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キタァァァアっ!

無難を選んで何故か酷くバグった俺。


憶測と欲望が交差して、魔法少女になってしまった自業自得変態桜田。


そして、


メンヘラが暴走して、違うベクトルで究極進化した結果、



「「………………」」



此処に、恐ろしいサイコパスストーカーが爆誕しようとしている。


俺が想像している事ができないポンコツ忍者である事を祈るばかりだが、



「んで、葵ちゃん?  この、ダウンロードされてるヤツを読めば良いんだろ?」


「えぇ〜っと、まぁ、その……  そうで、ござる、な……」


「桜田……  お前……」



此処で雫に読むなと言えない桜田。



お前分かってるのか!?


雫がそれを読んでマジモノの忍術が使える様になったら、これからのお前は自由とプライバシーが皆無になるかもしれないんだぞ!?


雫の目を見てみろよ!


完全にイッちまってるぞ!


コイツはマジでヤル気だぞ!


まぁ、俺には関係無いけどな!



そうこうしている間にも、雫がスマホを弄ってダウンロードしたモノを静かに読み始め、桜田の人生破滅へのカウントダウンが始まった。



タバコ、ロング缶、スマホ操作。


ロング缶、タバコ、スマホ操作。


タバコ、タバコ、スマホ操作。



「「………………」」



マジでおっさんじゃねぇかコイツ……


しかもダメな方の……





雫がダメ人間的行動を繰り返す事、数分。


他人がダウンロードしたモノが読めないと分かっている俺と桜田が無言で雫の結果をビクビクしながら待っていると、



「よし!  いっちょやったるかぁっ!」


「え?」


「は?」



いきなり気合いを入れた雫は、組んだ両手を前に突き出して伸びをしながら、ボキボキって細くて長い指の骨を鳴らす。


そして、



「こうやって、こうして、そんでもって、こうか?」



スマホを見ながら、細くて華奢な長い両手の指でもって怪しげな印を組み始めた。



「え?」


「なにしてんのオマエ……?」



なんでいきなり指をモニョモニョさせてんの……?



ワキワキと動いては形を変えていく指にはマジで恐怖しか感じない。


目の前で印を組まれて、初めて恐怖を感じた瞬間だ。


そんで、一通り印が組み上がったのか、スマホから目を離していきなり立ち上がって庭へと身体を向け、



「【煉華】!!」



と、厨二全開のヤバいフレーズを口走りながら右手の人差し指と親指で輪っかを作り、



ブゥゥゥゥゥ!!



軽く口を尖らせながら輪っかへと向けて思いっきり息を吹きかけた。



「うわっ……」


「うわぁ〜……」



俺と桜田は意図せずに似たような言葉を口にし、そこに現れた現象を見て何故かホッコリした。


雫が息を吹きかけた先には、何処ぞのお祭りや海外のサッカーの試合で舞ってそうな、真っ白で小さな沢山の紙吹雪。



「なんかいるよな、こう言う事を考える小学生が……」


「いるでござるな……」


「桜田……  アイツがなんちゃって忍者でよかったな……」


「そうでござるな……  なんか、心から安心したでござるよ……」



庭に舞い散る白い紙吹雪を見て、桜田はマジで安心したのか、強張っていた肩の力がスっと抜けた。


しかし、そんな俺たちがホッコリしている中、



「──キヒっ」



雫が目をギラつかせて笑いながら、



シュボっ──



手にしているライターを眼前に翳して紙吹雪へと無造作に火を向けて、



「【火遁】!!」



一言、不穏な言葉を呟いた。



瞬間──




──ボォウ!




「はえ?」




ボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォボォ──!!




空中で舞い散っていた紙吹雪が燃え盛り、



「ブヒィ!?」


「なっ──!?」


「ヒャッハー!!  タァァァア、マヤァァァァァァァァァア!!」



辺り一面を真っ赤な炎が埋め尽くした。


ハッピートリガー宜しく、目の前に現れた、まるで、絵に描かれた様な大きな炎を見ながら完璧に目がイッている雫。



「オマっ!?  馬鹿っ!  桜田ァ!  水掛けろぉぉぉお!!」


「りょりょりょ、了解でござ──!」


「──早くしろぉぉぉお!!」


「──アイス☆プリズン!」



桜田が呪文を唱えながら魔法少女ワンドを燃え広がっていく炎へと向かって翳すと、2メートル程の氷のキューブが炎のど真ん中に現れた。


現れた氷のキューブはその中へと炎を取り込んで蒸発させて鎮火させるが、



「全っ然足りてねぇよっ!?  ってか、水を出せって!!」



明らかに炎の範囲が氷のキューブより大きくて、未だに周りで炎が暴れている状態。



「クソ!  イケるか!?」



俺は徐に左手を炎へと向かって翳し、



「頼むから吸い込んでくれよォっ!!」



祈る様に左手で雫の炎を吸収する事を意識する。


すると、俺の意志に呼応した左手の口が開き、



ズゴォォォォォォォォ──!!



凄い勢いで炎を吸い込み始めた。



「キタァァァアっ!」



燃え盛っていた炎は、吸い込まれる端から、まるで霧の様な粒子や分子みたいな感じにその姿を変えながら、次々と左手の口の中に吸い込まれていく。



「うわぁ〜……  紅葉氏は炎も食べられるのでござるね……」



死んだ目を暗く輝かせる桜田。



「モヤシ……  なんだよソレ……?」



桜田と似た様に、自分の炎を吸い込んだ俺の左手にドン引きしている雫。


こんなの説明しろって言われてもマジで出来ないから、



「バグだよ」



って一言で片付ける。


初めての異能の力にトリガーハッピー状態だった雫は、俺の炎を食った左手を見てドン引きして落ち着いた。



ついでに桜田が発現させたデカい氷も食っておいた。



めでたしめでたし。



お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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