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ある男こと父親が変わってしまった日

父が変わってしまったのは、私が中学2年生の頃だった。

父は、その日までトラックの運転手をしていた。

そんなある日、父は便が出なくなった。


不思議に思った私たちは父を病院に連れて行った。

検査してもらい、病院の紹介状が渡された。


次の日、紹介状の病院を尋ね、すぐに検査をしてもらった。そして父に下された診断は、「大腸がん」だった。


大腸がんと診断されたあと、私たちは酷く落ち込んだ。医者から言われたのは、ストレスもあるが、お酒の飲み過ぎが原因だと言われていた。


確かに父は、お酒が大好きだ。

仕事から帰ってくれば、すぐにお酒を飲み、食事の時もお酒を飲む。そんな生活だった。


私も母もお酒に関してはよく注意をしていた。

だけど、父は「うるさい。俺のストレス発散やねん。」そう言っていつもまともに聞いてもらえなかった。原因の一つにお酒と聞いた時に「やっぱりな」と思った。


父は入院し、手術をした。

手術は無事成功。悪性ではなかったものの、再発もあることから定期検診には来てくれとのことだった。


父が変わってしまったのは退院したこのあとだった。



父は仕事を休職した。

医者から辞めるように言われたお酒は退院当日に飲み始めた。私も母も止めたのにも関わらず、父は、

「せっかく今日、退院したんやからええやろ。」

「今日ぐらいは飲ませてくれよ。」

と言い出した。

それでも、私と母が納得のいかない顔をしていると、急に機嫌が悪くなり、怒鳴りだす。怒鳴りだした父をどうすることもできない私たちは、今日だけという約束をしてお酒を買うことにした。


だが、そんな約束を守るわけがなかった。

毎日毎日お酒を買い、朝から晩までお酒に溺れ、働くこともなく、お酒がなくなると機嫌が悪くなって私たちに当たってくるようになった。


父は自分が気に入らないと悪く言う癖があり、私がアイドルを好きだといえば、「こいつら全員おんなじ顔やんけ」「こいつら全員、整形やろ」など人の容姿に対する否定。母が好きなバンドに対しては、「こいつら横文字ばっか使ってしょうもない。」「曲に中身もなければ面白くないし、ガチャガチャしてるだけでうるさい。」など全てにおいて否定する。


誰もが嫌だろう。自分の好きな推したちが否定されるなんて。だが、父はそれを平気でする男だ。


やめてと言えばいいと言われるかもしれない。

だけど、私たちは言えないんだ。


何故なら私たちは、父が怖いから。

言うことを聞かなければいつか殺されてしまうんじゃないかと恐怖を抱いている。そう思えば思うほど、何も言えなくなってしまうのだ。


そして時は過ぎ、私が中学三年になり、何ヶ月かたった頃、また日常が変わってしまった。

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