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喜んで傍観させて頂きます!

桜田達に遅れてモブな俺到着!


蹴り飛ばした赤装束を前にして、ブッ壊れた笑みを浮かべる雫。


その雫の背後で凛々しくワンドを構えてる桜田。


桜田の背後には怯えて腰を抜かしている女性って感じで、女性と赤装束は無事に分断された。


そして、俺は桜田の背後に大人しく避難。



俺、モブだしぃ!!


俺、戦力無いしぃ!!


来たのは良いけど、こいつらと一緒に戦うとかマジで無理ムリ!


だって俺ぇ、戦闘狂や魔法少女と違ってただの一般人ですからっ!!



足を止めた雫は、ここぞとばかりにポケットからライターを取り出して右手の爪先に着火して、蔵で赤装束を脅していた時以上に炎を燃え盛らせて悦っている。



アイツ!? 


マジで殺る気マンマンじゃねぇか!?



「葵ちゃん!  こいつは私の獲物だ!  邪魔したら、愛しの葵ちゃんでもマジで怒るから!」


「ござっ!」


「お前もだモヤシ。  邪魔したらコロスから、ナ?」


「イエス!  マム!!」



怖っ!?


怖すぎっ!!


ってか、俺にだけマジ殺気籠ってんぞ!!


目が完全にイっちまってんじゃねぇか!?



バーサクモードのキルスイッチがオンになった雫。


それを見て怯える俺。



絶対に手を出すな、邪魔をしたら殺すぞと言うのであれば、こちらこそ、喜んで傍観させて頂きます!!



雫のドロップキックをくらって無手になった赤装束は、雫の足下に転がっている槍にチラリと視線を向けたけど、まるでどうでもいいとばかりに雫に視線を固定させた。



「ほぉう。  魔女か……」


「ハン。  魔女は魔女でも美魔女だバ〜カ。  こっちから菓子折り持って挨拶に行く手間が省けたぜ」



美魔女ってなんだよ。


菓子折りってなんだよ。


挨拶ってなんだよ。



色々とツッコミどころが、いや、全部か……?



「木梨氏!  背後は任せて思いっきりブッ飛ばすでござる!  無理そうなら僕が代わりにやってやるでござる!」


「ヒュー!  言うねぇ!  葵ちゃ〜ん!!」


「………………」



どうした桜田よ。


俺の記憶ではお前はそんな暴力的で物騒な男じゃなかった筈だが?


