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99.999%くらい!

なんか出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!?




俺の手の平からシャボン玉みたいに偶に虹色にピカピカ反射するモヤみたいのが “もふわぁ〜” って出た!


例えるなら、めっちゃ寒い日に息をハァ〜ってした時のアレな感じの出かた!



「ナニコレぇぇぇぇええええええ〜〜〜!?」



マジでなんか出てんぞぉぉぉぉおおおお!?


手から“もふわぁ〜”って出てきたぞぉぉぉおおお!?



驚いた事で右手に向けていた集中力が途切れると、偶にキラキラ光るモヤも霧散して消えた。


そして、



「紅葉氏!  煩いでござるよ!  逆にこっちがナニコレでござるよ!  気が散るでござる!」


「うぅっ──  すまんです……」



吃驚しすぎてはしゃいでしまった俺は、めっちゃ桜田に怒られた。


死に戻りで改めて論文を書いている桜田は、神経がカリカリしているのか、鬼の様な形相で俺を睨む。


桜田に怒られ睨まれるも、いきなり手から出て来た光るモヤモヤのせいで、俺のテンションは上がりっぱなしだ。


って言うか、光るモヤモヤが出た事にもビックリだけど、いきなり体内から何かが抜け出た感覚に襲われ、夜、寝る前にエッチな本を使ってアレをアレしてアレした後みたいな、ちょっとした倦怠感や消失感に襲われた。



なんでいきなり疲れたんだよ……  


しかも、なんなんだよこの感覚……



酸欠とまではいかないが、身体の全体的に倦怠感が残り、一瞬、なんか出た事に興奮してこうなってしまったのかとも思ったけど、持病や高血圧持ちでもないし、まだまだピチピチな20代の俺が興奮したくらいでこうも倦怠感を感じるはずがない。



「まさかな……」



って事で、いきなり襲われた倦怠感によって無理矢理落ち着いた俺は、タブレットの画面をスワイプさせる。



『キラキラモヤはちゃんと出たかな?  出て来たキラキラモヤがキミの魔力なのさ!』



出た出た!


そりゃもう、思いっきり、ハッキリ、クッキリ、シッカリ出ましたですよ!


一緒に変な消失感まで出ましたですよ!



『1回で出せたキミは魔力の素質があるよ!  出なかった場合は出るまで続けてね!  それか、あまり才能ないから諦めて今すぐ辞めた方が良いね!』



「………………」



1回で出せなかったヤツに対してかなり冷たくねぇか……


なんて言うか、うん……


1回で出て良かったわ……



スワイプ。



『魔力を出せたら、次は魔力を増やしてみよう!』



簡単に言ってくれるぜ……


って言うか、増やせるのかよコレ?



『魔力は体内で造られていて、魔力を造る為の材料は魔素って言うんだよ!』



ん?


なんか新しいフレーズが出て来たぞ。



『魔素はその辺の空気中、至る所に漂っているよ!  酸素と同じって思って良いよ!』



とことん俺の常識をぶっ壊しにきやがるな……



その辺に漂ってるって言われても、こうも魔力なるモノが手から出ちまったら、その魔素なるものも否定できなくなるのが悔しいよな。



『と言う事で、魔素を吸収して魔力を造ってみよう!』



吸収って多分アレだろ?


さっき吐いたヤツの逆をやれば良いんだろ?




って事で、俺は続きを読まないまま、再度、操○弾の様に構えて、右手で左手首を掴んで左の掌で息を吸う様に、その辺にあるらしい魔素の吸収を始める事にした。



「──!?」




のだが、いきなり視界が盛大にグワングワンのグニャグニャになって、



「へグぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ──!!」



耳に何かを詰められたかの様に聞こえる音が曖昧のボヤボヤになって、キーンって言う耳鳴りが起こり、頭や身体中へと激痛が走った。



な──!?



あわせて、生気が抜ける様な冷たい感覚を覚えると共に急に身体の奥から来る寒さに襲われ、



ど──


どうなって──!?



そのままテーブルにうつ伏せで倒れこんで両肩を抱きながらガタガタと身体を震わせる。



るんだ──!?



揺れる視界をなんとかしようと目を瞑ったけど、グラグラと揺れて回る感じが治らなくて、一向に和らぐ気配を感じられない。


助けを求める様に桜田の方に顔を向けるも、死に戻りした論文を必死に書いている為に俺には全く気づいてくれず。



って言うか、平衡感覚が本当にヤバい。


脳みそだけをジェットコースターに乗せられてシェイクされたかの様に、俺の平衡感覚が尽く仕事を放棄している感じ。


もう、何処が上で下かも分からない。


自分の身体の感覚を維持する様に、身体を縮こめて額をテーブルへと押し当てて、短く浅い呼吸を過呼吸気味に何度も何度も繰り返す。



「ハッ─  ハッ─  ハッ─  ハッ─  ハッ─」





このまま



死ぬの



か……?



