コレは改良の余地ありだな
ペラッペラ共から逃げてきた俺。
このままお家に帰ろうにも、家バレされたくないから駅ビルの路地に身を隠しているなう。
ってか、19時前って言う、帰宅ラッシュな筈なのに、人っ子一人、車もバスも自転車でさえも、一台たりとも見当たらない。
クッソ静かすぎまくる、ゴーストで、世紀末臭漂う、アレな感じの駅前。
「何んだ、コレ……」
何が起こってるんだコレ……?
パッと見、ビルや建物の中にも人が居ない。
電気が点いているのに人が誰一人として居ないとか、ホラーすぎて死ねる。
どんだけ大掛かりなフラッシュモブしてんだよ!?
内心、どうせドッキリなんだろ?とか、テッテレーって早く鳴らせよって、目に映るおかしな現実を茶化して考えてみたものの、
「アっレぇぇぇえええ!? おっかしぃなぁぁ〜!?」
怖すぎるから助けに来てもらう為に、桜田、雫、クリリンに電話をかけても、
『おかけになった番号は、現在、電波の届かない──』
「なんで繋がらないし……!? 電波全開ぞ!? スマホ、仕事しろし!?」
スマホが自分の仕事とアイデンティティーを放棄してる始末。
何故かどうして、誰とも連絡ができない。
ってか、ネットもSNSも沈黙。
「誰か…… 俺にウソだと言って…… 大成功の看板を持ってきて、早く、こんな俺を笑ってやってください……」
周りに人は居ないわ、助けは呼べないわで、
「俺、積んでね……? コレ?」
マジのマジで大ピンチ。
ってか、泣きそう。
頭の中でネガティブなイメージがドバドバ出まくって、
「うぇっプ……」
極度の緊張と恐怖とストレスで、
「オボボボボボ──!!」
気持ち悪すぎて軽く吐いた。
「グゾ~…… フン!! ブブ~!!」
手鼻で鼻水を吹き出しても、鼻に残る匂いと舌先に感じる酸味の効いた味。
ってか、
「なんでいつも俺だけ……」
毎度の意味の分からない理不尽に軽く怒りが湧いてきた。
そして、グチャグチャ絡み合った感情が天元突破して、
「だったら、マジで殺ってやる…… どうせ殺しても生き返るんだったら、遠慮なく殺ってやる……」
1周回って冷静になった。
って事で、
「ボッチのモブを──」
地面に向けて手を伸ばし、
「──舐めるなよ!」
周りのアスファルトの道路を、漆黒の魔力を侵食させて覆い尽くす。
ついでに、
「次はお前らが狩られる側だ」
できたてホヤホヤな漆黒のハンドガンを発現させて、
「フハハハㇵㇵㇵハハハ──!!」
最近ネットで観まくっていた記憶を元に、発現させているハンドガンに魔力を追加して、
「──イケんじゃん!」
即興でスナイパーライフルっポく魔改造。
そして、魔力で侵食された道路に腹ばいになって、上から魔力で身体を覆う様にして身を隠して、
「完っ璧っ!!」
漆黒の闇へと紛れてみる。
………………
…………
……
…
そして待つこと数分──
来た!
街灯とビルの明かりに照らされた、真っ白なペラッペラが現れた。
人が居ないのを良い事に、堂々と車道のド真ん中を歩いてやがる。
余裕かよ……
ってか、2体いる。
どうにかして俺の網から抜け出したのか、それとも新しいヤツなのか分からないけど、
俺!
ファイァァァアア!!
心の中の感情と指がリンクされて、相変わらずスっカスカなトリガーを思いっきり引いてやる。
ドヒュゥッッッ!!
長い銃口の先から出るソニックブーム。
そして、
『──!?』
少し遠くで1体のペラッペラが身体を撃ち抜かれて弾けて散った。
『え──!?』
いきなりな状況に狼狽えて思考が停止したのか、硬直して動きを止めたもう1体。
そんな美味しいチャンスとか、絶対に見逃さないのが俺ちゃん。
次っ!
