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完全に忘れてたわ……

「ギャっハッハッハッハッ──  ヒデー!!  ってかマジで痛ぇ〜!!  痛すぎる〜!!wwww」


「………………」


「木梨氏、笑いすぎでござるよ。  グフっグフっグフっ──!」


「………………」



って事で、桜田達に、無事?、『勇者』?に、なったクリリンの説明をしてたんだけど、



「キラッキラだなオイwwww  夜道も安心だなwwww  ギゃハハハハハハハ──!!」


「いやいや、逆に眩しすぎて苦情が来るでござるよ。  グフっwwww──」


「──っク」



速攻で弄られ、馬鹿にされる始末。



こんなヤツらにマウント取られた上に馬鹿にされるとか、俺だったら即座に手首切って潔く死ぬわ。


ってか……


クリリンは手首切っても復活するんだったわwwww


いやもう、色々凄すぎてマジで勇者だわwwww


………………


…………


……








そんなこんなで、勇者なクリリンが一通り弄られまくっていると、



「お?  どうやら来た様でござるな」



公園の前に2台の黒いバンと救急車が停まった。


そして、バンの中から黒一色な特殊装備を身に着けた人達が出てきて、



「雫!  葵ちゃん!」



その中にパパさんも居た。



「パパ、遅ぇよ。  連絡したら5分以内で来いよ」


「無茶言うなぃ!  ピザのデリバリーでも

30分かかるんだぞぃ!?」



そして、アホすぎる娘の苦情に呆れながら、ベンチで座る俺達を見るパパさん。



「取り敢えず、先にその子を病院に」



って事で、パパさんの指揮によって穂花ちゃんが救急隊の人達に担架で運ばれ、



「それと、アレの回収を……」



他の黒い格好の人達が黒いヤツの残骸を回収していく。



「なぁ、パパ。  あの黒いのって?」



そんな雫の質問に対し、パパさんが険しい顔をして、



「アレは……  虚無だねぇ」



重々しく返答する。



「虚無ぅ?」


「あぁ。  世界に混沌を撒き散らすヤツさ」



パパさんの返答の意味が分からなさすぎて、



「「「「………………」」」」



リアクションに困る俺たち。



パパさんや。


もう少し俺にも分かる様な説明プリーズ。


って言うか、“虚無” って何処かで聞いた事がある様な……?


どこだっけ……?



うっすいリアクションの俺達を見て、目が細いパパさんの目がくぁって開いて、シリアスな顔で補足。



「アレは、生物に巣喰って世界を壊す。  勿論、巣食った生物も壊すヤバいヤツ」


「「「「──!?」」」」



なんて分かりやすい補足ですこと……



「じゃ──!?  じゃぁ妹は!?  穂花は──!?」



流石にこの説明はクリリンにはキツい。



「僕がパッと見た感じだと大丈夫だと思うよ。  虚無に侵食された様子は無さそうに見えたから」


「本当ですか!?」


「まぁ、パッと見だから、100%とは言えないけど検査は必要かな?  でも、生物が虚無に侵食されると、先ず、世界や生物を壊すのに適したかの様な、確実に異形な見た目に変わるから、見た目に変化が無ければ一安心かと」


「異形でござる、か……」


「化け物……  になる、って事か?」


「そうだね雫。  でも、彼女は──」



クリリンが心配そうに



「──穂花は化け物になって、ない?」



パパさんの言葉の続きを言う。



「うん。  だから、取り敢えずは大丈夫だと思うよぃ」


「………………」



安心したのかしてないのか、複雑な表情で病院へと向かう救急車が発進したのを無言で見つめるクリリン。



「それにしても……  こうもハッキリと虚無の塊を見たのなんて、僕も初めてだよ……」



パパさんは、公園のグラウンドに散っている真っ黒な残骸を回収している人達を見て、眉間に皺をよせて顔を顰める。



「え?  あの黒いのは見えないものなのでござるか?」


「うん。  普通だと、生物に完全に混ざってしまっているから、虚無単体での姿はあまり現れないね。  と言うか、虚無に取り憑かれた生物は、葵ちゃんや雫も、東京タワーの地下で一度見ているよ?」


「は?  私はそんなの見た記憶はないぞ?」


「見てるよ。  ホラ。  あの、肉の塊みたいなアレだよ」


「マジか……」


「アレも、そうなのでござるか……?」



ってか、その流れだと、俺も見てしまっているんじゃん……



「うん。  虚無に食べられると、正しく、あんな感じになるね」



ってか、肉塊触手になったあの赤装束って、虚無に食われてたのかよ……



「酷いでござるな……」


「マジでバケモンじゃねぇか……」



パパさんの説明を聞いて、穂花ちゃんがああならずに済んだ事に胸を撫で下ろす。



「それで、葵ちゃんからの事前の連絡だと、”勇者”?が”光”?を放ったら、いきなり真っ黒な化け物が姿を表したとか言っていたんだけど?」



と言いながら、パパさんは雫、桜田、俺の順で視線を動かし、



「……”勇者” かぁ……」



キラッキラに悪目立ちしている、自己主張が激しいクリリンの腕の文字を見て、クリリンに視線を固定させた。



「”勇者”だねぇ……  ”勇者”が光ってるねぇ……」


「──っ」



パパさんと目が合ったクリリンは、色々な感情が混ざった様な複雑な表情をしながら、パパさんからソっと視線を外す。



「先ずは君の名前を聞いても?」


「栗林……  薫……  です……」


「うん。栗林 薫クンね。  それで、君が光を発現させたら、黒い化け物、虚無がいきなり現れたと?」


「はい……」


「ござるな」


「そうだよパパ。  そこの栗林が光を出すまで、私達の攻撃が見えないバリアに防がれてたと思ってたんだけど、実は見えない化け物だったんだわ」


「でござる。  栗林氏の光のお陰で黒い化け物が見えて、動きが見える様になったでござる」


「う~ん……」



雫と桜田の説明を聞いて、顎に手を当てて考え始めたパパさん。



「………………」



そんなパパさんを見て軽くキョドり始めたクリリン。


ってか、チラッチラと俺を見まくっている。


見過ぎだろってくらいチラッチラ見まくっている。


もういっそ、俺に顔向けてガン見している方が怪しくないくらいなソレ。



そんなもんだから、俺も心臓がバクバクしてる。


何故かって?


俺がクリリンに不思議なチカラをあげた?教えた?ってパパさんにバレたら、俺の普通でノーマルな平穏が何処かに飛び去ってしまうのは間違いない。


ってか、クリリンに口止めすんの、完全に忘れてたわ……


言うなよ!


絶対に言うなよ!!


絶対にチカラの出処を言うんじゃねぇぞ!!



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