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元社畜神様はコミュ症すぎて異世界でも逃げ出したい  作者: 片白
4章 エルフ国編

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4-3 道中色々ありまして 3



【イヒト】

──────────


 危なかった。

 あの後、様子を見に戻らなくて正解だった。

 

 遠目で見たけど国の騎士団だよね。


 あれから一日半。

 早すぎるな……どうやったのかはわからないけど、すぐに第二王女に連絡が入った?

 いや、最初から計画の一つか?


「あの、白いのやってくれたね」


 囮か……仲間をむざむざ囮にするとは思わない。

 と、いう事は自らだね。

 わざわざ、喜んで自分達の懐に入れちゃうとか間抜けだ。

 なら、あれも猫かぶってたのか……僕にすら気づかせないとか。


——冷や汗がでてきた。


 そう考えると、僕たちを捕らえた膜の説明も白いのだね。

 いやぁ一番のハズレが強者とはね、全て掌の上か。


「まいったね」


 でも、良い土産話ができたよ。

 今回は負けたけど次はどうだろうね。


 さて、行くか。


——屋敷の方を見つめる。

 この情報で怒られずに済むかな。


——空間が歪みだしてイヒトはどこかへ消えた。



「アメリア」

──────────


 師匠は騎士団が来ると言って、行ってしまった。

 追放された身なので仕方ないけど、寂しく感じる。

 あれだけ、国を助けた功労者なのに、しかも今回もこれだけの事を成した。


 それなのに、未だに追放者だ……もっとお父様に蹴りでも入れとけば良かった。


「あれ、騎士長。貴方が来たんですか?」


バンッ


「はっ、我々が責任を持って連行します」


 うるさい、子供達が怯えてる。

 臨機応変って知らないの? ……知らないか。

 て、げっ……なんでハインツもいるの?


「やぁ、姫さん。また大手柄だね」


 これはこれで、話し方がムカつくわね。

 何で、軽く上からくるの?

 ……無視。


「騎士長、どの位掛かりますか?」


ドン!


「はっ! 運び出すだけならすぐであります!」


 叩き方の強弱って意味あるの?

 運び出すだけならか、屋敷を調べるのね。


「なら、二班に別れて、とにかく早く捕虜は移動させて」


 何か、あったら子供達が危ない。

 危険物は遠ざける。


「心得ています。もう既にその流れです」


 まぁ、そりゃそうだ。

 その辺の速さは騎士長は流石だ。


「任せます……」

「た、大変です!」

 

 物凄い被せる勢いに後半言えなかった。

 て、何かあったの?


「子供達がいる、不安がらせるな」


 騎士長が大人だ!

 でも、貴方はさっき怯えさせてた張本人。


「はっ!すいません、お時間よろしければ、少し着いて来て下さい」


 なんだろ……わたしも行こう。


「わたしも行きます」


 何故か表情が硬い、何があるの?


「姫様、止めても無駄なのは分かっているので、覚悟だけはして下さい」


 そりゃ、止められても行きますよ。

 でも言い方!貴方誰よ、どこまでわたしの噂が流れているの?


「ハインツ。ここはお前に任せるぞ」


 騎士長が、すっかり忘れてたハインツに仕事を任せた。まぁ副長だしね。


「おい、待ってくれよ!……なんだよ」


——私たちは、ハインツのボヤキを無視して目的の場所に向かった。


「ここです、覚悟が出来たらどうぞ」


 師匠たちが捕まっていた更に下に、また階段があり、その先に上の屋敷よりも凄い扉が現れた。


「何、これ? 開くの?」


 このまま押せば開くらしい……兵士の言葉に緊張する、騎士長は完全にわたし任せだ。

 さっき見直したのに、こんな時こそ自分から行けよ!

 

 ふぅ、わたしは一息ついて扉を開けた。

 

——力も入れずにすんなり開く。


 え……何これ?

 そこは見た事のないタイルが敷き詰められた青白い空間が広がっていた。

 部屋から冷たい空気が流れて来る。


 中に進んでいくと机の他にガラスで覆われた大きな入れ物が沢山ある事に気づく。


「中に何か……人?」


 十数個ある同じ入れ物全部に、人が入っていた。わたしは、非現実的な物に驚けなかった。


「これは、生きているのですか?」


 何故か命を感じる……どう見ても生きてるとは思えないのに。


「姫様、多分ここは魔道研究所です」


 魔道研究? 騎士長は何か知っているようだ。


「どういうこと?」

 

