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元社畜神様はコミュ症すぎて異世界でも逃げ出したい  作者: 片白
3章 ギルド編

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3-15 エピローグ


 

【カイル】

──────────


 行きたくはない。

 あそこにだけは行きたくない。

 だが、明日にはこの街とお別れだ。

 依頼の結果を伝えに行くのは今日しかない。


 あの鍛冶屋に!


 だが、僕は一つの情報を手に入れた。

 決定的と言ってもいい。

 あのビルゴさん。

 人間でもエルフでも魔物でもましてや神でもなかったビルゴさんの正体。


 それは、ついさっきの事——


「鍛冶屋に行きましょう」


 アメリアが言う。


「どこの?」


 エルが反応した。


「ビルゴさんの所です!」


「いや」


「なぜですか?」


「ドワーフ」


 はい!ここです。

 『ドワーフ』気づきませんでした。

 耳ほど特徴ないし。

 小さいおっさんじゃん。


 種族違う、気づかないよ。

 この世界にどのくらいの種族がいるのか聞いてみた。『人間』『エルフ』『妖精』『ドワーフ』『獣人』『竜人』『魔人』いや、多い。

 全部人型らしい。

 僕は妖精族の国しか無理かもしれない。

 

 ただ、ここで知れたのはありがたい。

 フィルターを何にかけるかが分かれば答えは簡単だ。

 ドワーフ敗れたり。


 勝負だ!ビルゴ!

 僕とアメリアとティアとヒアとなぜかエルも来た。……全員で来た。


ガチャ


ギィィー


「はい!今日はこないだの依頼を終えたので」


「くさい」


 エルは中々酷いね。

 多分ビルゴさんが話しているんだろう。

 見えないし、聞こえない。

 勝った!


「あの、師匠。ビルゴさんが呼んでいます」


 な、何だと……呼んで? 見えてる。


 忘れてた。前も認識阻害を突破して来ていた。

 魔術か、妖術か……恐ろしいおっさんだ。


 僕は仕方なくボイドを解いた。


「何じゃい、白いのさっきから無視しやがって」


 聞こえないんだからしょうがないじゃん。


「す、すいません、疲れていて」


 貴方の所為ですとは、言えない。


「ガハハ、それなら仕方ねぇ。頼んだワシも悪かったしな。」

 

バンバン


 ぐはっ、死ぬ。

 許して……来るんじゃなかった。

 だけど、認識阻害の謎を解き明かさないと僕はもう安心して外に出れない。


 こうなったら僕の残りの片目が潰れてでも、おっさんを見てやる!


 解析……辛い……なっ!

 僕はもうなす術がなかった。


 文字通り”なにも”見えなかった。

 こんな所に最強が居るとは。


「この剣です」


 どうしたら、いいのか。


「まじか?これが、あの呪いの剣だとはなぁ」


ツンツン


「師匠が解いてくれました!」


ツンツン

 何?……エル?どうした、今は僕の人生が。


「魔道具」


 へ?魔道具?

 ひそひそ話を始める。


「そんなものがあるの?」


「うん」


「魔法が効かないのとかあるの?」


「うん」


「ドワーフ?」


グー!


 この際、エルが何故、僕の問題に気づいたかはどうでもいい。


……謎は全て解けた。

 犯人は『魔道具』だ!


 ありがとう、エル。

 この世にそんな恐ろしい効果のある物があるなんて。

 壊したい、全ての魔道具を。


 これで、認識阻害が効果がなくボイドは効果があったかの説明がついた。

 認識阻害は他者

 ボイドは自身

 問題は片付かないが、わかって良かった。


 はぁ、長い戦いだった。

 その時、目の端に一つのネックレスが見えた。


(アルテルに似合いそうだなぁ)


 そうだ、お世話や迷惑ばかりかけて、なんのお礼もしてなかった。

 僕は薄情だね、明日には旅立つのに。

 この鍛冶屋にはいい思いはないが、少し感謝しよう。


 さすがに買うのまでアメリアとかに頼むのはなぁ……頑張ろう。


「あの……これください」


「んあ?おお!それは中々いいもんだぞ。命を一度だけ守ってくれる」


 え?これ魔道具?


「ま、魔道具?」


 僕の問いに普通に答えてくる。


「知らんのかい?その通り魔道具じゃい。ちと高いぞ?」


 値段はいくらでもいいです。ただ、アルテルにはピッタリかも知れない。


「くだ……さい」


 ニカッてした——怖っ!


「おう!綺麗に包んでやるぜ」


 旅立つ前にお礼が出来て、良かった。


ツンツン

 エル?


「なに?」


「これ」


 なんだろ、指輪?


「お礼」


 あぁ、さっきの魔道具の話のか。

 仕方ない。


「分かったよ」


ブイ


(ずるいずるいずるい)


 がー、ヒア念話で同じ言葉、連呼すんな!

 もう、分かったよ。

 

 今回はみんな頑張ったから。

 糸を全員に繋ぐ。


(みんな、欲しいものあったら買ってあげる)


(いいんですか!)


