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元社畜神様はコミュ症すぎて異世界でも逃げ出したい  作者: 片白
1章 逃げた先でも逃げたい

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1-10 僕の初めての休日



【カイル】

──────────


 はぁ……。


 昨日はなかなか寝れなかった。


 アンのせいだ。

 目を閉じるたびに、あの笑顔が浮かんできて、恐怖でしかなかったよ。


 昨日の城下で僕の行動が問題になったのか今日は一日、寝ててもいいらしい。

 部屋の外はドタバタしていたが今は静かで、平和そのものだ。


 部屋に誰もいない、食事もここに来る。

 

……無敵か?


 久しぶりの一人に僕は逃げる事も忘れて、休日を全力で寛いだ。



【アン】

──────────


「アン、入って」


 姫様の声に従い、部屋に入る。


「失礼します」


 朝日が入り姫様がいつにも増して輝いて見えた。


……ただ。


 いつも笑顔の姫様は今日はやけに真剣だ。

 自ずと私も気合いが入る。


「城下の件を」


 声に力がある。

 さすが王族です。


 私は姫様の成長に打ち震え。

 緊張を持って報告した。


「はい、今回の事で、奴隷売買の元締めの所まで届きそうです。かなり重要な人物の確保に成功しました」


 報告を終えると、姫様の眉が少し動く。

……何か説明が足らなかった?


「違います」


 唇を噛む。


「……彼の事です」


 張り詰めた糸が切れ、心で転けた。


「は、はい。かの方は現在、とても健やかにお休み中です」


「ちがいます!昨日の城下での彼の事をおしえて!」


 なぜだか姫様が可愛く感じる。

 緊張感はもうなかった。

 いつもの姫様に戻ったようだ。


 仕方なく覚えている限りの事を姫様に伝えた。

 それを聞く姫様は、驚いたり、頬を染めたり忙しかった。


パチンッ

 手を叩く姫様。


「素晴らしいです。

きっと彼は、黒もみあげ盗賊団の存在を覚えていて、私が奴隷売買を追っている事にも気づいたのでしょう」


……そんな事があるのだろうか。


 国がどれほど追っても影も掴めなかった相手をほんの数日で。


「そして、危険だと思い私が城を離れている間に城下に出てあっという間に解決。……彼は英雄と呼ぶに相応しい方です」


 それだと、私は危険ではないのだろうか。

 実際、訓練を受けているのでその辺の者には負けはしませんが。


……彼は、それすら分かっていた?


 彼の事を話す姫様は、笑顔が絶えなかった。


「褒美を考えなければいけませんね。そうだ、お父様はなんと?」


 私は王直属ではない為セバスを介してやり取りをしている。


「セバスの話によると国王陛下も同じ考えだと」


「まぁまぁ……それは良い事です」


 立ち上がり、手を合わせて喜ぶ姫様。


 ……可愛らしい方だ。



【国王】

──────────


 良い忙しさだ。


 我が娘の恩人…あの者が来てからまだ数日。

 それにも関わらず、素晴らしい成果が舞い込んだ。


 最初は、なぜ急に城下へ出たのか不思議だった。

 だが、セバスの報告を聞いて納得した。


 奴隷商にまで手を伸ばすとは。


 我々の慢心があったのだろう。

 奴らは、まさかここまで早く露見するとは思っていなかったに違いない。


 あの者の働きで、捉えた六人の内一人が、重要な証拠を持っていた。

 そこから直ぐに抑えていた最重要人物に辿り着き捉える事が出来た。


 これほどの早期解決は、私が王になってからでも数えるほどだ。

 今後ミスさえ無ければ見つけた奴隷場が一つ消せるな、上手くいけばそこから更に手を伸ばせる。


……後は貴族連中の反発か。

 そこから先は、我々の仕事だ。


「どんな褒美をあの者は望むのだろうな」


 ……楽しみが一つ増えたな。


「セバス」


「ハッ」


 支えていたセバスが前に出る。


「アメリアは?」


「……寝室かと」


 姉が助かったというのに、まだ部屋から出てこないか。


 この国の第二王女として生まれながら、いつからか全てを恐れて部屋から出なくなった。


 何度も促したが逆効果だった。

 私ではと諦めていたが、もしかするかもしれん。


……引き合わせてみるか。


 今一度、力を貸してくれ。

(……これは王としての命令ではない。一人の父としての、身勝手な願いだ)



【カイル】

──────────


「ふわぁ」


 大きな欠伸をする。

 誰もいないからこそ思いっきりできるね。


 今日は一つだけ迷惑をかけた出来事がありました。


 「お風呂はいかがですか?」と聞かれたので、お風呂を経験してみた。

 僕の管理していた世界にもあったお湯に浸かり身体を清潔に保つ場所。

 僕には必要はないけど、一度は入ってみたかった。


 いざ、入ろうと思ったら目の前に人が居て思わず悲鳴を上げたら、申し訳なさそうに去って行った。


 僕、悪くないよね?


 その後、懐かしさと気持ちよさに顔まで沈んでいたら誰が来たのが見えたので、目を閉じてボイドしたらいつの間にか布団に寝かされていた。


 その後もなぜか心配したアルテルが、部屋に飛び込んで来たり騒がしくなった。

 けど、なんだかんだ最後は結局アンだった。


 結果的に、なんだか色々とご迷惑をおかけしてごめん、申し訳なかった。


 もうお城のお風呂は遠慮します。


 ただ、その他は素晴らしかった。

 本当にいいの?ってくらい何もしなかった。


 ……何もしないって素晴らしい。


 このくらいなら毎日居てもいいくらいだ。


 明日はどんな日になるかな。


 さて、寝よ。




休日は何もしない。


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