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無難の非力を舐めんじゃねぇぞ!

俺が発現させた剣の形をした魔力の塊を見て唖然としている二人。


あの時は桜田も気絶していたから、コレを見るのは初めてだな。


って事でもっかいドヤ顔。



フフン!!


ホレっ、どうしたっ!


無難な選択を舐めんじゃねぇぞ!


お前らが馬鹿にしたモブを舐めんじゃねぇぞ!



そして、発現させた剣をまるで小枝でも振るかの様に、ビュンビュンと音を立てて軽々と振り回す俺。



「も、紅葉氏……  なんでござるかソレ……」


「剣ですが何か?」


「いや、剣ってオマ……」


「はい。  剣ですが何か?」


「「………………」」



何故か雫と桜田はドン引きした顔で俺を見ている。



アレ?


なんで?


って言うかさっき俺言ったよな?


イメージした魔力の塊を発現させられるって?



俺が心外と言わんばかりに、少々ばかりの怒りを込めながら激しく剣をビュンビュン振っていると、



「質問でござる……」



豚がTシャツの丈が短くて隠せきれてない醜い腹を見せながら手を挙げた。



「うむ。  そこの豚。  質問を許可する!」



そして俺は『ビシィ!』ってな具合で



「アブなっ──!?」



桜田の鼻先へと剣先を向ける。



「そ、そのでござるな……  紅葉氏が軽々と振り回しているその剣の重さは……  如何程な重さでござるでありますですか……?」



桜田の質問に雫もコクコクと頷いて同意を見せるが、



「知らん!」



俺は一言でぶった斬る。



「じゃあ、お前が手にしている重さはどんくらいの感じなんだよ……?」



雫までもが剣の重さを気にしていて、



「う〜ん……  強いて言うならば綿飴くらい?」



仕方なく答えてやると、



「いや……  ソレは無いかと……」


「うん……  ないだろ……」



何故か豚と雫が即答で反論してきた。



「んだよ!  俺は全く重さを感じてねぇんだよ!  じゃぁ、お前らが持ってみればいいだろ!」



俺は逆手で剣を持って剣先を下に向け、持ってみろよと言わんばかりに柄の部分を桜田と雫に向ける。



そして何故か桜田と雫が無言で牽制しあって、雫が桜田を殺しそうな勢いで睨みつけ、



「も、持ってみるでござる……」



雫に脅された桜田が恐る恐ると言った感じで手を伸ばして柄を握る。


そして、桜田が柄を握ったと同時に俺がサッと手を離すと、



「フごぉオッ!?」



剣の重さに耐えきれずに柄に手を添えたまま地面へと急降下させ、




ドォゴォリっ──!!





コンクリートの地面に剣が自重で突き刺さった。



「「「………………」」」



コレには流石に全員が無言となる。



自重でコンクリートを突き破って地面に突き刺さる程の重さってナニ……?


落としただけで刀身の半分くらいまで地面に刺さる剣の重さってナニ……?



場の空気を変えるかの様に雫が動き、



「どけ」



剣を握ったまま固まっている桜田を退ける。


そして、地面に突き刺さっている剣の柄へと手をかけ、



「ぬぉぉぉお──!!」



引き抜こうとするが微塵も動く様子も抜ける様子もない。



「ハァハァハァハァ──!?  なんだよコレ……!?」


「木梨氏、僕もよいでござるか……?」



桜田の言葉に息を切らしている雫は柄から手を離してベンチに座り、そして次は桜田が柄と鍔に手をかける。



「ぐぬぬぬぬぬぬ──!!  ぬぉぉぉぉおおおお──!!」



んでもって、前後左右へと体重をかけて揺らす様に引き抜こうとするが、



「ナニコレぇぇぇえ!?」



コレまた微塵も動かない。



「此処に新たな聖剣伝説が爆誕でござるよ!?」



息を荒げながら意味が分からない事を吠える豚。



「何言ってんだこの豚は。  そしたら、作った俺だけしか抜けない出来レースじゃねぇか」



そう言いながら桜田を退かして柄に手をかけ、サクっと簡単に剣を引き抜く。



「はぅあ!?」


「マジかよ!?」


「なんだよお前ら、そのアホ面は……  だから言っただろ。  俺には綿飴くらいの重さしか感じねぇって」


「イヤイヤイヤイヤ!  綿飴くらいと言っても地面に突き刺さっていたのでござるよ!?  逆に紅葉氏が力持ちになったのでは!?」


「そうだ!  それだ葵ちゃん!」


「んな訳あるか。  俺が力持ちになっていたら、この前、桜田を担いで公園から逃げた時に余裕で走って逃げれたわ」


「そんじゃ、もう一回葵ちゃんを担いで見せろよ!」


「そうでござる!  何かが変わっているかもしれないでござる!」



そう言いながら桜田が立ち上がった犬の様に両手を前に出しながら俺へと向かって一歩前へと踏み出すが、所々を汗で湿らせている全身ピッチピチの格好のコイツを今から担ぐのかと考えた瞬間、一瞬にして全身の鳥肌が立った。


「無理。  絶対嫌だ」


「オマっ!?  私が葵ちゃんを担いで良いって言ってんだぞ!」


「マジで無理。  ってか逆にこんな湿った生温かい豚を気にせずベタベタ触れるお前がスゲーって思うわ」


「紅葉氏ぃ!?」



マジで無理なもんは無理!


生理的にも精神的にも遺伝子学的にも絶対無理!


って言うか、公園で汗だくの桜田を担いでいた事を思い出し、皮膚が内側から破裂しそうな程、更に鳥肌が立ってきた。


鳥肌マシマシだ……




結局、俺の力持ち実験はテーブルを持ち上げる事になったけど、俺は1ミリとして持ち上げる事が出来なかった。


無難の非力を舐めんじゃねぇぞ!




お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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