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元社畜神様はコミュ症すぎて異世界でも逃げ出したい  作者: 片白
1章 逃げた先でも逃げたい
3/10

1-2 囚われの身、常識が分からない



 最悪な状況だ。


 意識はとっくに戻っていたが、目は開けたくない。

 人の気配がするからだ。


「ガハハハ。カリン、よくやった。」


 多分厳ついおっさんの声だ。

 声だけならまだどうにか耐えられそうだ。


「別に、しかしこの子。

……何にも持ってないのね。」


 さっきの女性の声だ。


 この状況、僕でもわかる。

……騙されてたのか。


 元々助ける気は無かったけど、結果的に襲われてた人が居なくて良かった。


「ガハハハ。

何も持ってなくてもかまやしねぇ、身一つあれば売れる。コイツは良い金になるぞ。

見た目は悪くねぇ」


……褒められた。


 上では、どんなに頑張っても褒められる事なんて無かった。

 なんか悲しいけど、久しぶりに褒められて少し嬉しく感じた。


「ガハハハ。

コイツはすぐに売る。おめぇら!

久しぶりに豪快に飲み食いできるぞ!」


……うるさいな。

 さすがに毎回の笑い声にうんざりしてくる。


「ねぇ、ボスこの子、起きてるわよ」


……バレてた。

 どうしよう、何でバレたんだ?


「うげっ……コイツ漏らしてやがる。」


 漏らしてるって何だ?

 そういえば、さっきから下半身が濡れてる様な感覚があるが。


バコッ


 急に体に衝撃が走る。

 何かが当たったようだ。


「おい、勝手に人の城で漏らしやがって。

どうすんだボケッ」


 人の気配が近過ぎて震えが止まらない。

 なぜか僕にめちゃくちゃ怒ってる。


「ちっ、コイツ震えてるな、怯え過ぎておかしくなったからか。」


 そう言って離れていくので少し楽になる。


 でも、なんだろ、これってあれだよね?

……僕、漏らせるんだ。

 すっかり忘れてた感覚に内心喜ぶ。


「ねぇ、臭いからあっちの牢に放ってよ」


……確かに匂いも感じる。

 でも、この匂い僕の匂いじゃないぞ?周りから変な匂いがする。

 僕は臭く無いぞ!って言いたいが怖くて何も言えない。


「おい!誰か!コイツを連れてけ。」


ドゴッ


 また衝撃が走る。

 二発目だ。

 コレは殴られてるね。


 目の前に人が居るから恐怖で震えがまた出てきた。


 突然、誰かに両肩を持たれた。

 触れられた瞬間、嫌悪感が増大する。

 もがきたいけどやっぱり体に力が入らなくなる。


 うぅ……目をつぶってても辛すぎる。

 (無理だよ、怖いよ、しんどいよ。)


「コイツ、何か呟いていやがる」


「ハハ、捕まった奴らは毎回こうだろ。」


「違いねぇ、それにしても漏らすとはな」


「あぁ、さすがにこれは初めてだ。」


「うるせぇぞ。早く運べ!」


「へーい」


 本当に無駄話とかいいから早くここから運んで。


ズズー、ズズー。


……引きずられてる感覚がある。


 もうなすがままになるしかなかった。

 結果的に左右の二人だけになったので、さっきの場所よりはマシになった。


 臭い匂いが両隣から漂う。

 僕じゃなくこの人達が臭いんじゃん。

 漏らしたのは事実だし仕方ないけど、そんなに匂いを気にするなら清潔にしなよ。


——


 僕はどこに連れて行かれるんだろう。


……人がいない所がいいなぁ。



ガチャ、キィィィ


 鍵を開けて扉が開く音だ。


ドサッ


 僕の投げられた音だ。


キィィィ、ガチャン。


ガチャ


……これは、閉じ込められたね。


「ほんと汚ねぇなぁ、ボスも姉さんも人使い荒いぜ。」

「すぐに金になるんだ、我慢しろ。」


 酷いこと言って離れていった。


 外の気配を探る。

……どうやら一人になれたみたいだ。


 やっと目を開けられるよ。


「ここは?」


 ……辺りを見回す。

 洞窟?洞穴?土を掘った様な場所だ。


 結構な人数が入りそうな牢屋に僕一人。

 

「あぁ、良かった。」


 ……ゆっくり地面に腰を下ろす。

 さっきまでは地獄だったけど、やっぱり一人になると落ち着くなぁ。


 実際、僕は……そんなに荒っぽい性格じゃなかったんだなぁ。


 胸の鼓動がおさまっていく。


 仕事だとあんなに羽虫に当たったり最上神様にまで歯向かったのに。

 この世界じゃ、人に怯えて何もできない。


 はぁ……せっかく自由を手に入れた矢先にこれだもんなぁ。


 ここは荒んだ世界なのか?

 僕自身こんなに人と関われないとは思わなかった所にコレだもんなぁ、苦手を通り越して人嫌いになりそう……違うストレスが。


「……あ、あのぉ。」


 後ろから急に女性の声がした。


「ひぃ」


 ……人がいたよ。


 気配無かったぞ!

 隠密か?隠密の方なのか?

 振り向きもせず、声とは逆の壁際にくっつく。


……ひんやりした。


「貴方も、捕まったんですか?」


 女性の声が当たり前の事を聞いて来た。

 そりゃここに入ってるんだから捕まってるんだろうね。


 他に何があるんだろ……もしかしてコイツも僕を騙してる?

 でも、わざわざ牢屋に入って僕を騙す意味がわからないな。


「私、エルと言います。貴方は?」


 自問自答を繰り返してる僕に痺れを切らしたのか自己紹介して来たよ。


何で?


 ついさっき騙された……とも言えないけど。

 少し疑心暗鬼になっている僕は、薄目を開けて目の前の人を見ると腰の下まである金色の髪と青い瞳の女性だった。


 相手をよく見ないといけないのが欠点なんだけど、身体チェックの応用で見えた名前に『アルテル』と出ている……偽名だ。


……はぁ、この世界まともな人居ないのかも。


 嫌な状況が重なり過ぎて少しイライラしてしまい人が苦手なのも忘れてしまった。


「……ねぇ、君、王女アルテルでしょ。

何で嘘つくの?」


 そう、彼女は王女だった。


 ビクッとした王女は今までの雰囲気を捨て去って話しかけて来た。


「くっ、貴方もまさか盗賊団の仲間ですか!」


 この子は何を言ってるんだ?逆じゃないのか?        

 この子がその盗賊団の一員じゃ。


「君は面白い事言うね!君が盗賊団で僕を騙してるんでしょ?」


 ポカンとしている王女。

 僕はおかしな事を言ったのかな?なんか王女震え出したけど。


「な、な、なぜです!なぜ王女の私が盗賊団なんかに!ふざけないでください。」


 怒ってる。

……何で?王女は盗賊団やらないの?偏見?


「うるせぇ!」


 急な声にビクッとなる。

 ここから見えない位置に見張りがいたのか。


 なんで怒られるんだ、理不尽だよ。



少しでも楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価ポイントで応援いただけますと幸いです!

次回もよろしくお願いいたします。

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