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なんて事、考えてんだ!?

俺の横で、



「僕、こういうトコ始めて来たよ……  凄いね……」



と、何故かソワソワしまくっているクリリン。


対象的に、キモく鼻の下を伸ばして、顔がブラス爺さんと同種のモンスターみたいになっているキモ豚。


そして──




「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム♪  我は求め訴えたり♪」  




──桜田が頼んだオムライスに向かって、




「彼の者が、美味しすぎて、早食いして、うっかり喉にスプーンを詰まらせて死んでしまう程、美味しくなぁ~ぁレっ♡」




まるで、具体的且つ切実に死を願う呪詛の様なおまじないを吐きながら、



「「………………」」


「♪♪♪」



ケチャップで血文字みたいな、『呪』ってヤベー文字を書いている雇われメイドさん。


しかも、セットで付いてきたホットラテには、もの凄く難易度が高そうな、『滅』って意味深な文字が泡で刻まれていて、この店あげての桜田討伐の本気度具合に戦慄を覚える。



「ありがとうでござる~♪」


「「………………」」



ソレを知ってか知らずか、喜びの声でお礼を言う桜田に対し、



「急急如律令♪  ちゃんと迷わず成仏するんですよぉ♪」


「「………………」」



会話になってない会話をしながら、営業スマイルを顔に貼り付けただけの雇われメイドさんは、細長い紙切れをササっとテーブルに置いて離れていく。


そして、



いや、前に俺が来た時は、こんな恐ろしいおまじないじゃなかったぞ……?



と、以前の記憶と、目の前にいる桜田に起こった手厚いサービスを照らし合わせるが、齟齬がありすぎて困惑する俺。


そんな摩訶不思議な対応も気にならないくらい嬉しいのか、



「斬新なコンカフェでござるな♪」


「「………………」」



笑顔で『呪』ってケチャップ文字を、スプーンの背でヌリヌリと潰して卵に広げている桜田。


俺とクリリンは、ケチャップ文字を喜んで潰す桜田の姿が色々と恐ろしすぎて、ツッコむ事も、止める事もできなかった。


ってか、いつの間にかクリリンの手元には、雇われメイド達の、獲物を狙う雌臭全開でガチで乙女チックな名刺が沢山有った。



「紅葉ぃ。  どうすればいいのコレ……?」


「知らんがな」



しかも、桜田の手元にも、



「此処は、なかなかにギャップ萌なコンセプトで楽しいトコござるな♪  僕もアメニティー沢山貰えたでござるよ♪」



いつの間にか呪符みたいな御札が沢山あった。



「………………」



目を凝らせばドス黒いオーラが見えそうな、ヤバめな感じの文字が書かれた紙切れを手にして喜ぶ桜田。



いや……


ソレ、ある意味ガチなやつだと思うぞ……?


早いトコ神社に納品しに行かなきゃいけないヤツだと思うぞ……?


ってか、ナチュラルに俺には何も無しってどう言う事!?



強烈な2人のせいで、良くも悪くも塩対応されている俺ちゃん。


ジャンボパフェセットを頼んだのに、一口の『あ~ん』すらも無い。


ってか、横に居るイケメンと、対面に座る豚の存在によって、完全に、存在もサービスも対応も忘れられている俺。



ってか、クリリンが頼んだアイスカフェオレで『あ~ん』ってどう言う事?


飲み物で『あ~ん』させる意味よ?


虫歯とか扁桃腺のチェックでもしてたのか?


こんなトコ、来るんじゃなかった……



腹に一物を抱えながら、無言で黙々とジャンボパフェを食べる俺。



プリンウマウマ。


アイスウマウマ。



………………


…………


……








そんなこんなでカフェ(メイドさんいっぱいの)で合流して一息ついた俺達は、せっかくだからって事で適当にアキバをブラブラする事に。


リア充のクリリンは、カフェに居る時もそうだったけど、あまりと言うか、ほぼアキバに来る事がないらいらしく、物珍しそうにキョロキョロと周りを見ていた。


そんな中、



「お?」



桜田がとあるPOPの前で立ち止まった。



「どうした?  なんか珍しいのあった?」


「いや……  エアガンでござる」


「ん?」



桜田は生粋の魔法少女ヲタであって、ミリヲタじゃない。


それなのに、



エアガンに興味を引くってなんで?


警察で銃でも支給されてて、興味が出た感じなのか?



と、軽く想像してたら、



「今、コレを見てフと思ったのでござるが、紅葉氏の能力でエアガンを造ったら、どうなるのかな、と……」


「──!?」



桜田の何気ない思いつきに戦慄し驚愕した俺。


マジでそんなの考えた事がなかったし、そんなのができたらマジで恐ろしすぎるとすら思ったくらいの閃きである。



雫の忍術や桜田の魔法はマジで凄いけど、



「オマっ──!?」



もし、俺の左手の黒い魔力を使って、殺傷能力マシマシな銃みたいなのができてしまったら、



「──なんて事、考えてんだ!?」



雫の忍術以上の人間武器庫になる事間違いなし。


適当に造った剣だけでも切れ味がちょっとアレな感じなのに、そんなんが銃弾として撃ち出されるとか、戦車でもなんでも撃ち抜けてしまう絵しか想像できない。


ってか、容易に弾が貫通しまくって、地球に穴を空けまくっている絵が瞬時に脳内再生されて、マジで恐怖しかない。



「今日もそうでござるが、ウP主が言うジュークボックスで、紅葉氏も自衛の手段を持っておいた方が良いのでは?と、思っただけでござるよ」


「自衛って言っても、流石に銃は……」


「純粋に紅葉氏は戦闘能力が足りてないでござるから、自衛手段は色々と持っておくべきでござるよ」


「………………」



1時間しか変身できない豚が、上から目線で偉そうに助言してきた。


なんか無性に腹が立って、それは変身できない時のオマエも同じだろと言いかけたけど、



「自衛手段ね……」



生き返るっては言われても、死ぬのも痛いのも嫌だし、この前のコンビニ強盗の事もあるから、マジで自衛できる手段を考えなければいけないのかもしれない。


ってか、異能を得て以来、物騒な世の中になったもんだ。


って感慨深く考えていると、



「──っ!?」



チャラチャラと鎖の音が耳に入ってきた。


ソレは、POPの前に居る俺達のすぐ近くから聞こえ、



「マジか……」



桜田とクリリンの背後から、音の出どころなヤツが、俺を見て嬉しそうに口角を吊り上げていた。



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