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3.最高のプレゼント

レオンハルトが自室に戻ると、側近のマークとハンスがやってきた。

レオンハルトは2人を招き入れると、すぐ人払いをした。

「お疲れ様です、殿下」

「陛下はなんて仰ってたんだ?」

二人が部屋に入るなり挨拶もそこそこに結果を尋ねると、レオンハルトは顔を覆って忍び笑いを漏らすが、それはすぐに高笑いに変わった。

「ククク…アハハハハハ、上々だよ!条件付きだが、その場でアンヌとの婚約を約束してくれた」

レオンハルトの言葉に、二人も破顔する。

「おめでとうございます、殿下」

「そうこなくっちゃ!やっぱり正義は勝つ!だな」

「あぁ、これも二人のおかげだ」




レオンハルトの誕生日当日の朝、王宮から少し離れた場所にある森の中の湖のほとりに、一人の令嬢が佇んでいた。

令嬢は時折周囲を見回しては、待ち人の姿がない事にため息をつく。

やがてカサリと落ち葉を踏む音がして、振り向くと呼び出した相手―――婚約者のレオンハルトがいた。

「おはようございます殿下」

「あぁ、おはよう……本当に一人で来たようだな」

レオンハルトは周囲を見回して、誰もいない事を確認する。

いつもなら彼女を見て不愉快そうに顔をしかめるのに、どこか上機嫌に返事を返す婚約者に内心疑問を感じながら、呼び出した理由を尋ねる。

「えぇ、いただいた手紙に1人で来るよう、書いてありましたので…殿下、恐れながらこのようなところに呼び出されて、何の御用かお伺いしてよろしいですか?本日は殿下の生誕祝いが開かれますし、その時にいくらでもお話しする時間は作れると思うのですが…」

「あぁ、実はパーティが開かれる前に、お前からぜひ貰いたい誕生日プレゼントがあってな…」

そう言って不気味な笑いを浮かべながら、サッと手を上げるとそれが合図であったらしく、木の陰から側近のマークとハンスが出てきた。

マークとハンスも薄ら笑いを浮かべながら、レオンハルトと一緒に、徐々にローズマリーに迫ってくる。

異様な雰囲気を感じ取ったローズマリーは、早く用件を済ませて立ち去ろうと、レオンハルトに尋ねた。

「な、何ですの!?貰いたいプレゼントって…」

「それは……お前の命だよ!!!!」

そう言ってレオンハルトは、ローズマリーを思いっきり湖に突き飛ばした。

彼女が泳げない事は、事前に知っていた。

この湖が深く、岸に近い場所でも足がつきにくいのも、この森に人があまり寄り付かないのも、マークの調査で知っていた。

ローズマリーは必死に水面に顔を出しながら、何とか岸にたどり着こうとするのを三人で邪魔をする。

「死ね!死ね!」

「この悪女め、天罰だ!」

「目障りです、早く死んで下さい」

「ぐっ、がはっ!違う、私…じゃな…」

三人がかりで、ローズマリーの顔や体を蹴りつける。

それでもローズマリーは、中々死ななかった。

弱りながらも、岸に向かっていった。

「チッ、しぶといな」

「殿下、これこれ。いいもの見つけてきた」

いつの間にか離れていたハンスがふらつきながら、ミニテーブルほどの大きさの石を抱えてやってきた。

「おっ、気が利くな」

「いいもの見つけてきましたね」

「だろう?」

三人でニヤリと笑って、石を構える。

対してローズマリーは、真っ青になった。

「「「悪役令嬢退治だ、せーの!」」」

「きゃあああああああああああ!!!!」

石はローズマリーのこめかみに命中し、ローズマリーはそのまま沈んでいった。


「やったな、大勝利だ!」

「正義は勝つ!だな」

「これで彼女を守る事ができましたね」

「あぁ、これでもうアンヌが虐められる事はないし、邪魔者が消えてアンヌと婚約できる」

三人で勝利の歓声を上げると、見つからない内にその場を離れた。



その日、夜になってもレオンハルトは上機嫌だった。

昼間マークとハンスと三人で内密に祝杯を挙げた時は笑顔だったが、他の人間がいるところでは悲しい顔を取り繕わなければならない。

就寝時間になってようやく一人きりになると、昼間の出来事を反芻して高らかに笑った。


「まったく、最高のプレゼントだったよ」






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