1-15 エピローグ
【カイル】
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「さあ。どこに行こうか?」
「わたしは、この国から出た事がないので。」
確かに、僕と同じコミュ症だもんね。
分かる! しかもこないだまで病気だったしなぁ。
あまり無理させたくないけど、この国にはいられないし。
……ん?
「ねぇ、アメリア。ちょっと聞いていい?」
僕はアメリアを選んだ。
結局は子供だから安心できるし。
大人はいくら慣れても怖いんだよ。
だから、せっかく仲良くなれたかもだけど、ごめんねアルテル。
……僕だけがそう思ってるだけの可能性もあるけどさ。
「は、はひぃ」
ふっ、さすがだ!
僕にもそれを発揮するなんて、レベルが高い。
「急にごめんね。
王様がこの城から追放って言ってたけど、もしかしてこの国にはいてもいいの?」
僕は、こういう姑息な裏を読むのは好きだ。
何とかして逃げたいという気持ちが、僕を形作ったのだろう。
「確かにおかしいです。
いつものお父様なら、そんな言い方は確かにしない。
はっきりと、この国、と言うと思います。」
もう僕に慣れたのかな?
スラスラと凄いな。
アメリアの言葉が正しいなら、裏を読んだつもりが王様のお墨付きになるね。
【アルテル】
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「行ってしまったな。」
「そうですね。」
カイル様は、私を選んではくれなかった。
きっとこの国を思っての事だ。
「泣かないのか?」
お父様も理解している。
私は、これからこの国を担う存在にならなければならない。
……泣くなら、今しかないと言っているんだ。
「泣きません。次に会う時まで、取っておきます。」
私は精一杯、強がった。
カイル様、私は負けませんよ。
次に会った時を、楽しみにしていてください。
……妹を、よろしくお願いします。
【国王】
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強くなったな。
アルテルを見て思う。
……これも、カイル殿のおかげか。
アルテルは頭は良いが、そのせいか決断力は弱かった。
必ず他者を考慮に入れ過ぎて、そこが柔軟性に欠けていたからだ。
それは良さでもあるが、そればかりになると、上に立つ者としては致命的だ。
だが、今回の事を全て飲み込み、力に変えようとしている。
私は、それが嬉しかった。
……父としては、アルテルを連れて行くと思って覚悟はしていたのだがな。
見た感じ、カイル殿も満更ではなかったと思ったのにな。
アルテルを見て思う。
今後この国には、欠かせない存在になってもらわねばならぬ。
今のこの子を見て、それは更に強くなった。
窓の外に視線を向ける。
外の世界に旅立った二人を思う。
あわよくば、アメリアを育てて欲しいと、親心から考えてしまった。
「見透かされたな。私もまだまだだ。」
「お父様、どうかしましたか?」
「いや、何でもない。」
声に出てしまったか。
耳のいい奴め。
私が出来ることは、もうすでにないが、きっとカイル殿なら必ずこの国に留まってくれる筈だ。
こればかりは、希望的観測でしかない。
……駄目なら、国が滅ぶだけだ。
いや、私は王だ。
それまでに出来る事は、しなければならぬ。
「………忙しくなるな。」
賽は投げた。
この先どうなるかは、神のみぞ知る、か。
【カイル】
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食えない人だな。
これからは僕一人じゃない。
半強制的にだけど、選んだ以上一緒に行かなきゃね。
それに、僕はこの国に来て、ほぼ何も知らない。
アメリアはこの国の人だ。
似た性格だけど、その差は大きい。
十分、頼らせてもらおう。
「アメリア。どうするべきだと思う?」
「ひゃい」
あれ……まただ。
名前呼ぶと発動するのは、変わってるな。
「ま、先ずはギルドに行くのはどうですか?
あそこなら、わたしも行った事があるので…………………多分、大丈夫、です。」
間がすごいよ。
一瞬、病気の再発かと思って焦ったよ。
「なるほど。でも、何でギルドがいいの?」
「まず、私達の当面の目標は資金を稼ぐ事です。
ギルド登録さえしていれば、魔物などを狩り、それを換金すれば、比較的楽に稼げると思います。」
魔物を売るとお金が稼げる?
……よく分からないけど、任せよう。
「わかった。それで行こう!」
新たな旅立ちかな?
二度目の城下に、今度はアメリアと歩き出す。
この世は、僕にとって恐ろしい場所だった。
でも今は、帰りたくないと少し思うようになったよ。
どうなるか分からないけど。
もう少し、頑張ってみようと思う。
「アメリア、これからよろしくね。」
「ひゃい」
「アメリアこれからよろしくね。」
「ひゃい」
一章完
結局カイルは城か森しかまだ知りません。
ここから二人の旅が本格的に始まるかどうかはカイル次第です。
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