マジか……
やべぇ……
マジでやべぇ……
何がヤバいって、クリリンの挙動がやばすぎる……
魔法少女のPDFを読んでいる時の桜田の挙動もカナリヤバかったけど、
「………………」
それ以上にクリリンの挙動がヤバすぎる……
スマホを見ながら百面相を始めたと思ったら、いきなり目を瞑って、次に目を開いた後には顔を真赤にさせて恥じらって、何故か急に怒り始めた。
俺の中のイケメンクリリンが一瞬にして狂人カテゴリに入った。
しかも、今度は、RPGゲームとかの最初のキャラエディットみたいな感じになった。
自分でも何言っているのか分からなさすぎて、コレをどう説明してよいのか難しすぎる。
とりあえず、俺が見たまんまだと、クリリンはその場で歩いたり走ったりジャンプしたりしているのに、一歩も前に進んでいないっていう、スリップバックよりも高度かつ人外的なステップをし始めた。
しかも顔は百面相。
一歩も進めてない走る動作と一緒に、歌舞伎の様な顔芸を取り入れたり、奇声をあげまくったりと、当に、前衛的な創作ダンス。
って言うか、何処かのサバンナとかジャングルにいそうな、先住民的な部族的なナニかな動き。
かなり斬新すぎる……
しかも、疲れ始めたのか、ハァハァと息を激しく荒げながら、目の焦点が合っていないガンギマリチックな怪しい笑顔で、ずっと俺を凝視し続けている。
「………………」
なんで俺を見てんだよ!?
頼むから違うトコ見てくれよ!!
いきなり壊れたイケメンは、時間を追う毎に徹底的にぶっ壊れ始めた。
普段からはっちゃけていない奴が急に壊れてノリノリになってきて、歯止めが効かなくなってきた感じのアレ。
マジで見てはいけないモノを見てしまったアレ。
コレがクリリンの本性だとしたら、俺は今後、どうクリリンと接していけばよいのか分からない。
しかも、ダンスの締めの決めポーズと言わんばかりに、右腕を左から右に大きく振り、明後日の方を指さして動きを止めた。
クリリンの中では今日はサタデーナイトなのかな?
いや、俺の今日は水曜日だ。
平日ど真ん中な普通な日すぎて、無駄にフィーバーして羽目を外しちゃ駄目な日だ。
キメを爽快に決めて、満足そうにキマってる目で俺を見るクリリン。
ってか、そんな目で俺を見るなし!
拍手もアンコールも絶対にしないから!
逆に、俺が心理セラピーに行く為の費用を請求したいくらいだ。
いや、マジで。
冗談じゃなくて本気だから。
桜田ん時よりもヤベーモン見てしまってるから。
こんなん、PTSD待ったなしだから!!
「オマ……」
ってか、マジでドン引きだわこんなの……
「え? 紅、葉……?」
「………………」
キメを決めて意識を取り戻したのか、不思議そうな顔で俺を見るクリリン。
いや、こっち見んなし……
目ぇ、あわせんなし……
そんな顔で俺を見んなし……
そっくりそのまま自分の心に何が不思議か訪ねろし……
しかし、そんな奇行を取ったクリリンを見て俺は1つ思った。
俺の左手は、調子に乗って先走った結果、死にかけて色々とバグった感じ。
桜田の魔法少女は欲望のまま唯我独尊で突っ走って、完全にやってしまったヤベー感じ。
意外にも雫は何もなくて何もない。
多分、まともに成功した感じ。
雫のクセにっ──!
そして、クリリンの奇行。
これは、完全に桜田と同じ感じの臭いがする。
俺の推測通りだと、コイツ、
やりやがったな……
それか、やっちまいやがったな……
って事で、いきなりビックリ奇行を始めたクリリンを見てすっかり忘れていたのを思い出し、クリリンが何を選んだのかを自分のスマホで確かめてみると、
「………………」
【育め! Love 聖職者の極み!】
が、グレーアウトして消えていた。
「………………」
もう、笑うしかない。
なんで2択でソレを選んだし!?wwww
俺の周りには精神を病んでる病気持ちしかいないのか!?wwww
普通を選んだら死ぬ病気なのか!?wwww
ってか、どんだけ普通が嫌なんだよ!?
そんなグレーアウトした画面をクリリンに見せてやる。
「──!?」
そして、まさかの驚愕の表情。
いや。
その驚愕の表情に俺が驚愕してるわ!?
そして、目頭を右手の親指と人差指で摘んで、
「マジか……」
意味深な一言を呟きながら、木に左手をつけて反省のポーズ。
完全にバっレバレでコっテコテな演技。
おさるのジョ◯ジや、おさるユー◯ューバーのアイちゃんでも、今時、そんなあからさまでコテコテな反省とかしないし。
もう、言い訳レベルが桜田と同レベル。
下手したら、それ以下。
ってか、笑いの引き出しの無さよ。
TPOを弁えて笑えるネタやオチを選びやがれ。
イケメンだったら好きなタイミングで何をやっても許されるとか思うなよ!
「いや、その『マジか……』に “マジか”、だわ……」
おもしろ要素ゼロな残念イケメンに完全ドン引き。
もう、ネタが寒すぎて吐き気さえもよおしてきたレベル。
そんな俺からの残念視線を背に受けながら、
「グス──」
何故か泣いてるみたいな感じで鼻を啜り始めるクリリン。
「紅葉…… 僕……」
悲しげに振り返った顔は、鼻と目を赤くしてマジ泣きな様子。
演技かな?
ってか、泣いても許されると思うなよ!
男の涙目とか誰得だよ!!
って思ったけど、
「押し間違えちゃった……」
「………………」
完全にやっちまったって顔でもって、手で大粒の涙を拭う。
鼻をすすり、嗚咽混じりに本格的に泣き始めるクリリン。
「…………え?」
「どうじよう”。 エッㇰ── 押じ違えぢゃっだ。 ヒック── どうじよう”」
「………………」
「穂花。 ウェっㇰ── どうじよう”。 僕。 フグ── どうじよう”」
「………………」
オマエ……
マジか……
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