るまでどうしようと思っています。


 なので、早く帰ってきてください師匠!



【エルトゥア】

──────────


 解放者、恥ずかしい——

 他にも色々バレて恥ずかしい!

 何か他にも恥ずかしい事を言った様な気もする……

 

 変に思われてないか……

 アメリアは全く話しかけてくれないし。


 まぁ、ずっと布団被っている私も私だけど。


——私はまた、みんなと旅に出れる事になった。


 文字通り、セフィラになるという事はセフィロトとの繋がりを持つという事だった。


 ただのお披露目かと思ったが、終わるとセフィロトと繋がったと認識できるくらいの繋がりを感じれる様になった。


 私はほぼ諦めていたが、あの時『外に出しても』と誰かが言ったおかげで、きっかけを掴めた。

 試せる事は試してみてから諦めようと、精霊を通して繋がった『セフィロト』に話しかけてみた。


 結果、言葉は何ももらえなかった。


 諦めかけたが——

 代わりに、光が根を這う様に世界へと流れて行く映像が私の頭に流れた。


 セフィロトはちゃんと答えをくれた。


 今回のクリフォトやユダ、エルフが常に閉鎖的なのは変えなければという想いが断片的に伝わった。

 私は許しをもらえたと確信できた。


 少なくとも十賢が何故外に出られないのかは、セフィロトとの繋がりがもう切れない強固なものになってしまっているからだ……私も繋がってみてそれを感じた。


 だからわかる。私の繋がりは産まれたばかりでまだ柔軟だ、どこまでも伸ばせると。


 最初の外から守る十一番目のセフィラになれるはず。


 思いっきり建前だけど。


 たぶん……セフィロトも私の真意はわかっている。

 それでも変わろうとしているのは私にも有難い。


——少し落ち着いて来た。


 布団から顔を出して、部屋を見てみたらアメリアがガン見してたので、布団を被った。

 怒ってる……?


 カイル、早く助けて……。



「カイル」

──────────


 やっと、二人に会えるよ。

 何日振りかな?


ガバッ


——宿に飛んだら急に横から抱きつかれた。


「師匠っーーーーうぅ」


 あれ?『サタン師匠』と会っていたと思うけど、忘れちゃったかな? 撫でてあげよう。

 僕に埋もれたまま、ぐすんぐすんしている。


「エルは?」


 あの布団が膨らんでるところかな?

 ヒアがフードから布団に突撃をかます。


「エルーーーっ! カイル様が帰って来たよー!」


ドフッ!


「ぐへっ」


 エルの声だね。


「アメリアもエルも元気そうで良かったよ」


 アメリアは力一杯ガッチリ掴んで「元の師匠だ! もう、どこへも行かないで下さい」と言い、エルは「おかえり」とだけ言って布団にくるまったままだ。


 まさか!

 エル……ここに来て引きこもりかい?

 尊重しよう、僕はいつまでも待つよ。

 ゆっくりおやすみ。


「ヒア、エルは疲れているみたいだから、こっちへ」


 「はーい」と言い、フードの中に収まる。

 さて、どうしようかな……とりあえず、掴まれていて動けない。


「そうだ、お祭りはどうだった?」


 大変な事になったみたいだけど、少しは楽しめたのか聞きたかっただけなのに……なぜか、どっちもお祭りを楽しんではいなく僕を探していたらしい。

 どう言う事?


「コクマーさんから聞いてない?」


 これも何となしに聞いただけなのに、アイツは敵だ! とか”さん”なんて付ける価値ないなど、怒りが爆破していた。

 コクマーさん……僕のお願い聞いてないじゃん!


「ごめんね。あの人を信じたばっかりに……」


 ちょっと文句言ってくるよ! って言うと「あんな奴いいです!」「そう、無視」と、息ぴったりで返ってきた。


 ヒアに至っては「私が行って来ようか?」シュッシュッ——と僕の頭の上で息巻くができもしないのだから暴れないでほしい。


 ただ。

 この感じに凄く安心する僕がいる。

 久しぶりの日常に帰って来たなぁと思っていたら——

 

トントン


 と、急にノックの音がなる……すぐに誰か分かったので「どうぞ」と迎い入れた。


「失礼します」


 アルテルだ。

 そういえばサタンが連れて来たんだよね……まさか僕のイメージを使って『転移』するとはね。

 中々に万能悪魔さんだ。


「アルテル。ごめんね、すぐに国に送るよ」


 突然の僕の言葉を聞いて笑顔が顔面蒼白になる。

 なんでだ……??


 ——話を聞くと、まだ国交の話が終わらないので、帰るのは後日にお願いしますと。


 「その辺、カイル様も見ていたと思いますが

全てアンに伝えてあります」との事。

 更に幾つか書簡をもう送っているらしい。


 実際、僕は見てないけど行動が早いね。


 と言う事は、帰る日時を聞いてどこかに待ち合わせしないとなぁ……と聞いてみたら。


「安心してください! 私はみなさんとご一緒します!」


 僕は別に良いんだけど。

 国交の話はどうしたんだ?

 そんなアルテルの言葉に——


「姉様……」

 アメリアは僕に抱きつきながら呆れ。


「怖っ」

 エルは布団から出ずに恐ろしいツッコミを入れた。


 逆にヒアは「よろしくー」とウェルカム過ぎて何も考えてないし。

 忘れてないけど、突然(忘れておるじゃろ?)とティアがここで入って来た。


 僕以上にみんな自由すぎていいですね!


 これは、あれかな?

 明日はハイエルフの墓所にみんなで行くのかな?

 

 賑やかになりそうだ。

 たださ、アルテルは今日はどこに泊まるの?

 この部屋に四人……二人部屋だよねここ。


 

「レイア」

──────────


 ふふふ……


 天高く両手を上げ叫んだ。


「できたぞーーーーっ!」


 出来た物を見ると……

 なんか、思っていたのとは違うが、細かい事は別にどうでも良い。


 とうとう出来た! これで入れるはず!


 権限を与えて、入れてみる。


スポッ


「入った!」


 さて、我はこれから——



——ゆっくりと眼を開く……


「ついに、ついに来たぞ!」


 ……声高っ!


 しかも、歩きづらっ……まだ慣れないか。


ドンッ


「痛っ」


 こけた……

 

「待っていろ! カイル——」



 ちなみに、ここはどこなんだろう……

 




4章完!


面白かったら評価よろしくお願いします(´ー`)

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