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マジで誰でもいいから今すぐ助けてくれ!!

──翌朝──


枕元のスマホの振動がブーブうっさくて、



「誰だよ……」



仕方なく、固く閉ざされているクッソ眠い目に隙間をこじ開けて、無理矢理気味に画面に視線を向けたら、



「…………怖っ……」



桜田と雫からほぼ交互に沢山の着信があった。


ついでに今の時間を見れば朝の9時過ぎ。



8時過ぎからの約1時間ちょっとで、着歴が80件ってヤバすぎだろ……



こうなったら折り返しかけるのも怖いから、



「……無理」



何も見なかった事にして、



「ふぁぁぁ~~~~」



のそのそとベッドから起きあがり、取り敢えず朝ご飯の準備を始める。



昨晩はゆっくり眠れたけど、連日のイベント的な、ハプニング的な出来事に、心身ともに疲れ切っている感じがして、なんか、頭も身体もクソダルい。


未だに冴えない目をシパシパさせながら、ゆっくりした動きでコーヒーメーカーにカフェオレのカプセルをセットして、ササっとスクランブルエッグを焼く。


そんで、洗ってカットしたレタスと一緒に、スクランブルエッグと買いだめしておいたコンビニのサラダチキンを食パンの上に乗せ、シーザードレッシングと粗挽きの黒胡椒をかけた後にもう1枚のパンでサンドする。


慣れた手つきで同じ物を2つ作り、1つをそのまま口に運ぶ。



アムアム──


ウマウマ──



うむ!


やっぱりシーザードレッシングはマジ最強!!



俺はシザラーなのだ。


刺身にも、ハンバーグにも、トンカツにも、おでんにも、カレーにも、とにかくシーザードレッシングは色々使えてホントヤバス!



そんな感じで、夏休みのゆったりとした朝と言う事で優雅に朝食を取っていたのだが、



ピンポーン──




「………………」



俺ん家の鳴らずのチャイムが鳴りやがった。


鳴ったとしても、ほとんどが宅配系で、因みに今日は、宅配を手配した覚えも頼んだ覚えもない。


怪訝に思いながらもインターホンの画面を覗いてみると、



「………………」



そこには人どころか人影すらない。



「ん?」



ピンポンダッシュとかイタズラか?



と思い、ソファーに戻って朝食の続きを堪能しようと身を翻したところ、



「おはよ──」


「──はうあっ!?」



ソファーに座っている女性に声をかけられた。



「誰っ!?」



昨日と言い、今日と言い、何故に俺ん家にこうも簡単に入って来れるんだ!?



「ん?」  



ソファーに座る女性は、



「誰ぞ?」



俺の質問に対して自分の背後に顔を向ける。



「あんたしかいねぇだろ!?」


「妾か?」



朝からどんなコッテコテなボケかましてんだよ!?



「あんただよ!!  あんたしかいねぇだろ!!  って言うか、何んで俺の朝飯食ってんの!?」


「モグモグ──  うむ。  ソコに、コレが、あった、から?」


「いや、名言っぽく言っても誤魔化されないから!!」


「そうか……  ダメ、か……」


「確信犯かよ!?」



一体なんなんだよ!?


昨日からマジでなんなんだ!?



