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なんでこうなったし!

ガチでキレまくって目が座りまくっている雫達と、怖すぎてマジで視線を合わせられない俺ちゃん。


目が合った瞬間、この世からピチュンされると言う恐ろしい未来しか視れないし思い浮かばない。


いっそ、自分で目を潰すか自害してしまおうかしら……


って事で、



「あ、あの〜……」



救いを求める様に腰を抜かしている女性に逃げる。



「は、ハヒ!!」


「大丈夫ですか……」



雫達に怯えるのは分かるが、何故オレに怯えるし……


マジで心折れるぞ……


って、あ……



女性の視線はオレが握っている真っ黒な剣に向けられていて、



「あ、こ、コレはなんでもないですよ!  単なる……」



ヤバイ!


全然言い訳が思い浮かばん!!



「……アレです!!  単なる、お──」


「お?」


「──オヤツです!!」



オヤツってなんだよ!?


もっと怯えちゃってんぞぉぉぉぉぉぉおおおお!?



「ほ、ホラ!  こうしていつでも何処でも食べられますんで!」



左手の甲を口に当て、



『いっただっきまーす!!』



掌にある口で魔素呼吸で腹話術しながらボリボリ剣を食べる。



「ヒィヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ──!?」



俺の腹話術からの手の口による剣食いを見た女性は、卒倒して失神した。



「………………」



我思う……


諸行無常……


いと悲し……



女性の悲鳴を聞いたからなのか、



「紅葉氏どうしたでござるか!!」


「モヤシっ!  新手か!?」



案の定と言うかなんと言うか、桜田がピョンピョン空を蹴ってやって来て、その背後を身体が凍った赤装束の髪を掴んで引き摺っている雫もやって来た。



「………………」



何故か変な汗が出まくって止まらんのですが……



「いや、な……  とても言いづらいのだが……」


「男ならハキハキとモノを言えやクソがっ!」



オマエ、完全に反社の輩じゃん……


男とか性別いぜんにオマエじゃん……



「なんて言うか……」



うん。


もうコレで良いや……



「女性がお前らの現実離れしまくったイカれ戦闘具合を見て失神して倒れた。  知らんけど」


「はぁあ!?」


「マジ、でござるか……」


「あぁ。  マジも大マジ。  ぶっちゃけ、俺もこの人と一緒に倒れたいくらい大マジ。  知らんけど」



俺も今すぐ倒れて、無抵抗に地面に頭打って、今日一日の記憶を全消去したいです。


って言うか、赤装束の顔が血だらけでボッコボコになってるし……


俺が目を離していた数分の間に何が起こった……



「桜田さん。  一つお聞きしても宜しいでしょうか……?」


「なんでござるか?」


「なんで赤装束の顔が血塗れでボッコボコなんでしょうか……?」



雫によって引き摺って連れて来られ、ゴミの様に地面に捨てられているグチャ顔の赤装束。


ソレにチラリと桜田が顔を向け、振り返った顔は鬼の様な形相だった。



「アレは自業自得の結果でござるな」


「なんで……?」


「アイツは、情報を渡す代わりに僕と木梨氏のオッパイを揉ませろって言いやがったでござる」


「ま“!?」



なんて命知らずなヤツなんだ!?


って言うかオッパイより命乞いしろよ!!



「コレには木梨氏はもちろん、流石に僕もキレたでござる」


「その結果がコレと……?」



って言うか、ブクブク血の泡吹き出してんぞ……



「ござる。  どうせヤツらの居場所は東京タワーって分かっているでござるから、下半身でしかモノを考えられない人殺しのゴミカスには、木梨氏特製の生き地獄を味わせてやったでござるよ」


「そう、ですか……」



胃袋でしかモノを考えられないヤツに言われても……


ってか、雫特製の生き地獄とか、多分、俺が想像したヤツの10倍くらいの地獄っぷりなんだろうな……


どんな地獄か考えようと思っただけでも、キン○マがヒュンってなったわ……



「と言う事で、僕は木梨氏と一緒に東京タワーに行くでござるよ」


「は?  なんで?」



いや、この話の流れで何がどうなってそうなった?


ってか、なんで気が変わってんだこの豚!?


危険に自分から突っ込むとかマジで馬鹿なのか!?



「オマエが行く意味よ?  馬鹿か?  馬鹿なのか?」


「何故に馬鹿を2回も言ったでござるか?  僕は馬鹿ではないでござる。  それに、僕が行く理由は2つあるでござる」


「え?」



ってか理由が2つもあんの?


ってかありすぎだろ?