あ、今は女か……



魔法少女な桜田は、何故か戦闘民族寄りな思考になってしまっている。



そう言えば、この前も嬉々として赤装束を凍らせたり、致死量レベルの雷食らわせてたっけ……



「けど!  コイツは私の獲物だよ!  思う存分、私の実験台にして、やるっ!」



マッドでサイコな言葉を吐き捨てながら、走って赤装束へと距離を詰めるかき氷頭。



「調子に乗るなよ──」



詰め寄る雫へと掌を上に向けて手を突き出す構えを取る赤装束。



「──魔女共が!!」



そんで、広げていた指を上に向けてクイって垂直に折った瞬間、



「──ぬぅああっ!?」


「「──!?」」



走る雫の足下から鋭利に尖った岩の柱が現れた。


いきなり地面から岩柱が生え出るとか、生まれてからこれまで一度も見たことも聞いた事もない、不思議すぎる現象。


まぁ、漫画やアニメとかでは良く見た、例のアレな感じだけど。


しかし雫は盛り上がった違和感を感じた足下から直感で横に飛び退き、岩柱の直撃を避ける。


いきなり地面から岩柱が生え出てきたのにも驚きだけど、それを無傷で躱した雫にもドン引き。



「今のを躱すか……」


「馬鹿かオマエっ!  あんなん躱すに決まってんだろうがっ!!  当たったら死ねるっつうの!!」



地面を転がりながら体勢を整えて、赤装束に向かってそのまま突っ込む雫。



「こんなん、当たったら、痛いじゃ済まねぇ、だろうがぁぁぁあああ──!?」



雫の足下から再び生え出てくる岩の柱。



「──クソっタレがぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」



その勢いに合わせ、身体を浮かして飛び上がって躱すけど、



「ぬガァぁぁぁああああ──!!」



飛び上がった雫を追撃する様に、次々と岩の柱が後追いで生え出て来た。



飛び上がっている雫は、自身に向かって来る岩の勢いに身を委ねるように手を当てて衝撃を殺し、まるで蝶が跳ねる様にヒラリヒラリと宙を舞う。



「………………」



目の前で起こっている、漫画やアニメ、映画の世界みたいな現象と、それを難なく躱しまくっている雫の身体能力や身の軽さに驚愕。



「アイツ、なんであんなの躱せてんだよ……」


「木梨氏、化け物でござるよ……」



次々と生え出てくる岩柱を躱している内に3分が経ったのか、



「──チィィっ!」



雫の右手から炎の爪が消えた。


執拗な岩柱の連撃で印を結ぶ余裕がないのか、露骨に舌打ちする雫。



それを見て何故か俺に顔を向ける桜田。



「紅葉氏」


「んあ?」


「この人は任せたでござる!」


「は?」



そして、立ち並ぶ岩柱を周りこむ様に駆け出す桜田。



「お、オイィィィィィィィイイイ──!?」



──俺を一人にしないでぇぇぇぇえええ!!



「アイシクル☆バインドォォォォオ!」



岩柱の影から見えた指をクイクイさせている赤装束に向かって、桜田がワンドを向けて魔法を発射。


グラウンドは霜が張ったかの様に白く凍りつき、冷気が赤装束へと向かって行き、



「ナっ──!?」



いきなりの不意打ちで赤装束は両足を凍らされて身動きを封じられ、



「木梨氏っ!!」



雫から少し目を離した瞬間、



「【纏爪】!!」



落下しながら空中で素早く印を組む雫。


着地と同時に落下の勢いを殺す様にして前回りで転がり、



「ふぅぅぅううう──!!」



起き上がりながら右手の爪先に向かって思いっきり息を吹きかけ、



「──ダァァァリャァァァァああああああ!!」



アンダースローで赤装束に向かって右手を振り抜く。



「──っグぅ!?」



瞬間、見えない何かがガリガリ地面を抉りながら赤装束に襲いかかり、



「貴様あぁぁぁぁぁアアアア──!!」



凍っていた両足を砕いて赤装束の身体を吹き飛ばす。



「葵ちゃん!  ナイスアシスト!!」



膝から下が凍って砕けて吹き飛ばされた赤装束は、ズリズリと両手で匍匐前進しながらこの場から離れようと地面を這いずるが、



「逃す訳ねぇだろ。  葵ちゃん、拘束」



前を雫に、



「えいっ!  でござる!」



後ろを桜田に挟まれ、桜田に首から下を凍らされてその場に貼り付けにされた。


一切の容赦が無いイカれサイコと、平気でホイホイと人を凍らせる、節操なし魔法少女に囲まれた赤装束。



え?


俺?


一応、黒い魔力で剣を作って女性の横に立っておりますが何か?



「お前らの目的はなんだ?  なんで無差別に人を襲う?」



如何にもテンプレヒーローチックな質問をする雫。



足の裏でグリグリと頭を踏みつけているのを除けばだが……



「そうでござる!  何故でござるか!」



美女に頭を踏まれ、美少女に上から凄まれながら見下ろされている赤装束。



「うグゥ──」



ある種の性癖の持ち主にとっては盛大なご褒美なんだろうけど、



「──クソ魔女共がぁぁぁあああ──!!!」  



俺としては、ご褒美云々よりも、今のコイツらにはマジで恐怖しか感じない。


ってか赤装束に同情すら覚える……



「──死んでも貴様らになぞ喋るものか!!  仲良くそこの小僧のモノでもしゃぶってろ!!」



しかし、そんな赤装束が暴言と一緒にツバを吐き捨てて、下衆な笑みを雫達に向けて浮かべる。



「「「………………」」」



なんでそこで俺を巻き込んだしィィィィィィィいいい!?


しかもなにその巻き込み方ぁぁぁぁぁぁぁああああ!?


喋るとシャブるとか全然上手い事言ってねぇからぁぁぁあああ!!



雫と桜田の目尻が盛大にヒクつく。


見るからにブチ切れている雫が俺を射殺す勢いで睨みながら、



そこでなんで俺見るしぃィィィィィィィいいいい!?



無言で印を組み直して右手に紙の爪を発現させやがった。



って言うか、なんでオマエまで俺を睨んでんだよ豚ぁぁぁあああ!?



そして、



「人を殺したうえに情報を吐かずに暴言を吐く様なクソゴミ野郎は、  須く死んで当然だよなぁ?  葵ちゃん?」



雫はポケットからタバコを取り出して咥え、



「ござるな。  身体が寒そうだから頭を燃やして暖めてあげれば──」



笑顔な桜田が指先に火を灯して雫のタバコに火を入れ、



「── きっと丁度良い塩梅でござるな」


「──っク!?」



赤装束の顔が瞬時に青ざめる。




ヤバイ!!


殺る気だ!?


コイツら完全に殺る気マンマンだっ!?





お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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