「ってか、どうやって俺ん家に入ったし!!  流石に2回目は、無理だからな!」


「?」



って事で、未だに俺の朝食を勝手に食べ続けている女性を尻目に、手にしたスマホの画面のロックを外す。


雫と桜田からは、着信以外にもメッセージが多数。


取り敢えず、警察のなんちゃらってトコに入ったであろう雫か桜田に電話して、この巫山戯た状況を対処してもらおうとしたところで、



「あ……」



丁度、雫から電話がかかってきた。



「タイミング良──」


『──オイコラ!!  このクソモヤシっ!!』


「──いな……?」



通話に出て直ぐに怒鳴られて罵声とか……



『お前今何処だ!?』


「……家だけど?」


『今すぐソコから逃げろ!!』


「は?」


『死にたくなかったら早く家から出てどっかに隠れろ!!』


「なんでだよ!?  朝っぱらから意味分かんねぇよ!?  ってかそれよりも、変な女性がいきなり勝手に俺ん家に居て、マジで迷惑だからなんとかしろよ?」


『ま”!?』


「お前、警察に入ったんだろ?  って事で、か弱い市民の平和を守ってくれよ?」


『逃げろ!!  今すぐ逃げろ!!』  



電話越しからの雫の大声が聞こえていたのか、



「ソレは無理な相談よのぉ」



俺のカフェオレを飲み終えた女性が立ち上がり、



『その女は──』


「え?」



女性の背後で何かがゆらゆら蠢いた。



『──赤装束だ!!』


「──!?」



腰まである黒髪のまっすぐストレートな姫様カット。


少しつり上がった、目力満載で力強い目。


スラッとしたスタイル。


白いシャツに裾が短い赤いジャケットを羽織り、黒いタイトスカートと同じく黒のレギンスに赤のパンプス。



土足だったのかよ……



見た目、どこぞの令嬢みたいな出で立ちと雰囲気を醸し出しながら、優雅にモデル立ちをしている眼の前の女性。



『モヤシ!!  逃げろ!!  聞こえてるか!?  オイ!?』


「…………………」



しかし、後ろがおかしい。


黒い、複数の尻尾みたいな何かが、女性の背後でユラユラしている。



「逃さぬよ?」


「………………」



ってか、完全に女性にロックオンされた俺。



『モヤシ!!  今、向かってるから、取り敢えず死ぬなよ!!』


「え!?  死ぬなって何っ──!?  ってオイっ──!?」



雫との通話が切れた。



ってか、



「死ぬなって、どういう事ぉぉぉぉおおおお!?」


「クククククククククク──」



得も言えぬ恐怖にキョドりまくる俺を見ている女性から、堪える様な笑い声が漏れる。



「こうして、ただ立っておるだけでも、お主から漏れ出ておるチカラにゾクゾクするのぉ」


「ナニソレ!?  漏れてるってナニ!?」



顔を上気させ、舌なめずりをしながら俺を見る女性。


クッソエロい顔をしているけど、あの雫に、『逃げろ』とか、『死ぬな』とか言われたし。


ってか、昨日と言い、今と言い、勝手に家に不法侵入されてるわで、マジでそれどころじゃない。



そして、なんとなくだけど、今の状況が分かったかも。



赤装束内で俺にかけられていた懸賞金。


パパさんにも言われた、俺からダダ漏れしているらしい膨大な理力なるもの。


雫が言っていた、赤装束とか、死ぬなとか、逃げろとか、



「お主は、当に、妾の糧に相応しぃ」



そんでもって、いきなり現れて、意味の分からない事を言い始めたこの女性。



コレってば、赤装束に俺の住んでいるトコつきとめられちゃった系だってばよ……



「ってか、何故に俺……?」



マジで解せぬ……



「クククククククク──  家畜は何も考えずともよい。  唯、妾に食される為にその身を差し出せ」



食すとか、食されるとか、マジで意味が分からん。


ってか、



「さっき、無断で俺の朝飯全部食ったくせに!!  それで我慢してさっさと出てけよ!!  ってか、なんなんだよお前!?」



どうすりゃこの意味の分からん状況から抜け出せる!?


何がどうなってこうなってるし!?



「ふむ。  先程の食事の礼として、名くらいは聞かせてやるかのぉ?  己が誰の糧となったのか、光栄に思いながら食われるのも、また、一興だろうて」



取り敢えず時間を引き延ばせそうだけど、美味しそうな食べ物を見る様な笑みを向けられていて、マジでこれっぽっちも落ち着けない!!



「妾の名は、玉藻。  世界を食らう者」


「は?」



ナニコイツ?


アタマおかしいの?


ってか、痛いの?



完全に厨ニを病んでる自己紹介すぎて、草しか生えん。



「さぁ、コレで気が済んだかえ?」


「済むかっ!!  ってか、説明足りなさすぎ!  ってか誰!?  知らない名前すぎて余計混乱してるわ!!」



誰か説明プリーズ!



「んん~、焦らすのが上手いのぉ。  本当にお主は美味そうで堪らんのぉ──」


「ㇶぃっ──!?」



何その目!?


俺を食べても美味しくないよ!?


ってか、マジで、そのまんまの言葉の意味で、俺を食べる気なの!?



「あぁ、その怯えた目も、恐怖する感情も堪らんのぉ」



うわ〜。


この人、コッテコテなドSですよ!



「俺はここから逃げたくて堪らんわ!!」



いやもう、色んな意味で助けが欲しい!


マジで誰でもいいから今すぐ助けてくれ!!


本当に俺を助けてくれ!!


ヘルプ・ミーーー!!



ド○えも~~~~~~んん!!




お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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