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元社畜神様はコミュ症すぎて異世界でも逃げ出したい  作者: 片白
1章 逃げた先でも逃げたい

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1-12 王様の危機



【カイル】

──────────


 僕は布団に引き篭もった。


 朝からまた王様が来たからだ。

 布団を被り、誰にも会いたくないと、無言で抵抗する。


 周りから声が聞こえてくる。


「一言、礼を言いたかったのだがな」


「すみません。私にはどうする事も……」


「お父様自ら、何度も足を運ぶのは控えてください」


「しかしだな。娘二人の恩人なのだぞ?」


 この人達はなんなの?

 人の寝ている所に集まって、何がしたいんだ。

 本当に限界だ。


 もう無理、限界……飛びます。


——


 はぁー!


 楽! もう、これでよかったんだ。

 王女とは仲良くなれたから、少し寂しさもあるけど。

 あの状況は無理だよ。


 お礼も十分もらったと思うし、きっと分かってくれるよね。

 本当に今までありがとう。


 ここは、最初にこの世界に来た時にいた森。

 他に知ってる所がなかったから、しょうがないけど。


 僕、森と城しか知らなかったよ。


 さて、今日は一日森で寛いで、明日からどこ行こうかな?

 実際、人が嫌すぎて、この世界が何なのかも分からないし。


 今後は、知る所から始めよう。


 んー。空が青いなぁ。


 上を向く僕に、横から声がした。


「みぃつけた」


 言葉と同時に、左に衝撃が走る。

 そのまま横に吹っ飛ばされた。


バリバリバリ


——ドゴーン!


 木々を薙ぎ倒しながら、どのくらい飛ばされたのか。

 硬い何かに激突して、僕は止まった。


「いててて」


 何が起きたの?

 ぶつかった壁から這い出て、衝撃があった顔を触る……血が出てる。

 そりゃ僕、今弱いし仕方ないけど、いきなりは酷いよね。


 いったい誰だろう。

 僕は見つかったらしい。知り合い?


「あぁ、やっぱりこの世界に来たら弱くなるね」


 上から声がしたので、上を向く。


「カイル、おひさ」


 まじですか。


 見た目は子供、中身も子供。

 白髪のツインテールに、僕と同じ白服。


 まさかの元同僚。


「な、何でこんな所にいるのさ」


「えー、会いに来たに決まってるじゃぁん」


 じゃぁんって。

 変わらないなぁ、神の塔で知っている唯一の知り合い。


 んー……嘘ついた。

 後、五人くらいいたかな?


「で、何さ。戦うの?」


 僕も聖人じゃない。

 殴られて、怒らないわけないだろ。


「あはは、それも良いかもねぇ」


 ゆっくり下がってくる。


「でもさ、挨拶しに来ただけだよぉ」


 なぜか、また上空に浮かび始める。

 羽虫並みに、うっとうしい。


「何で殴った。怒るよ?」


「ごめんねぇ。でも、いきなりいなくなったカイルが悪いんじゃぁんない?」


 じゃぁんない? 聞き取りづらい。

 まぁ、確かに僕も悪かったけど。


「もしかして、最上神様から言われて連れ戻しに?」


 どうしよう。

 正直、もう良いかな? とも思っているけど。


「ちがうよぉ。カイルはもう良いって」


 クルクル、上空を飛び回りながら喋ってるよ。


「あ、そうですか」


 捨てられた? ……自業自得か。


「じゃあ、何しに?」


「ちょぉっと、お城に用があってね!」


 急に止まったと思ったら、すごいスピードで飛んでいった。


「バイバイ」


「おい、リディア! 待って」


 神の従者が、世界を壊していいの?


 そんなルールはないけど。

 これはやばい。

 あのままじゃ、すぐお城に着くよね。


 僕は寝室に飛べるけど、行きづらい。

 でも、迷っている暇はない……。


 顔に痛みが走る……傷は治しておこう。


 僕は飛んだ。



【リディア】

──────────


 むふふ、いい役目貰ったなぁ。

 私はリディア。

 カイルと同じ、神の従者です。


 紹介は急いでいるので、これくらいで。

 多分カイルの奴、転移で飛ぶから、時間がないのですよ。


 さて、あれが問題のお城かな?

