1.賽は投げられた
新連載です。
あるところに王子様とお姫様がいました。
お姫様は、意地の悪い姉に虐げられてました。
王子様は愛する人を守るため、『悪役令嬢』を退治する事にしました…
その日、王宮では王太子レオンハルトの、18歳の誕生日を祝うパーティが行われていた。
「王太子殿下、お誕生日おめでとうございます」
「あぁ、ようこそアンドレ伯爵。ありがとう、ぜひパーティを楽しんでいってくれ」
「しかし、ご婚約者のオルコット公爵令嬢の姿が見えませんな…。王太子殿下の祝いの日に、どちらに行かれているのか…」
アンドレ伯爵が周囲を見回すが、探し人の姿が見当たらず眉をしかめる。
そんな伯爵の様子に、王太子が困ったように笑いながら言う。
「僕も朝から見当たらなくて困ってるんだ…。もし見かけたら、僕のところに来るよう言ってくれないか」
「それはけしからんですな。王太子殿下を放置なさるとは、未来の王太子妃として問題が…」
伯爵がそこまで言った時、突然言葉が遮られた。
会場のドアが乱暴に開かれ、息せき切った兵士が大声で叫んだ。
「た、大変です!オルコット公爵令嬢が、森で遺体で発見されました!!!!」
「「「「!!!!」」」」
突然の悲報に、会場は騒然となった。
「ほ、本当なのですか…?本当にローズマリーが…」
人ごみをかき分けて震える声でオルコット公爵夫人が問うと、兵士も若干顔色を悪くしながらも、神妙な顔で頷いた。
「はい、間違いなくローズマリー嬢でした。お気の毒ですが…」
「あぁ…何てこと」
兵士がそう言った瞬間、公爵夫人がふらついた。
「マリーナ!」
「お母様!」
公爵と娘のアンヌマリーが、両側から支えてどうにか倒れなかった。
「あぁ…2人ともありがとう、大丈夫よ」
そこに王太子がかけつける。
「顔色が悪い…。その状態で遺体と対面は無理だろう。無理をせず今夜は泊っていくといい」
「ですが、ご迷惑を…」
「気にしなくていい。僕も婚約者の事だから、他人事じゃない。部屋を用意させるから、ゆっくり休んでくれ」
「お父様、お母様が心配です。お言葉に甘えましょう…」
娘の言葉に、妻を一瞥して公爵も頷く。
「わかりました、お世話になります」
「あぁ、使用人に案内させよう。僕も後から行く」
そう言って使用人に案内させると、会場にいる招待客達にパーティの中止と謝罪をすると、急ぎ足で国王夫妻の元へ向かった。
その口元に笑みを浮かべている事に、気づく者はいなかった。
なるべく間を開けないよう頑張ります。