ドヒュゥッッッ!!
連射可能なハンドガンを改造したのは伊達じゃない!!
ドヒュゥッッッ!!
最初の1発目でヘッドショットが決まり、間を置かずに続けて撃った2発目で胴体部分が千切れて弾けた。
目視できるペラッペラを片付けたから、次のポイントに移るます!
って言っても、近くの雑居ビルの階段を上がるだけ。
今度は上から狙撃する感じ。
ホレ。
さっさと次出てきやがれ。
どうせ、まだまだおかわりがわんさかいるんだろ?
FPSゲームで、スモーク弾と手榴弾とフライパンをメイン武器にして最後まで生き残る俺のスキルを見せてやる!!
そして、案の定って言うかなんて言うか、ワラワラと現れたペラッペラの群れ。
人の居ない街を沢山の白いペラッペラが闊歩している光景とか、マジで異常でアポカリプス。
ってか、俺一人にこのイカれた光景を作り出している異能者は、マジでブっ飛んでやがる。
昨日までの俺なら、漆黒の殻に閉じこもって何処かの隅っこで震えて助けを待っていたんだろうけど、
「コレって、トリガーハッピーってヤツ……?」
元が銀ダンとは言え、遠くから弾を撃ち出せる仕組みと仕掛けと構造を知ってしまった今の俺は、
「ヒャッハー!!」
雑居ビルの3階の渡り廊下から、外に向かって一斉射撃しまくり。
ってか、連続して出てくるソニックブームのせいで居場所がバレまくり。
だけどノンノン!
そんなの気にしな~い!!
なんでって?
だって、俺、
ドームの中に籠もってますんで~~!!www
ホント、マジ最高!!www
てか、無敵!!www
この前のドームには外を確認する術がなかったけど、今、俺が籠もっているドームは、
網戸みたいな極小メッシュ仕様なんですよ!www
ソレに銃口を出せる小さな穴を空けて、外に向かって撃ちまくり。
見た目はヒックリ返ったゴミバケツ?みたいだけど、俺一人用だから全然おk!!
メッシュ仕様だから外の状況も把握できるし、ドームを手で持ち上げれば移動もできて、ドームを下ろせば素で重いから、体当たりにもビクともしない。
基本、銃で蹴散らして、ドームに張り付いた奴らはドームからトゲを発現させて串刺しの刑。
そして俺は更に思いついた。
ゴミバケツ形態を、ハムスターを走らせるアレにしたら良いんじゃね?ってね。
って事で、今いるメッシュなゴミバケツドームを大きく広げて、新たな防壁を造る場所を確保。
俺の動きが止まったせいか、メッシュなドームにペラッペラが張り付きまくってマジでキモい。
巨大なペーパーマシェができちゃってる。
そんな中、俺は新たに魔力を使ってメッシュなハムスターローラーを発現させる。
勿論、俺の身長に合わせたサイズのヤツ。
円柱の中心部にボートのオールっぽい軸を付けて、軸の両端に銃を取り付けて、人力戦車の出来上がり。
早速、ペラッペラが張り付きまくっているドームを左手に食わせて回収。
と、同時にペラッペラがなだれ込んでくるけど、
「ハムスターローラー1号発進!!」
俺が前に走ると次々と轢かれていくペラッペラ共。
ってか、左右に銃を取り付けたは良いものの、禄に使えなくて草。
方向転換するための補助棒になってしまった……
うん。
コレは改良の余地ありだな。
って事で、円柱なハムスターローラー1号は、5分も経たずに円柱から球体へとビフォーアフター。
うん。
銃は撃てなくなったけど、移動するならコレの方が動きやすい。
ってか、今度、魔力で自転車でも作ってみるか?
そうすれば走るより楽だろうし。
って脳内で、魔力を使った移動手段を考えながら、ペラッペラ共を轢き殺して駆逐していく。
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