 王様は……あそこだね。

 数は、王様と数人か。まぁ大丈夫でしょ。


 見えれば飛べます。

 ビュンっと。


「な、何者だ!」


 お付きの騎士様かな?


「お初にお目にかかります。王様」


 一礼。

 最低限の礼儀だけ。


「私に敵意はありません。

 なんなら、そちらの兵士さんの剣で切ってくれてもいいですが」


 両手を上げる。


「よい。その風貌、あの者に連なる者か?」


 おー。王様すごい。見た目だけで。

 話が早くて助かるわぁ。


「流石の慧眼、お見事です。

 ここから私が話す事は、貴方と私の二人だけにして欲しいのですが」


 騎士が前に出る。

 当然だよねー。


「よせ! 分かった。皆、下がれ」


 さすがの威圧ね。

 兵士たちもゴネたけど、玉座の間から出ていった。


 さてさて、二人になれたし。


 目的を果たしますか。



【カイル】

──────────


 戻って来てしまった。


 僕の使っていたベッドに覆い被さって寝ている、

 王女を見ながら思う。


「何も言わずに出ていって、ごめんね」


 ポンと頭に触れる。

 瞬間、手を掴まれた。


 なんで!


 むくっと起き上がり、腫れた目をした王女がこちらを向く。


「捕まえました! もう逃しませんよ」


 泣かせちゃったよ。

 行動より、目元に驚いた。


「本当にごめんね」


 王女は頬っぺたを膨らませながら。


「名前」


「え?」


「悪いと思っているなら……名前、教えてください」


 あぁ、僕は今だに、名前も教えてなかったのか。


「カイル。僕の名前はカイルだよ」


 名前を聞いた王女は笑顔になり、喜んでいるのがわかる。

 名前を教えるだけで喜んでくれるなら、お安い御用だ。


………何か忘れて。


「ああ!」


 初めて僕の大声を聞いたのか、びっくりする王女。


「ごめん、それどころじゃないんだ! 王様が危ない」


「お父様が危ないとは、どういうことですか?」


 そりゃ驚くよね。

 僕の索敵には、王様とリディアが二人で居る状況が映っている。


 一刻の猶予もなさそうだ。


「王女は危ないから、ここで待ってて」


「私も行きます」


 ええー。

 この時間も、もったいないか。


「わかったよ。行こう」


 王女はうなづいて、僕の後に着いてくる。


 ヤバいなぁ。

 王様の部屋の前に、凄い人がいるよ。


……仕方ない。部屋に入るまでの我慢だ。

 目を瞑ろう。


「皆さん、通してください!」


「しかし姫、国王陛下が入るなと」


「カイル様が、お父様が危ないとおっしゃるのです」


 部屋の前に着いたら、沢山の人達に遮られた。


 僕は、こればっかりは力になれない。

 時間がないのに。


……そうだ。


「ごめん、王女さん。ちょっと手を取るね」


 え? って言ってたけど、時間が。


 僕は飛んだ。

 近くなら行けると思ったけど、成功してよかった。


「お父様!」


「ありゃ、来ちゃったかぁ。

 と、いうことで王様、あとはよろしくね」


 僕は目を開けて、目の前の元同僚に向かった。


「リディア、何しに来たんだ?」


 一際派手な椅子に、どしんっと座る王様は、

 僕達の方を見据えていた。


 怖っ。

 本物だ。


……生きてて、ほんとよかったよ。


 安心していたのも束の間、

 リディアはクルンと回り、僕に手を振る。


「もう、終わったから帰るね。

 カイルは、これからもゆっくりこの世界を楽しんでぇ」


 少しずつ浮き始める。


「待って、ちゃんと目的を!」


 両手でバイバイしながら。


「それじゃ、まったねぇん」


ヒュン


 リディアは消えた。

 意識を飛ばしても見当たらない。

 文字通り消えた。

 まったねぇん、て何だよ。


 僕達を見て、王女がぽかーんとしていた。

 これは……どうやって言い訳しよう。


 僕は、ただ逃げたかっただけなのに。


 だんだん、よく分からなくなってきてるよ。




帰還後

リディア「あー楽しかった。」

小妖精「リディア様!お仕事して下さい。」

リディア「……カイルの気持ちがわかるねー」


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