「1つ目は──」



桜田が指を1本立てる。



「──僕が魔法少女だからでござる!」


「………………」


「魔法少女は悪の組織を倒すのが世の定めでござる!  街の、いや、世界の平和を僕が守るでござる!  この戦いで僕の使命が分かったでござる!」



うわぁ〜……


ここに本物の馬鹿降臨。


前々から薄々感じていたけど、この豚、マジで狂ってやがる……


マジで馬鹿だ〜……



「そして2つ目は──」



桜田が真剣な顔で2本目の指を立てると、



「あー。  オマエと葵ちゃん、コイツらにマークされてんぞ」


「は?」



コンビニエプロンで拳に着いている血を拭きながら、今まで大人しかったサイコ野郎が口を開いた。


エプロンで手に付いている血を拭くとか、生肉業者の解体の人ですかオマエは……



「マークされてるってなに?  どゆこと?」


「このゴミカスが言うには、オマエと葵ちゃんの特徴と似顔絵がソイツらの組織内で出まわってるらしいぜ」


「は?」



ナニソレ……?



「この前の公園の一件で、僕と紅葉氏のチカラを見たヤツが逃げ延びたらしく……  組織内で、僕と紅葉氏に懸賞金がかけられてるらしい、でござる……」


「な”!?」


「ホレ。  コレ見てみろよ」



雫がエプロンのポケットから取り出した赤装束のであろうスマホを弄った後に俺に投げよこし、手に取ったスマホの画面には、



「げっ!?」



クッソ似まくっている俺と桜田(魔法少女)の似顔絵。



「オマエらは最高の供物らしいぜ。  ってか、歩いてるだけで戦いが寄ってくるとか、クッソ羨ましいよな」


「なんだよ、コレ……?」



脳筋MAXでバトルジャンキー全開な思考の雫に羨ましいとかマジで思われたくないし、



「マジで引くぞ、コレ……」



しかも、俺の方が懸賞金が高いってどう言う事っ!?



「ギャハハハハハハハハハ──!!  良かったなぁっ!  モブでモヤシなオマエの首の方が葵ちゃんの首より値段が高くてよぉ!!」


「イヤイヤイヤイヤイヤイヤ!?  おかしいだろ!?  色々とマジでおかしいだろコレっ!?」


「諦めて楽しめモヤシ!」


「フザっ──!?」



──楽しめるかぁぁぁあああ!!



赤装束のヤツら、桜田を見て「魔女だ」「魔女を見つけた」って楽しそうに言ってたくせに、



「なんだよコレっ!?  俺なんてモブぞ!?  どう見ても一般人ぞ!?  派手な戦闘なんてこれっぽっちもしてないんだぞ!?」



なんでこうなったし!?



「と言う事で、僕は世界の平和と自分の平穏の為に戦うでござる!」



そんな桜田の力強い言葉を聞いた俺は、



「さ……  桜田様ぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」



持てるチカラと経験と知識の限り、



「何卒!  何卒ぉぉぉぉぉ!!」



腹の底から誠心誠意を込めまくって、



「モブな私めの平穏もご一緒に御守りくだせぇぇぇぇぇええええ!!」



土やホコリだらけのグラウンドの上で、五体投地の寝土下座を敢行。



「ちょっ!?  紅葉氏っ!?」



ソレはもう、見事にビシっと身体を真っ直ぐに伸ばし、額を始め、身体の表側の全面を地面へと付けて相手へと誠意を見せる。



「何卒ぉぉぉぉぉ!!」



横でかき氷頭が腹を抱えて大爆笑しまくっているが、



「何、卒ぉぉぉおおお!!」



そんなの俺には関係ない!


このままだと赤装束共の無差別襲撃デイリークエストが始まって、俺の平和な私生活に支障が出まくる!


だけじゃなく!


八千流木さん(警察)に病院で嘘を吐いた事がバレて死ねる!



「紅葉氏。  チカラを手に入れたばかりの僕が言うのもアレでござるが、平和を守る為のチカラを手に入れるきっかけを僕にくれた紅葉氏は全力で護るでござるよ!」


「さく……  オマっ──!?」



ヤダ!?


なにコイツ!?


クッソカッコいいんですけどぉぉぉ!!



桜田のカッコよすぎる言葉に感激して俺の感情が爆発して、



「桜田ァァァァァァ──!!」



寝土下座から瞬時に立ち上がってイケまくりな美少女魔法少女へと感謝のハグを──



「──豚ァァァァァァァァァァァァアアアア!?」



──したら、汗で湿って生温かい、俺とペアルックな豚に抱きついてしまった。




お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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