——騎士長は話してくれた。


 魔道具を作る場所を魔道研究所と言うらしい。

 実際は、専門的な魔具師が魔力を使い道具に移し作り出した物が魔道具。

 昔は凄まじい力を持った魔道具も作られていたが、最近は魔法使いの減少から少なくなっていた。


 ここからが、この研究所の話になる。

 魔法を使えない人間も魔力は持っている。

 

 騎士長が言うには、人から魔力を延々と抜き取り、

それを道具に移し続ける装置らしい。


 中の人は生きている。

 だが、もう生命体ではない。


 そこにあるのは、生命エネルギーが形を真似ているだけの殻で、外に出した瞬間、静かに崩れるのだという。


 何故そんなに詳しいか聞くと、一度ここより小規模の施設に踏み込んだらしく、あまりの出来事に忘れず覚えていたと。


 その時にもあった、人間の生命から魔道具を効率よく作り出す装置がこの入れ物だと。


 話の途中で見つけた資料には、この施設で生命を奪った人数と作った魔道具の情報が乗っていた。


(何とも胸糞悪い話しじゃな)

(そうね……)

(気づいておるか? 一人敵が潜んでおるぞ)


 そう、敵がいるのか。 

……この怒りを未だ息を潜めている関係者にぶつけよう。


(そこの奥の死角じゃ)


(ありがとう)

 わたしは、ティアの言葉に即座にそこに向かい、確認せずに人影の腹を蹴りつけた。


ドフッ

 怒りはあるが、師匠を見習います。

「ぐはっ」


「命は取らない、貴方は何?」


 ティアを敵に向け威圧する。


「ひぃ……わ、私はしがない研究者だ。

 何でも話す殺さないでくれ」


「姫様!斬ってはだめですよ!

 絶対斬ってはだめです!」


 な、騎士長……わたしを何だと。

 殺らないわよ、今回は師匠の為にも!

 目の前の怯えた男を見て、苛立ちを堪えた。


「あぁ!もういい、騎士長。後は任せます」


「はっ!」


 それにしても『梟の目』……師匠が動かなかったらどうなっていたのだろう。


 はぁ、後は上を片付けて師匠の所に戻りたい。

 やりきれない気持ちを師匠を思う事で和らげた。

 


【カイル】

──────────


 僕は騎士団が来た瞬間に馬車の中に逃げ出した。


 と、言えば聞こえは悪いだろうけど、全ては伝えてあるので問題ない。

 我ながら逃げる事にかけては命懸けさ。


 聞いた話をまとめると。

 馬車が十台、騎士団三十四名、捕虜七十ハ人。

 子供達十六人、内五人がエルフ。


 人が多すぎてこれは、無理でした。

 僕はこの為にあらかじめ少し離れた所に馬車を運んでおいた。そこに退避して待つ。


 完璧だ。


 ある程度、終わるとみんな馬車に戻って来た。


「師匠、終わりました!」

「お疲れなのじゃ」


「みんな連れて来たよー」

 「馬車乗って良いの?」


「疲れた」


——話を聞くと。


 騎士団が更に屋敷を捜索したら、地下のそのまた地下にまた部屋があり、その中では何百という命が実験で亡くなっていた。


 話の中で気づいたけど、僕の結界は命が無いと人とは認識しないらしい、研究室の話しでこの仮説は当たりだろう。


 中の研究者達はたまたまなのか、一人を残して全員上にいたという事だ。

 僕の結界に捕まった、その一人が地下を仕切っていた人物。


 結界が切れたのに逃げもせず、その後も普通に研究に戻っていたらしい、図太いのかなんなのか。


 地下がそのまま残っていた事で『梟の目』の組織がどんな組織なのかが明るみに出る事になった。

 これは、僕とは関係ない話だと思うので、あの王様に任せます。


 いつもと違うのはヒアがエルフの子供五人を連れて来た事だ。


——ヒアは子供に懐かれていたので、仕方なかったが、子供の一人がヒアの事を騎士団に話してしまった。


 慌てたが、アメリアが居たおかげで思いの外すんなり受け入れてもらい、子供達の先導をヒアに任された。

 そこからは人間の子供十一人とのお別れを済ませてエルフの子供五人は僕たちが責任を持つ事になり、今、まさに馬車に入ってくる所となる。


「あ、みんな足元気をつけてねー」

「はーい」


 ヒアが凄い。

 誰に対しても素だ、尊敬に値する。


 一気に賑やかになるが、僕が御者をそのまま続ける事になる。

 失敗は成功の元だ!