………………


………


……








─数分後─


死ぬかもしれないって言う考えが何度も頭を過ぎる中、必死に歯を食いしばって意識を飛ばさない様に耐えていたんだけど、まるで今までの事が嘘だったかの様に身体中の痛みと寒さ、グルグルグワングワンのグチャグチャ症状がスゥ〜っと消えて、通常通りの感覚が戻って来た。



なんだったんだ今のは……


絶対にヤバイヤツだったぞ……



さっきの死を予感させる様な恐怖を感じた俺は、横にあるタブレットへと恐る恐る視線を向け、眉根にシワを寄せながらタブレットをジッと見つめる。


そして少し考える──


さっきの酷い酔いや痛みはなんだったのか──?


魔素を吸収したら、また、さっきみたいなのになるのか──?


もしそうだったら、このままコレを続けても良いのか──?


と──



「………………」



魔法や魔力に半信半疑だった。


今でもまだ怪しいって思っている。


一種の自己暗示的な催眠術っぽいナニカってのも考えられるけど、とにかく、知らんけど不思議なものがマジで出た。


俺は鬱でもないし、ストレスもそんなに抱えてない。


睡眠も多く取っているし、継続的なお酒やタバコの接種はおろか薬物にも手を出してないし、全くの健全体だと自負できる。


そんな俺が真昼間から幻覚を見る訳がない。


多分……


暇すぎて、眠くなって、白昼夢を見ているって言う可能性ってのもなきにしもあらずだけど……



……まぁ、続きを読むだけにして、実際に試さなければいいか?



と、ついつい自分を納得させる様に考えてしまうけど、それ以上に、コレはヤバいって分かっていても続きが気になりすぎる。


ってか、湧き上がる好奇心には勝てない。



好奇心、猫を殺すってこういう事か……



今更ながらに自分の好奇心の強さに気付く。


って事で、タブレットを手に取ってゴロンと机の上に上半身を投げ出しながら画面をスワイプ。




『魔素を吸収する時は必ず魔力器官から吸収するんだよ!』



「………………」



続きを読んで思考が止まった。



『魔素を魔力器官以外から取り込んじゃうと色々と危険だよ!』



「………………」



文字を追う目に力が籠もる。



『魔素は猛毒だよ!』



「………………」



猛毒と言うフレーズを見て眉根にシワが寄る。



『毒の他にも、人によって色々と危険で様々な症状が出るかもしれないから気をつけてね!』



「………………」



時間が止まったかの様に、身体が硬直して思考が停止する。



『でも、魔力器官から魔素を吸収すれば、魔素毒を 99.999% くらい中和出来るから安心だよ!』



「………………」



ヒクヒクと頬がヒクつく。



『魔力器官は、取り込んだ魔素の毒を中和する”フィルター”、取り込んだ魔素を魔力に変える”コンバーター”、魔力を貯める”タンク”、貯めた魔力を体内に循環させる”サーキュレーター”、魔力を体外に放出させる”ポンプ”って言う沢山の役割があるんだよ!』



「………………」



ギリっと奥歯を噛み締め、こめかみがピクピク動く。



『だから、一番最初に魔力器官の場所を把握して起動させる事が大事なんだよ!』



「………………」



『さぁ、おヘソの下2cmに手をあてて、ポカポカを感じる魔力器官を意識しながら、大きく呼吸をしてみよう!  コツは息を吸い込むときに、お腹の底の底、奥の奥まで届くようにイメージすることだよ!  ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!』



「………………」



ここまで読み進め、俺は両腕をガッチリと口に押し当てて、思いの丈をブチ撒ける。



『フォォォぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオ!!』



クっっっソぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!


先に言えやぁぁぁあああああああああああ!!


やっちまったじゃねぇかぁぁぁあああああああああ!!



続きを読まずに先走った俺は、ものの見事に綺麗に華麗に美しく自爆してしまっていた。


数分前に戻って昔の自分をしこたま殴ってやりたいと言う衝動すら湧いてきた。


色々な感情がない混ぜになり、溜まった感情エネルギーのベクトルが足方向へと向かって行き、両足が自然とバタバタ動く。


と同時に、何処ぞのエース級宇宙移民の如く、ピキュキューンってな感じで魔素の毒とその影響なるものって言うフレーズが頭をよぎる。


ハッとした俺は慌てて立ち上がり、両手でバっバっと身体中を触りまくるが、特段コレと言ってなんとも無い。



「ふぅ〜……」



うん。


なんともな──


──んん!?



が、フと何かに気づいて、魔素を吸い込んだであろう左手へと意識が向く。



「………………」



そして手首を捻り掌へと視線を移すと、





「……ナニコレ」


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