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トノさん、マジでちょっとウザいんですけど[うっせぇッ、お前ら言葉遣いくらいちゃんとしろ!]  作者: 伊藤宏


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17.関門

 ドアを開けると、そこは、銀行のATM店舗を思わせる小部屋だった。炎天下を歩き回ったせいか、エアコンの乾いた冷風が心地よい。


 部屋の正面にコンピューター端末のようなものが三台並んでいた。傍らには、屈強そうな警備員が立っている。

 端末の奥の壁は、上半分が透明になっていて、向こう側にある、小さな事務所が見えていた。事務所の壁には、ぎっしりと並んだ監視カメラのモニター……。その正面で、ふたりの警備員が画面を監視していた。


 どうしていいか分からなかったので、外﨑(とのさき)は、立っている警備員に訊ねた。

「生徒会長の若水さんに面会にまいりました。シアワセファクトリーの外﨑と伊澤です」

 警備員は表情を崩さないまま、

「セキュリティーパスを使って、受付をお済ませください」

 と答え、コンピューター端末に目をやった。


「セキュリティー?」と誠太郎が小さく呟いた。


「おい、アレだ。小清水君がメールで送ってくれた、アレだろ」

 アレ、とはQRコードのことだ。


 受付機の読み取り窓にスマホのQRコードを読み取らせ、事前に設定したパスワードの入力とアポイントの確認が終わると、最後に顔写真を撮影された。


 無事、写真入りの入校証が出力されたところで、警備員が、輪っかのついたドライヤーのような装置を手に「失礼します」、と近付いてきた。何をされるのかと身構えていたら全身をサーチされた。金属探知機らしい。

 空港の保安検査さながらのチェックで、危険物を身に着けていないことが確認されると、警備員は

「入校証は、そちらのカードケースに入れて、退校されるまで、常に首から提げていてください。校舎や、特定の施設に入る際にはカードの読み取りとパスワード、顔認証が必要になります」

 と事務的に説明して、元の位置に戻っていった。



 感心しきりの誠太郎に「さすが、名門校は違うな」と囁いたが乗ってこなかった。外崎自身も、若干、雰囲気に飲まれぎみである。


 警備員に「どうぞ」と言われたものの、校内に抜けるドアの前は、依然として太いバーに阻まれている。

 振り返ったが、警備員はすでに警戒態勢に戻っていた。


「おい、そこに翳すんじゃないのか?」

 外﨑が指さした先の、透明な黒い小窓に気付いた誠太郎が、入校証にプリントされたQRコードを読み取らせ、続いてカメラに顔を近付けるとピッという音がしてバーが降りた。

 外﨑も誠太郎に続いて同じ操作を行い、最初の関門を突破した。

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