 と、意気込みだけでは、子供達が危ないので経験のあるアメリアに横に着いてもらい覚えながらエルフの国を目指す事になった。


「やっと、出発だね」


「はい! みんな、出発しますよー」


「はーい」

「はーい」


 微笑ましく感じる。

 それじゃ行きますか。


パシーン!


ガラガラガラ


 ここから三日の旅になる。

 予定は恐ろしくズレたが僕にとっては問題ない。

 

 まったり行こう。



【レイア】

──────────


「全然、見つからん!」


 探して、探して、探した。

 殆どが、仕事中だから帰れだった!


 すごく当たり前だけど、つまらん!

 みんな何にも考えずに与えられた事をこなす……今風どもが!


 新しい風を起こそうよ! 我の為に!

 などと言ったら「最上神様に言うよ」なんて、恐ろしい事を言われた。


 少し遠くに行ってみるかな。

 どうせ距離感関係ないしさ。


 はぁ、見つからなかったら諦めよ。


ヒュン


——


「やぁ、初めまして、我はレイア」


 ——この使徒の世界は、光に満ちていた。


 ロイの世界が暗黒なら、こいつの世界は光明。

 真逆のタイプか?


「レイア、よろしく。自分は田中」


 田中?これまた変わった名前だな。


「田中! 凄くいい名前だよ」


 褒めちぎろう。


「そう?……嘘だね。君、減点だ」


 へ?急に雰囲気が変わった……地雷?


「いや、嘘じゃないぞ? 個性的で良いじゃない」


「重ねなくていいよ。また減点」


 いやいや……何この田中くんは、帰ろう。


「気を悪くしてごめんね、帰るよ」


「あ、駄目だよ。君はもう零点だ、さよなら」


 田中が光だし周りが包まれる。


ピカーーーーーーン!


 光が無くなり元の何もない景色が見えて来た。


「何?なにもない……」


 突然の事に体を確認するが変化はない。


「田中! 何をした?」


 急に田中が不気味に映る。


「何もないと思うなら帰りなよ」


 は?言われなくても、もう良いよ。

 ヒュン——あれ?

 飛んだ——は?

 飛べ——……何故だ。


「おい! お前のせいか?」


 こんな事ができる『神の使徒』がいるのか。

 面白い。


「あ? 勝手に来て好き勝手言って最後には『お前』だと? 頭湧いてんの?」


 無茶苦茶言ってくる田中。


「帰れよ、自分は仕事が忙しいんだ。これ以上居座るなら……あぁ、流石に無理か」


 そう言う訳にはいかない。

 理不尽に力を奪われた、これを解かないと帰れないや。


「何、理不尽言ってんだ? 我もやられっぱなしは困るんで」


 さて、どう来るかな?


「あー、ウザい。レイアさ、話し聞いてた? 帰れよ」


 短気だねー田中くん。

 もう一度力を使ってくれないかな?


「被害者ヅラはやめなよ、君も十分加害者だよ」


 さぁ、この感じだと爆発するかな?


「減点だよ、レイア。零点」


ピカーーーーーーン


 さて、我の足について来れるかな?


シュン

 一瞬で後方に飛ぶ。

 田中の光の届かぬ先まで。


 面白い攻撃だけど、ネタが分かると避けやすい。なるほど、およそ五キロか。


「田中くん、まだやる?」


 田中の目の前に現れて聞いてみる。


「うざ、避けられたら終わりだよ」


 ふぅ、使徒同士は一筋縄では行かないね。


「なら、戻してよ」

 

「あぁ、分かったよ」


ピカーーーーーーン

 また、光る….まさか!


「あははは、騙された。バーカ」


 ……今度は何を奪われた?


「田中ってさ、友達いないでしょ?」


「あ、いらねーよ」


 はぁ、アホらしい。


「帰るね」


ヒュン


——


 結局、力が戻ってる。


 これで、田中の力も底がしれた。

 相手をとことん不快にしたいだけ、能力封印も時間制限あるな。


 それもかなり短い。

 最後の光はブラフだ。

 馬鹿にして能力が時間で戻るのを誤魔化した。


 事、初見の命懸けの戦闘以外はネタだね。

 初めは面白いと思ったけど期待はずれだ。

 

 分かってだけど、使徒にも色んな奴がいるな。

 今までにない個性だったが、アレは使えない。


 田中も他と同じで『仕事中だから帰れ』だったしなぁ。

 我が異質?


 いい加減、自分で色々やった方がストレスなさそう。


 それとも、カイルを見ながら色々やろうかな?


「それがいい」



——レイアの使徒巡りは幕を閉じた。




田中はもう出ないと思う。


面白かったら評価よろしくお願いします(´ー`)

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