終.HAPPY END
その日は朝から雲一つない青空だった。
今日は私とアンヌマリーの婚約式だ。
「「おめでとうございます。殿下、アンヌマリー様」」
「あぁ、ありがとう」
「ありがとうございます、マーク様、ハンス様」
マーク達の祝辞をアンヌマリーと二人、笑顔で受ける。
「殿下、娘をよろしくお願いします」
「アンヌマリー、城に行ってもしっかりやりなさい。お前は王妃になるんだからな」
「わかってるわ、お父様」
「大丈夫だ公爵。アンヌマリーなら優しいし、きっと良い王妃になる」
公爵夫妻からも祝福を受けた。
一か月前は泣いて反対していた夫人も、今は笑顔で私達の門出を祝っている。
もうローズマリーの事など、思い出す者もいなかった。
(いい気味だ)
「…おめでとうございます、お二人共」
「ありがとう、エリック。貴方もこれからもよろしくね」
「ありがとう、これからはアンヌマリーをしっかり守ってくれ」
「………」
ローズマリーの護衛だったエリックも、祝ってくれた。
主を無くした彼は今後、アンヌマリーの護衛になる話が持ち上がっている。
腕がたつと聞いているから、頼もしい限りだ。
しかし私の言葉に返事をせず、そのまま無言で一礼すると立ち去った。
ちょっと気に障ったが、アンヌ曰く彼はいつもあんな調子だそうだ。
「エリックは常に無口、無表情なの。愛想のいい顔なんか、誰も見た事ないわ。それよりせっかくの婚約式なんだから、気にせず楽しみましょう」
アンヌマリーの笑顔を見て、機嫌を直す。
「そうだな、ありがとうアンヌマリー。これからも私と一緒に幸せになろう」
「えぇ」
良い雰囲気の私達を、周りの招待客が笑顔で見守ってくれた。
こうして『悪役令嬢』を退治した王子様は、愛するお姫様と結ばれて、周りから祝福されて、幸せに暮らしました…
…………
………
……
…本当に?