(やったー!)


(妾もか?)

 剣だろお前は、買ってどうすんだ!

(もう一個?)

 欲をかくエルフですね。


(一人一個までです)


 早く選んで……ここから早く出たい。

 この後、次の日まで僕は引きこもった。



【国王】

──────────


 今日も一日が終わる。


 とうとう、明日には旅立つのか。

 仕方がないが名残惜しいものだ。


 しかし、最後の最後までこの国の為に働いてくれるとはな。

 カイル殿が居なければ……いや、もう頼る事はできん。

 これからは本当に我々だけで問題と向き合っていかないとな。


 だが、今回の事でギルドの冒険者の力も分かった。

 上手く我が騎士団と連携を取れるようになれば、今後の脅威とも立ち向かえる。こちらにとっては全てがプラスだ。


 エルフの国か、アメリアには国を……いや、これはまた一つの賭けか。


 自由にやらせるのが良いのかもしれん。


 どの道、上手く行く事がない問題だ。


 この歳になって先が見えん事がこんなに楽しく感じるとはな。


 さらばだ、カイル殿。

 娘をよろしく頼む。



【カイル】

──────────


 旅立ちの日だ。

 長かった様で短くもないかな?


 次はエルフの国。

 エルの案内があればすんなり行けるらしいけど、どのくらい掛かるんだろう。


 既に僕たちは街道に出ている。

 椅子のあるここで待っていれば馬車が来るらしい。

 そんな事あるのか。


「みなさーん!」


 誰だろう。ってアルテル……と、アン。


「やぁ、見送りかな?」


「はい、あわよくば一緒に行ければと」


 何を言ってるのだろう。

 僕は別にいいけど。


「無理です」


 アン、いつ会っても苦手だ。


「姉様。諦めてください!」


 アメリア……諦めてって。

 昨日何かあったのかな?


「おひさ」


「これは、エルトゥア様。お久しぶりです」


「お久しぶりです」


 アルテルとアンが挨拶する。

 二人とも知り合いなのか。

 アンの笑顔は何なんだろ……さっきからチラチラこっち見てるけど僕、関係ないよね。


 怖いので目線をずらすとアルテルがネックレスを付けてくれていた。


「あ、付けてくれたんだね。

 気に入ってもらえたなら嬉しいよ」


 花が咲いた様に喜ぶアルテル。

 そんなにか!あまり贈り物とか貰わないのかな?


「はい!カイル様から頂いたネックレス。一生大切にします」


 重くない?気持ちは嬉しいけど、そこまでじゃなくても。


「姉様……」


 ほら、アメリアも引いてる。


「おも」


 エル……ド直球。

 アンから殺気が。

 ほらー……もうやだよ。


 受けてるエルは気にしてないし、僕だけ辛いよ。

 そんな中でも言われた張本人のアルテルは堂々としていた。


ガラガラガラ


「名残惜しいですが、馬車が来た様ですね」


 アルテルが頭を下げながら続ける。


「本当にこの国をありがとうございました。父も同じ気持ちです。また必ずここに戻って来てください。道中の無事を祈っております」


 馬車が着いた、色々あったけど楽しかったよ。

 色々回ったらまた戻ってこよう。


「うん、必ず帰ってくるよ。それじゃまたね」


「姉様!行ってきます」


「また」


 僕たち馬車に乗る。



パシンッ


ガラガラ


ガラガラ


 アルテル達が見えなくなるまで手を振り続けた。


 最後の懸念も無くなったよ。

 僕は、馬車の椅子に座りながら思う。

 僕たちしか居なかった!


 最悪走っても良いとさえ思ってた。


「どのくらい掛かるんですか?」


「五日」


 え?五日乗り続けるの?

 誰も来ない?五日もあるけど。


「あの、これって途中、誰か乗ってこないよね」


 顔を見合わせる二人。


「うん」


 エルが答えてくれた。

 あぁ、良かった。


 さて、景色を楽しみながらのんびり行こう。

 やっと、この世界を見て回れるよ。


 エルフの国……妖精族も居るらしいけど。

 一番あの中で僕でも行けそうな国を最初に行ったらもう住むかもしれない。


 永住かな。


(お腹すいたよー)


 あぁ、ごめん。なかなか出て来れないよね。

 仕方ない、認識阻害を掛けるか。


コロコロ


(わーい、ガブ)


 念話でも同じだ。

 ここでも御者さんがいるからなぁ。

 何があるか分からないからね。


(妾もおるぞ)


(知ってる。仕方ないよ。人が居るところでは)


(うん)


 僕は何だかんだこの世界に馴染めて来たのかな?馬車から外を眺める。


 空が綺麗だ。


 移動する外を眺めて今までを振り返る。

 ティアが仲間になった事で管理者がロイじゃない事がわかった。

 この世界の管理者ビブリナはどうしたんだろう。

 この五日で色々聞いてみようかな。


 先は長い。

 ゆっくり行こう。


 

ガラガラガラ




3章完結です。


面白かったら評価よろしくお願いします(´ー`)

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